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#08  The Moment Number Twenty-one + マスミ鞄囊

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まだ寒さの残る立春の頃、モノつくりサイト取材チームは、雪の兵庫県豊岡市に入りました。今回の取材先は、鞄の町として有名な豊岡の中でも、“老舗”と言われる、マスミ鞄囊(ほうのう)株式会社 。昨年創業100周年を迎えたこの名門ファクトリーでは、数十万円クラスの高級ビジネスバックをはじめ、日本を代表するデザイナーズ・ブランドのバッグや、ジェラルミンケースまでも手がけています。 

外は真っ白の雪景色、工房ではミシンの音など作業音が響き、職人たちは、ひとつひとつのバッグに想いを込めるかのように、静かに作業を行っています。日本では激しい価格競争が続き、多くの職人が高い技術を失いつつあります。しかし、妥協せずチャレンジを続ける職人や工場が未だ残っています。マスミ鞄囊もそんな工場のひとつ。本質にこだわる上質なバッグづくりを目指した木下バイヤーと、メンズバッグの老舗工房でありながら、初めて本格的なレディースのハンドバッグに挑戦した、マスミ鞄囊三代目社長の植村さんにお話を伺いました。


メンズの老舗バッグ工場でレディースバッグを

木下義紀

木下義紀
THE MOMENT NUMBER TWENTY-ONE
バイヤー

今回のプロジェクトは、THE MOMENT NUMBER TWENTY-ONEのハンドバッグ。 THE MOMENTは、女性が輝くモメント(一瞬)をイメージした、ハイグレードで洗練されたアイテムラインです。

今までは、ブランドネームがお客さまの購買動機の大きなウエイトを占めていましたが、近年、店頭では自分自身の価値観でモノを選ばれる本物志向のお客さまが増えてきていると感じています。ところが、市場では、なかなかそのような志向のお客様に応えられる商品がなかった。そこで、三越伊勢丹でなければ出来ないような、徹底的にこだわり抜いたバッグを作ろうと、今回の企画がスタートしました。


植村賢仁

植村賢仁
マスミ鞄囊株式会社
代表取締役

弊社は、もともとメンズのバッグを中心に作っておりました。私が「豊岡鞄」という地域ブランドの委員長をやらせていただいていた関係で、三越伊勢丹さんとも紳士物のお取引をさせていただいていたのですが、ある日木下さんから、レディースのバッグを作りたいと電話をいただきました。豊岡でいくつか工場を紹介し、木下さんが訪問できるように調整をしたのですが 、1ヶ月ほど経ちまた電話があり、弊社でやりたいと。うちはメンズバッグのメーカーですよ、とお話ししたのですが、挑戦してみて欲しいと言っていただきました。私自身も、うちでレディースを作ったらどうなるか、楽しみな気持ちもあってお引き受けしたわけです。


木下:
私は豊岡を初めとして、日本各地、世界各国の工場をいくつも訪問させていただいています。数多くの訪問をした工場の中でこの企画の作り手として、是非ともマスミ鞄嚢さんに協力して頂きたいと思いました。マスミさんの鞄は、ひとつひとつの工程が驚くほど丁寧に作られています。良いものを本当にこだわって作っている人の手というのは、一級です。そういう人たちと組むことによって、お客さまに驚きのクオリティーで提案できるのではないかと考えたのです。


世界最高峰、ぺリンガー社のシュリンクレザー

世界最高峰、ぺリンガー社のシュリンクレザー

木下:
素材は私どもでリサーチを重ね吟味し、指定させていただきました。ドイツの名門タンナー、ぺリンガー社のシュリンクレザーを使っています。薬品で皮革をギュッと縮絨させたレザーは弾力とコシのある皮革。出来上がったバッグは、なんとも言えない、凛とした佇まいを醸し出します。もうひとつの特徴は発色の良さ。ぜひこの上質な皮革を使って、美しい色合いのバッグをご提供したいと思いました。

植村:
皮革の持つコシが、柔らかすぎず硬すぎず、バッグにしたときに趣きというか風格を感じます。上品で雰囲気を持った皮革なんですね。なかなか日本では真似できない色合いで、これぞペリンガー社、と思わせる皮革です。

木下:
このレザーをつくるタンナーは世界のトップメゾンからオファーがかかり革を一緒に開発しています。そこで磨かれた染色技術による発色の良さ、鞣しの技術による質感の良さはすばらしく、他のタンナーのレザーではなかなかお目にかかれるものではありません。また、色つけの素材の効果、シュリンクの加工の効果もあり、明るい色でも汚れがつきにくく、傷もつきづらくお手入れも簡単です。素晴らしい質感でありながらも、実際にバッグとして使用するには使いやすさを実現した素材になります。

職人の技と手間で決まる、コバの美しさ

職人の技と手間で決まる、コバの美しさ

木下:
コバというのは、革の切り口部分のこと。コバの仕上げは、職人の腕の見せどころのひとつです。マスミさんの仕上げの手法はまず、機械を使ってコバ部分を丁寧に磨きます。そして、塗料を塗って乾かすのですが、その後は、機械を使わず、紙やすりで人の手でじっくりと磨きます。塗って乾かし磨き、塗って乾かし磨く、という工程を何度も繰り返すのです。非常に手間と時間のかかる作業ですが、手間を怠らないことが美しい仕上がりにつながるのです。マスミさんのコバの仕上げは、海外のトップメゾンと並べても、まったく引けを取りませんね。

