2024.3.1 UP
「いとはん」が誕生したのは、2005年のこと。ブランド名は「絆」の文字が「糸(いと)」「半(はん)」から成り立つことに由来する。この国に住む人、健康を育む季節の素材、その素材を育てる生産者。それらをつなぐ「絆」がコンセプトだ。
サラダを中心とした和総菜は、旬の食材を用い、日本の伝統的な料理法を活かして展開。サラダ8~10種類、惣菜6~8種類、お弁当やパック商品約10品と、常時25種類ほどの商品が店頭を彩っている。
飽きがこず、日本人のDNAに訴えかけるような味わいの要として欠かせないのがだし。セントラルキッチンでは、本枯節と荒節を削ってだしを取る。
しかも1種類にあらず。昆布だしと合わせたり、宗田節やうるめ、サバ節などと合わせた混合節だし、干し貝柱やアサリを使う貝だし、干し椎茸のだしもある。
だしはたれのベースにもなり、蒸した野菜を浸したり時には苦みやえぐみのある野菜の味わいをマイルドにするために活用する。大きくは謳っていないものの、多彩なだしを食材と絶妙に組み合わせ多くの商品に使用しているのだ。
専用機械で毎日本枯節を約2時間かけて削る。削りたての鰹節。いい香り!
鰹節の香りが飛ばないよう、沸騰直前の温度を保ちながら加熱。
昆布は前日から水に漬けて旨みを引き出す。鍋へ移し、旨みがもっとも引き出される60~70℃の温度をキープして加熱し、鰹節のだしと合わせる。
貝だしに使用するアサリ。すべてのだしは、加熱時間と火加減を厳守して、風味高く。
旬の野菜を主力の素材として使うということは、天候によっては予定していた野菜が育たたず入手が困難なこともある。だが、<いとはん>の強みは、購買担当者あるいは社長自らが、全国の農家を回ってコミュニケーションを取り、柔軟に対応しているところにある。
熊本県産の玉ねぎ「塩たまちゃん」生産者。塩とにがりを溶かした水で育てる。
付き合いのある生産者は、全国各地にいる。訪ねた際には、野菜の生育状況のみならず、困っていることはないかをヒアリング。支援できることがあれば支援し、ご来店されるお客さまのニーズや産地が直面する課題などについて情報交換。より良いそうざい作りのため、生産者と共に歩みながら取り組みを進めている。
限られた季節のみの和そうざいも多く、年間で見ればとても多彩な商品展開となる。だが、2013年の誕生から断トツの人気ナンバーワンの座に輝き続けているのが「アボカドと沖縄島豆腐の和さらだ」だ。
アボカドと沖縄島豆腐の和さらだ 柚子胡椒風味(柚子胡椒だれ付き)(100g)454円
ドレッシングは柚子胡椒の爽やかな香りと辛み、醤油と合わせ、まろやかな具材に合うように仕上げている。顧客から「ドレッシングだけでも売って欲しい」という声が多数聞かれるほど。通年販売。
シャキシャキの葉野菜と海藻、弾力感のある島豆腐にアボカドのクリーミーさを掛け合わせる。食感や味わいのバランスもさることながら、ドレッシングの「柚子胡椒だれ」がきりりと味を引き締める。その絶妙な相性が魅力である。
また、沖縄の食文化に欠かせない「島豆腐」を選んでいる背景には、「日本の食文化を継承していきたい」という思いが込められている。
沖縄から直送される島豆腐を使用し、「日本の食文化の継承」を体現する。大豆本来の風味がしっかりと感じられ、ほどよい塩加減。
削りたての鰹節で取るだしを活かし、選りすぐった材料と組み合わせる和そうざいの人気商品は他にもある。心にまで沁み入るようなだしのおいしさが、疲れきった日も、心身を支える味方になってくれる。100g単位の小ポーションの販売もうれしい。
熊本県産玉ねぎ「塩たまちゃん」の和さらだ(だいだい果汁入り和風たれ付き)(100g)399円
熊本県産の「塩たまちゃん」を使用。だいだい果汁入り和風だれで、優しい塩気とほんのり甘い玉ねぎの美味をシンプルに味わえる。3月末~5月上旬販売。
400kcal以下 玄米ロールとつくねの彩り野菜弁当(1パック)962円
味わいやボリュームをキープしながらカロリーを考えたお弁当。梅ひじきや焼き野菜でサラダを味わえ、ドレッシングを付けずにカロリーをカット。モチモチ食感の玄米ロール入り。
炙り銀鮭と雑穀焼きおにぎりのだし茶漬け(1パック)594円
香ばしい焼きおにぎり(押し麦・もち麦・大麦入り)のだし茶漬けで、シリーズの中でも圧倒的人気。醤油で香ばしく焼きあげたおにぎりは、雑穀入りでプチプチとした食感。昆布だしと炙り銀鮭の旨みが広がり、しっかり満足感を感じられる。
みょうが香る セロリと大根の塩昆布和え(100g)411円
シャキシャキのセロリの食感とみょうがの香り、大根のみずみずしさを楽しめる小鉢メニュー。野菜は、海水と同じ濃度(3%程度)の塩水に漬ける「立て塩」をし、塩昆布、昆布茶、しその実のみでシンプルに味付けすることで、食感のよさとみずみずしさを引き出す。
Text : Yumiko Numa
Photo : Yuya Wada