2023.9.15 UP
「エシレ バター」の故郷は、乳製品の産地として知られるエシレ村。フランス中西部に位置する、人口約3000人の小さな村だ。エシレ酪農協同組合がバターの生産を始めたのは、今から100年以上前の1894年のこと。代々伝わる乳酸菌を用い、昔ながらの製法でその味を守り続けている。
エシレ村にある工房。ここで「エシレ バター」が作られている。
世界中の料理人やパティシエが愛用したくなる理由は、挙げればきりがない。口に入れてまず感じるのは、柔らかい口当たりと芳醇な香りだ。それから、ヨーグルトのようなほのかな酸味が広がる。これも、クリームを乳酸発酵させてから作る発酵バターの特長である。
1900年に開催されたパリ万国博覧会での1等賞をはじめ、多くの万博で何度も受賞を重ねている。
大西洋側にあり、温暖な気候のエシレ村。農場では牛一頭当たりの面積がしっかり決められ、牛たちがのんびり過ごせるように広い牧草地を用意している。石灰分の多い土地には栄養価の高い牧草が茂り、ストレスの少ない牛が出すミルクは乳脂肪が多く、バター作りに適しているという。
大地の恵みが牛を育て、「エシレ バター」のおいしさを支えている。
ちなみに、農場は工房から半径50km以内のところに限られる。それは絞ったばかりの生乳を48時間以内にクリームに加工し、雑味のないバターに仕上げるため。また、おいしい水を十分に確保できることも重要。製造過程でチャーン(撹拌機)の中の余分なバターミルクを洗い流すと、ピュアな味わいに磨きがかかるのだ。
牧草地の近くに川が流れ、自然の恵み豊かなエシレ村
「エシレ バター」の繊細な魅力を体験するなら、<エシレ・パティスリー オ ブール>の「サブレ サンド ブール」がおすすめ。サブレにもバタークリームにも自慢のバターを惜しみなく使っている。サブレをかじるとサクッと軽い歯触りがし、ミルキーなバタークリームが舌の上でとろり。甘い香りが鼻先を軽やかに舞い、思わず目をつむりたくなる。
伊勢丹新宿店限定「サブレ サンド ノワゼット」は、バタークリームにヘーゼルナッツペーストを混ぜ込み、砕いたヘーゼルナッツをトッピング。これが、木製撹拌機からバターに移ったと思われるかすかな木の香りと相性がいい。
何を隠そう「エシレ バター」の製造工程では、一般的なステンレス製のチャーンではなく、昔ながらの木製を使用。このこだわりが、なめらかな舌触りを生むのだ。
サブレ サンド ブール/ラムレザン/ピスターシュ/ノワゼット(各1個)368円
「エシレ バター」のおいしさとフレーバーとなっている素材の力強さを一緒に実感してほしい。
ステンレス製に比べてメンテナンスが大変なので、現在ではエシレのように木製チャーンを使うところは少ない。
<エシレ・パティスリー オ ブール>はパッケージも美しく、贈り物にぴったり。焼き菓子の缶は、食べ終わった後も取っておきたいくらいだ。
品がある青缶の「サブレ グラッセ」は、サクサク食感がクセになるバターサブレ。「エシレバター」と砂糖で仕上げたグラッセが贅沢にかけられている。
サブレ グラッセ(10枚入)4,320円
口の中いっぱいに「エシレ バター」の風味が広がる。
フランス語で「小さなバター」を意味する「プティブール」。その名の通り、バターをたっぷり使用している。頬張ると「エシレ バター」の芳醇な香りが、ふわっ。ロゴマークとイラストが描かれた可愛らしい白缶が、受け取った人の気持ちを和ませてくれる。
プティブール・エシレ(20枚入)4,320円
缶を開けるとバターの香りが漂う。サブレよりザクッとして歯応えがやや強め。
「ガレット ブルトンヌ」は、ザクザクした食感が楽しめる厚焼きサブレ。しっかり焼き上げることで香ばしくなり、その中でバターの風味と小麦粉の旨みが際立つ。ほのかな塩気もポイント。一枚でもボリュームがあるように感じられ、満足感が大きい。
ガレット ブルトンヌ(5個入)1,674円
フランス・ブルターニュ地方発祥の郷土菓子がルーツ。
週末に大切な人とシェアして食べたいのは「ウィークエンド・エシレ」。レモン果汁や果皮が生地に練り込まれ、爽やかな香りが食欲をそそる。さらに焦がしバターがアクセントになり、フォークを持つ手が止まらない。表面のグラサージュはシャリッとした歯触りが楽しく、甘さは控えめだ。
ウィークエンド・エシレ 4,752円 ※お一人さま2点まで
フランス伝統の焼き菓子ウィークエンドを、「エシレ バター」を使って焼き上げた。
実は、<エシレ・パティスリー オ ブール>は日本で独自に展開している店舗。本国でも手に入らない商品ばかりで、わざわざ足を運ぶ外国人観光客も少なくない。「エシレ バター」を100%活かしたこだわりのお菓子。洗練された味わいが、とびきりの時間を演出してくれるはずだ。
Text : Maiko Shindo
Photo : Yuya Wada