植村:
手間がかかって人がやりたがらないこと、例えば、コバを何回も磨くとか、そういうことを惜しまずに出来るというのが、弊社の強みです。使う薬品も塗料も新しいものはどんどん試すようにしています。常に研究し続けないと、これで終わりということはないですからね。

シンプルで使いやすく、洗練されたデザイン

シンプルで使いやすく、洗練されたデザイン

木下:
デザインは、オリジナルバッグの企画をしていただいている女性のデザイナーさんにお願いしました。素材の特徴を活かし、シンプルで洗練され、かつ使い勝手の良いデザインを、という考えに加え、コバを綺麗に塗りげデザインのポイントにする今のトレンドの流れを汲んだデザインに決めました。また、店頭の販売スタッフもわれわれに加わり、お客さまが何を望まれているのか、ディスカッションを重ねていきました。

植村:
デザイナーさんのこだわるポイントというのは、だいたいが我々にとって一番作りづらい部分なんですね。簡単なことは、みんながすぐ出来るのですが、これ、良いな!本当にすごいな!と思うディテールが、実は一番われわれにとってやりづらい部分なんですよ(笑)

木下:
植村さんには最初、面倒なデザインですね、とちょっと嫌がられましたけどね(笑)でも、紳士鞄の名門ファクトリーとして培われた卓越した技術と、高いクオリティー目線をバッグ一本一本に注ぎ込んで頂きました。バッグの表面に見えてこない部分にも、手間をかけていただいています。持ち手のパーツとバッグ本体を縫い合わせる最後の糸の始末は、人の手で一回一回、力を込めて結び固め接着剤で固めて止めています。ミシンで縫い返しをするだけでは得られない耐久性がつく手法です。ハンドバッグの表面と内装の裏地の間の見えない箇所にもマスミさんならではの技術とバッグを使用される方への想いが込められていると感じます。長く、愛用いただけるバッグに相応しいクオリティーに仕上げて頂きました。

若い人を惹きつける魅力的な町に

若い人を惹きつける魅力的な町に

植村:
父は本当に鞄が好きな人で、今年83歳になりますが、今も自分で鞄の修理工房をやっています。私が経営を継いで18年、他の鞄屋さんと、どう差別化していくかと考えたとき、大量生産に向かない会社だということは、私自身感じていました。他の皆さんがそちらに向かうなら、逆の道で生きるしかない、と考え、それなら、とことん良いものにこだわろう、こだわり続けて、認められようと決めました。

これからのビジョンは、鞄の好きな若い人が、豊岡に集まって、この町で働きたいと思ってくれること。若者が魅力的に感じてくれる会社や町にしたいですね。私は、鞄を作るなら、絶対に豊岡だと信じています。これからもより良い鞄づくりを目指して、みんなで頑張っているところです。

“本物” を求めるお客様のためのバッグ

“本物” を求めるお客様のためのバッグ

木下:
最近、お客さまから「ブランドネームがなかったら、欲しいのに」というお声を伺うようになりました。ブランドではなく、モノの本質に価値を見出し、ご自身で選びたいというお客様に長くお使いいただきたく、最高峰の素材で、最高峰の作り手によって、ご要望を形にしたのが今回のバッグです。試行錯誤を繰り返し、ステッチ糸の太さや色など細部に至るまでこだわり抜きました。その結果、ブランドに頼らなくても、一目で上質だと感じていただけるバッグが完成しました。大きすぎず小さすぎない、必要なものだけを入れられる。例えば、大人の女子会、オペラや歌舞伎鑑賞のお出かけ用に、ベイシック・カラーは、入学式や卒園式など、ハレの日のバッグとしてもお使いいただけます。


老舗の黒酢のコクが決め 「黒酢ゆずぽん酢」 老舗の黒酢のコクが決め 「黒酢ゆずぽん酢」

数々のラグジュアリーブランドにレザーを提供するドイツ・ペリンガー社のシュリンクレザーを使用し、兵庫県豊岡市の常に高い目標にチャレンジし続けるマスミ鞄囊の職人の手で丁寧に縫い上げられた、ハイグレードなハンドバッグ。稀有な弾力のあるレザーと妥協しないモノづくりの姿勢が生み出すシルエットは、シンプルでありながら、上質で洗練された印象で、持つ人のセンスの良さを感じさせるデザインです。普段使いからフォーマルなシーンまで幅広く活躍しそうなトートバッグです。

<THE MOMENT NUMBER TWENTY-ONE>


2WAY ミニトート
79,920円(税込)

カラー:ライトグレー、ライトブルー、ネイビー
サイズ:高さ16cm、横26cm、マチ8cm、持ち手高さ10cm、ショルダー長さ115-99cm
重 さ:650g
内容量:収納数3、内ポケット1、外ポケットなし
原産国:日本




<THE MOMENT NUMBER TWENTY-ONE>


手提げトート
64,800円(税込)

カラー:ライトグレー、ライトブルー、ネイビー
サイズ:高さ21cm、横(最大)32cm、マチ18.5cm、持ち手高さ16.5cm
重 さ:480g
内容量:内ポケット2、外ポケットなし
原産国:日本