<うおがし銘茶> 探究心あふれる作り手が生んだ、金色に光り輝く元祖深蒸し茶。

2023.3.10 UP

1931年に、当時魚河岸があった築地で創業した日本茶専門店。これまでにはないコクのある深蒸し茶は、厳しい目と舌を持つ食のプロにも支持された。以来、目指してきたのは「毎日飲んでも飽きの来ない味」「誰が淹れてもおいしくなる手軽さ」。そのかいあって、現在は普段使いしやすいお茶として家庭にも浸透している。

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きかっけは、お茶に人生をかけた二人の男の出会い。

始まりは、今を遡ること90余年。初代社長と、深蒸し茶の生みの親とされる農学博士・山本平三郎氏との出会いがきっかけだ。まだ未完成だった深蒸し茶をよりよいものにしようと、二人は試行錯誤。そのときに確立した製法が、代々引き継がれている。

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かつての築地本店。コクのある深蒸し茶は評判となり、連日行列ができた。

 

いいお茶を作るには、いい原料を使うことが肝心。そのため、仕入れ担当者は実際に畑を見て、どうするか決めるという。求めているのは、自然の恵みを受けて育った露地栽培の茶葉。産地によって香りや味わいが変化するので、農家の個性に合わせて種類を振り分けている。

 

契約農家は静岡、鹿児島をはじめ、全国にある。最初は農家を探すところから始め、少しずつ関係を一から築いていった。おかげで、今ではパートナーとも言える強い絆で結ばれている。「こんな茶葉を作ってほしい」と完成図を共有するため、勉強会を開くこともあるそうだ。

 

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静岡県島田市に自社の茶畑も所有している。

 

独特の「きいろきんいろ」が元祖深蒸し茶の証。

<うおがし銘茶>のお茶を初めて飲む人は、まずその色に驚く。一般的な緑茶のイメージは緑色だが、こちらは澄んだ黄色、または金色に見えるからだ。

「厚みのある良質な茶葉は、長時間蒸しても崩れにくい。芯までじっくり蒸して、しっかり火を入れたお茶はこの色になるんです」

そう教えてくれたのは、伊勢丹新宿店店長の小野寺徹さん。<うおがし銘茶>では、これを「きいろきんいろ」と呼ぶ。

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<うおがし銘茶>伊勢丹新宿点店長の小野寺徹さん。おすすめの商品や、お茶と相性のいい食べ物まで教えてくれる。「お茶のことなら何でも聞いてください」

 

収穫した茶葉は産地で一時乾燥して荒茶にし、静岡の自社工場で二次乾燥した後、火入れを行う。焙煎に決まったレシピはなく、経験に裏打ちされた職人の「勘」が頼りだ。商品ごとに、お茶の香りや飲み口を具体的に思い浮かべ、微調整を重ねていく。とはいえ、これが難しく、茶葉の香りはもちろん、見た目や手触り、手に持ったときの重さなど五感を駆使し、原料の個性をしっかり理解したうえで進めなくてはいけない。

 

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茶葉の個性は、その状態や品種、産地、さらに部位によっても異なる。

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ただ設定温度は変えるのではなく、それぞれの茶葉に合った火加減を見つけ、火入れの工程を変化させる。

火入れの際には、合組(ブレンド)を担当する茶師の意見も聞く。例えば、「もう少し香りがほしい」「味をスッキリさせたい」と言われた場合、その言葉をどう解釈するかが重要だ。

農家が自然と向き合い、丹精込めて育てた茶葉を、職人が釜につきっきりで様子を見ながら火入れ。一度飲むとクセになる「きいろきんいろ」は、作り手のこだわりから生まれた結晶とも言える。

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合組も自社で。茶師が香りや手触りで茶葉を確認し、仕上げていく。

 

ちなみに、茶葉の中には荒茶にした時、個性が強すぎるものも出てくる。しかし、あえてそれをブレンドに加えることでかえっていいアクセントになり、印象的な味わい、香りに仕上がることも少なくない。火入れと同様、茶葉の配合にもやはりレシピはない。「比率は記録せず、毎年新たな気持ちで行うことが大事」なのだ。

 

作り手の探究心が生んだ個性あふれる味わい。

ラインナップはどれも個性的で、また飲みたい、と思えるものばかり。甘みを感じてホッとするもの、苦みが前に出てキリッとした味わいのもの、香りが立っているもの、キレがあるものなど、実にさまざまだ。定番に加え、季節限定や数量限定の商品も登場し、好みや生活スタイル、用途に合わせて選べる。なかでも、「しゃん」は自信作だ。

 

「しゃん」は口当たりが柔らかく、後味がさっぱりして飲みやすい。それでいて確かに旨みがあり、ほのかな甘みも感じられる。しゃん=美しい。全体のバランスが取れたわかりやすいおいしさは、まさにしゃんとしている。

 

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しゃん(80g)1,296円

飲みやすく、普段遣いしやすい。イラストと文字は、<うおがし銘茶>と縁が深いイラストレーターの和田誠氏が手がけた。

伊勢丹新宿店限定の「煎茶 一楽」には、若いお茶の木を使い、ほかにはない甘い香りを実現している。渋みとのバランスがよく、説得力のある味わいだ。また、コクもありつつ、軽快な印象も与えてくれる。粋なデザインが目を引くパッケージで、贈り物にしても喜ばれるはず。

 

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煎茶 一楽(150g)1,944円

お茶を淹れると、水色(すいしょく)がクリアな色合いになる。

30年間、変わらず人気のベストセラーは、「にゅう」。飲みやすさ、飲みあきないことをテーマにして作っている。いろいろなシーンで使え、食事とも合わせやすいのがうれしい。主役にも脇役にもなれる一品だ。

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にゅう(80g)864円

香ばしい、甘い香りが鼻腔をくすぐる。後味のほのかな渋みも魅力。

これからお気に入りを見つけたい、という人には「茶 ちゃ CHA」がおすすめ。<うおがし銘茶>を代表する煎茶「天下一」「しゃん」「にゅう」、釜炒り茶「釜の助」、ほうじ茶「はいから」が、1杯分ずつセットになっている。

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茶 ちゃ CHA テトラパック5個セット 1080円

箱のパッケージはピンクの他、イエロー、ブラウンも(内容は同じもの)。

 

創業100年を間近に控え、なおも挑戦を続ける<うおがし銘茶>。どの商品からも、しっかりと作り手の探究心が伝わってくる。一方で、難しいことを考えず、サッと淹れて飲んでもいい。ハレの日にもそうでない日にも使える、そんな懐の深さがある。

 

Text : Maiko Shindo  

Photo : Yuya Wada , Yu Nakaniwa

 

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