美術
2025/5/14 UP
「自然 ( しぜん )」は外来語 NATURE の訳語として、主に人為の加わらないあるがままの状態というような意味で使われていますが、日本には仏教 用語としての「自然 ( じねん )」(= 事物をあるがままに生かし、自己を自由自在に生かすこと ) という言葉がありました。一般的には「自然 ( じねん )」を “オノズカラシカル” (=おのずとそうなっている ) と読ませますが、ここではあえて “オノズカラシカラシム” (= おのずとそうであるようにする )と読ませたいと思います。
紙や絵絹、鉱物 / 金属 / 植物由来あるいは人造の顔料、膠や水など制作 にまつわる素材を完全にコントロールしようとするのではなく、素材の挙動と自己の身体との境界面に作品の落とし所を見出していく。個人の中に表現を閉じるのではなく、環境に含み込まれる自己としての表現行為を探っていく態度が大事であると考えています。
同じような素材を用い、ことさら個性を強調せずとも五人五様の表現が生まれます。この場に並んだ作家の表現の多様さこそ” 自ずから然らしむ”という態度の結果ではないでしょうか。
第四回展となる本展では、それぞれの制作発表に加え、共通の素材 (自家製天然辰砂) を使用し制作するパートを設けました。同じ素材という定点を定めることによって各人の身体性=個性が際立つことを期待しています。どうぞご高覧ください。
2025年6月 然の会一同
デジタルカタログは下記よりご確認いただけます。
イベントのご案内
ギャラリートーク
6月15日(日)11時~
天然辰砂とは・・・?
最も古い天然由来の赤色顔料 のひとつ。非常に鮮やかな赤 色が得られる。
今回はスペイン / アルマデン 鉱山産辰砂鉱石を使用し女子 美術大学日本画研究室が運営 する顔料創造ファクトリーの 協力により制作。環境負荷に配慮し乾式で粉砕・分級。
4 段階の分級 ( 細目・中荒・荒目・極荒 )・精製したもの とその残渣物 ( 滓辰砂 ) を絵具として使用しました。
石原孟「猫富士」4号
220,000円
長澤耕平「ハゼノキ」6号
330,000円
川﨑麻央「面工房の神議り」6号
462,000円
大竹彩奈 「淡い期待」6号
396,000円
杉山佳「辰砂を集める」44×29㎝
422,400円
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※価格はすべて、税込です。
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