最近人気の縁起食、「大寒たまご」で冬のパワーをつけよう! ―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2023.1.13 UP

今年、最初のレシピは「大寒の日」に因んだ卵料理です。2023年の大寒は1月20日。一年で最も寒い時期を、昔の人たちは栄養価が高くて貴重だった卵で英気を養いました。今回は、昭和の香る懐かしくて皆の大好きな卵料理をご紹介します。

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「大寒たまご」という言葉をご存知でしょうか。大寒の日に産み落とされた卵は運気を高めるとして、縁起物としての人気が高まっているとのこと。あたらしい習慣として定着しそうです。

 

日本人が卵を食べはじめたのは江戸時代。その頃は高級品でしたが、工業的な大量生産がはじまると価格は安定。物価の優等生として尊ばれます。一方、最近は鶏を生物機械のように扱うのではなく、もっと人道的な方法で育てられないだろうか、という流れも出てきました。

 

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平飼い卵は地面に放して飼育され、鶏舎内を自由に動き回る鶏の産む卵のこと。ケージというカゴで飼育されるよりも鶏にとっては健康的で、やはりそうして産み落とされた卵はおいしいもの。工業生産によって卵が安価に提供され、それが利益をもたらすことは軽視すべきではありませんが、消費者にとっては卵の選択肢が増えるのは歓迎すべきことでしょう。

 

 

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卵は鶏が食べる餌によっても味が異なります。『島根のこめたまご』と『平飼い鶏の赤たまご』を食べ比べると、前者のほうがあっさりとしています。作りたい料理や好みによって使い分けるのもいいでしょう。

 

今日は昭和の香りが漂う『おかずオムレツ』と『甘い卵焼き』の2種類の料理をご紹介します。炒めたひき肉を混ぜ込んだおかずオムレツは昔の家庭料理の定番でした。

 

 

■おかずオムレツ

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<材料 2人分>

卵  4個

サラダ油 大さじ1

合いびき肉 100g

玉ねぎ   100g(中1/2個)
塩     小さじ1/4
黒胡椒   適量

パセリ   5g

サラダ油  大さじ1/2

<作り方>

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このレシピが昔と違うのは多めのパセリを混ぜ込む点。パセリはオムライスや揚げものに添えられますが、セリ科のハーブで爽やかな香りと濃い味わいがあります。たっぷりと加えることでひき肉の味わいを軽くし、卵との相性もよくなります。

 

玉ねぎはみじん切り、パセリは1枝をやはりみじん切りにしましょう。卵は一皿分2個です。ボウルに入れて、箸でよく溶いておきます。

 

 

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サラダ油大さじ1/2をひいたフライパンにみじん切りにした玉ねぎを入れ、中火にかけます。時々、混ぜながら加熱していきます。

 

 

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玉ねぎから刺激臭が消え、すこししんなりしてきたらひき肉を加えてさらに炒めます。

 

 

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ひき肉の赤い部分がなくなったら、塩小さじ1/4と黒胡椒で味付けし、パセリのみじん切りを加え10秒ほど炒めます。これで具材は出来上がり。

 

 

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直径20cmのフライパンにサラダ油大さじ1/2をひき、中火で30秒予熱します。

 

 

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卵を一気に加えます。

 

 

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ガスコンロの場合は外側から内側に向かって、かき混ぜて半熟卵をつくります。IHの場合は全体を混ぜるようにかき混ぜて、やはり同様の半熟状態にしてください。

 

 

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ここで火を弱火に落とし、具材を加えます。

 

 

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具材を奥に滑らせるようにして、卵を寄せます。

 

 

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両側から折りたたむようにすればオムレツの形になるでしょう。

 

 

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皿とフライパンがV字になるように添え、オムレツを皿に移します。

 

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ケチャップを添えれば出来上がりです。ひき肉が入ったオムレツはご飯のおかずになる味わい。ひき肉100gだけしか使っていませんが、きちんとしたボリュームもあります。昔の家庭料理はこんな風に少ない材料に手間をかけることで、おいしい料理に仕上げていました。材料費などが高騰する今、再びこうした工夫が必要になる気がします。

 

さて、次にご紹介するのが『甘い卵焼き』です。卵焼き器で四角い形に巻き上げていく卵焼きは道具が料理を規定する珍しい料理。出汁を入れればだし巻き卵という料理になりますが、今回は砂糖をたっぷり使った昔風のスタイルです。

 

■甘い卵焼き 

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<材料> 2人前

卵  3個

砂糖 大さじ3

うす口醤油 小さじ1

サラダ油  大さじ1+大さじ1

 

<作り方>

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ボウルに卵を割り入れ、箸でよく溶きほぐします。空気を入れてしまうと巻きづらく、形が整わないので、箸をボウルの底につけたまま、切るようにして混ぜましょう。ここに砂糖とうす口しょう油がはいります。砂糖大さじ3というのはちょっと驚くほど多めの分量ですが、思い切って使うことで、冷めてもしっとりした仕上がりになります。

 

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卵液と箸を準備し、サラダ油大さじ1と三角形に折りたたんだキッチンペーパーを準備しておきます。卵焼きは一気につくるのでこうした準備が重要です。

 

さて、卵焼き器にサラダ油大さじ1をしき、十分に予熱します。火加減は中火です。フッ素樹脂の場合はあまり関係がありませんが、卵焼き器の表面温度が180℃以上であれば卵がくっつきにくくなります。(卵のタンパク質が表面の金属分子と結合する前に凝固するため)

 

卵焼きのコツは強めの火加減で焼くことです。高い温度で加熱すると卵のなかの水分が瞬時に蒸発し、同時にタンパク質が凝固するのできめ細かい仕上がりになります。逆に低い温度で加熱すると水分がなかなか蒸発せず、そのあいだに卵がゆっくりと凝固するので、べったりとした焼き上がりになってしまいます。

 

 

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卵液の1/5量を注ぎます。

 

 

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膨らんだ部分を箸で突いていると、すぐに凝固してくるので、手前に巻きます。

 

 

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これが芯になります。卵を巻くときは卵焼き器を火元から外して火加減を調整しましょう。

 

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芯を奥にずらし、手前に卵液をまた1/5量注ぎます。

 

 

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芯の底にも卵液を行き渡らせたら、半熟状態で手前に巻き込んでいきます。

 

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卵焼きは習うより慣れろの世界です。要領をつかめばむずかしいことはありません。

 

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キッチンペーパーで油を補いながら、巻いた芯を奥にずらし、手前に卵液を注ぐ作業を繰り返します。

 

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出来上がり。

 

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巻き簾があると便利です。

 

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巻き簾があれば巻いた状態で粗熱をとります。適当な大きさに切って皿に盛り付けましょう。甘い卵焼きはお弁当に入れてもおいしく、作れると便利なアイテムです。砂糖の多さに怯むかもしれませんが、砂糖の量は好みで大さじ1〜3という具合に調整できます。好みで自分の味を作っていけばいいでしょう。

 

卵自体が完成された食材なので、シンプルなレシピほどおいしいもの。その黄色い色合いは見るだけで幸せな気持ちにさせてくれます。

 

伊勢丹新宿店では、1月20日(金)午後2時より、大寒の卵をシェフズセレクションにて販売いたします。

また大寒の日の朝どれの「大寒産まれの卵」を使った定食をフレッシュマーケット イートインコーナーにてご紹介いたします。<山口油屋福太郎>の明太子、<THE FOODS>の超特選 減塩醤油、季節の小鉢、汁物、香の物などを盛り込んだ、伊勢丹新宿店でしか味わえない定食をぜひお試しください!

 

Text & Photo : Naoya Higuchi

 

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