2024.1.13 UP
冬はチョコレートの季節。チョコレートクッキー、光沢のあるタブレット、マットなチョコレートケーキ……チョコレートは様々に形を変え、その香りと味で人々を魅了します。今日は小麦粉を使わないタイプのガトーショコラをご紹介します。はじめてのお菓子作りにぴったりのかんたんレシピです。
ガトーショコラ=チョコレートケーキには様々なタイプがありますが、基本的には溶かしたチョコレートに卵を加え、焼き上げたもの。小麦粉を加えるとケーキらしいしっかりとした食感になりますが、入れずにつくると油脂分が分離しやすいというデメリットがありますが、しっとりとした仕上がりになります。
◾️フラワーレス(小麦粉不使用)チョコレートケーキ
<材料> ※18cmのパウンド型1台分
チョコレート(カカオ分70%) 100g
卵 100g(M玉2個分)
バター 75g
グラニュー糖 25g
チョコレートの風味を生かすために余分なものは加えないので、材料はシンプル。チョコレートはカカオ分70%の製菓用を使いました。市販の板チョコレートのなかにはカカオバター以外の油脂や香料などが入っているものもありますが、カカオ分表記があるチョコレートなら安心です。
<作り方>
はじめに卵を割りほぐしましょう。
ザルで濾して均一にします。この工程を挟むことで生地がなじみやすくなります。
ここで重さを確認。通常はM玉の卵2個で足りるはずですが、100gよりも多い場合は減らし、少ない場合は足す必要があります。ここでオーブンを180度に予熱しましょう。
湯煎にかけてチョコレートとバターを溶かします。チョコレートは油脂とカカオ分が乳化した状態なので、長く加熱したり、温度を上げすぎたりすると分離するリスクがあります。ベストな湯煎温度は71℃〜78℃ですが加熱しすぎなければ問題はないので、シリコンベラで時々かき混ぜながらチョコレートを溶かしてください。
チョコレートが溶けたらボウルを湯煎から外し、砂糖を加えて軽く混ぜます。
その後、卵を何回かに分けて加え、よく混ぜます。卵の温度が低いとチョコレートが固まって、分離したような状態になることがあります。その時は再び湯煎にかければ問題ありません。
マヨネーズをつくるときの要領で泡だて器でよくすり混ぜれば生地の出来上がり。
オーブン用の紙を敷いたパウンドケーキ型に生地を流し入れ、180℃のオーブンで10分焼きます。
焼き上がり。中心がやわらかい状態ですが、チョコレートは冷めれば固まるので心配無用です。そのまま粗熱をとり、型からはずせば出来上がり。
温かい状態だとふんわりとした食感で、冷蔵庫で冷やすとしっとりとした印象に変わります。(個人的には冷やして食べるのがオススメです)溶かしたチョコレートにレモンの皮のすりおろしを加えたり、ラム酒を垂らしたり、とアレンジは自由自在。ふんわりとさせたい場合は卵白をメレンゲにしてから加えるといいでしょう。
飾り付けをするなら茶こしで粉糖をかけるのが基本ですが、バニラアイスクリームを添えるとご馳走になります。他に付け合わせるなら酸味のあるフルーツ類。ホイップした生クリームもよく合います。チョコレートを溶かすときに加熱し過ぎに注意すればほとんど失敗しないケーキです。
もう少し軽いデザートがいい、という方にはチョコレートをソースとして使うのはいかがでしょうか。甘く煮た洋梨に温かいチョコレートソースをかけた『洋梨のベルエレーヌ』はフランス料理の巨匠、エスコフィエが創作した古典。ベルエレーヌという名前はオッフェンバックのオペレッタ『美しいエレーヌ』に由来します。
日本では洋梨よりもリンゴが一般的なので、リンゴをコンポートにして、チョコレートソースをかけてみましょう。作り方はかんたんですが、リンゴのコンポートは作ってから一晩置く必要があるので、注意してください。
◾️りんごのベルエレーヌ風
<材料>
リンゴのコンポート(作りやすい分量)
りんご 4個
砂糖 100g
水 1L
バニラペースト 小さじ1
チョコレートソース
チョコレート 50g
生クリーム 50g
牛乳 大さじ1
<作り方>
リンゴのコンポートから作りましょう。りんごは皮を剥きます。ピーラーを使うとかんたんです。
鍋に皮を剥いたりんご、水、砂糖、バニラペースト(またはバニラビーンズ1本、半割にする)を入れて中火にかけます。沸いてきたら弱火に落とし20分煮ましょう。
煮汁に浸かっていないと変色する場合があるので、キッチンペーパーを落としておくと安心です。時々、転がしながら静かに煮て、そのまま粗熱をとり、冷蔵庫で一晩冷やします。この工程でバニラの香りがリンゴに浸透します。コンポートは煮汁に浸かった状態であれば冷蔵庫で3〜4日日持ちするので、ジッパー付きの保存袋に移しておくといいでしょう。
チョコレートソースの基本はチョコレートと生クリームは同分量ですが、濃厚なので牛乳で伸ばします。
作り方はかんたん。小鍋で生クリームを沸かし、火を止めてからチョコレートを加えます。この時、カルダモンを一粒加えるとよりおいしくなります。
シリコンベラでかき混ぜてチョコレートを溶かします。温めた牛乳を少し加えて濃度を調整しましょう。
コンポートを皿に盛り、チョコレートソースをかけます。
ジューシーなりんごとチョコレートがよく合います。かんたんなデザートですが、自分でつくると作りたてのチョコレートソースの香りを楽しめるでしょう。ベルエレーヌにはバニラアイスクリームを添えるのが決まりですが、やはりおいしいもの。チョコレートには様々な香り成分が含まれているのですが、そのなかにはフルーツのような香りであったり、バニラのようなスパイス感のある香りもあります。そのため、様々な食材と相性がいいのです。
お菓子作りはハードルが高く思われがちですが、理屈さえわかればかんたん。凝ったお菓子は地下食品売り場で買えばいいので、家ではシンプルなものを楽しみましょう。
Text & Photo Naoya Higuchi