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STUDIO VIV LEE スタジオ ヴィヴ リー

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2025/03/01

STUDIO VIV LEE スタジオ ヴィヴ リー Interview

 

Q:moor gallery)美しい自然に囲まれた生活を拝見しています。スコットランドではどのような生活を送っていらっしゃいますか?

 

A:Viv Lee)私は夫と息子と一緒に、スタジオから車で30分ほどの距離にあるグラスゴー北部の緑豊かな地域に住んでいます。日常は、息子を学校に送り出した後、スタジオでの制作が始まります。夫も陶芸家なので、私たちは同じ建物にあるそれぞれのスタジオで作品作りをしています。お昼には一緒にランチを楽しんだり、アフタヌーンティーを過ごすことが、日々の大切なひとときです。

私のアトリエは、音楽やポッドキャストを聴くことはありますが、基本的にはとても静かな場所です。制作に集中している時間もあれば、リサーチや読書、ドローイングをしたりして、ゆっくり考えを巡らせる時間も大切にしています。また、私の作品の特徴として、現地の素材を多く使っていますので、作業日にはスコットランドの美しい風景の中で過ごすことができます。天気が穏やかで乾燥している日には、野外で粘土や自然素材を探しに出かけることもあります。夕方には家に戻り、家族と共に夕食を作り、音楽や人生についての会話を楽しみます。

 

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Q:moor gallery)心地よい生活を大切にされているように感じます。日々の生活の中で楽しいことはありますか?

 

A:Viv Lee)美しい公園や森林のそばに住んでいることは、とても幸運だと感じています。都会にいながら、大自然がすぐ近くにあることで、毎日を穏やかな気持ちで始め、そして終えることができています。また、地元の野生動物と出会い、自然とのつながりを感じたり、驚きの瞬間を体験することも嬉しいです。特に今年の夏、ウタツグミのペアが求愛し、巣を作り、ヒナを育てる過程を観察することができ、とても楽しかったです。週末には愛犬を連れて周辺を散歩し、キツネやシカ、鳥、昆虫、コウモリ、時にはモリフクロウの鳴き声も聞くことがありました。こういった体験は、都会で野生動物に触れることが難しかった香港で育った私にとって、とても新鮮で特別なものです。

 

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Q:moor gallery)作品制作において、何があなたを駆り立てていますか?

 

A:Viv Lee)子供を授かった後、私は自分の創造性を再発見したいという強い衝動に駆られ、社会人としての生活を送りながら美術学校に通い始めました。美術学校で学んでいた時、古代ヨーロッパの豊穣の女神のイメージに出会い、神聖な大地とそのすべての存在を尊重する母系制神話やアニミズム神話に深く魅了されました。これらの古代文化に触発され、自然とつながり、またそれらの叡智を作品に込める手段として粘土を使いたいという思いが強まりました。これが私の創作活動の原動力となっています。

私は中国とイギリスという異なる文化の中で育ちましたが、どちらの土地にも深い絆を感じることはありませんでした。しかし、20代でスコットランドに移住し、そこで広がる野生の風景に触れ、粘土と出会ったことで、ずっと感じていた文化的な断絶感を埋める「欠けたピース」を見つけたように感じています。

 

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Q:moor gallery)どの作品からも、強い存在感を感じます。作品に見られる独特な土の風合いはどのように生まれたのでしょうか?

 

A:Viv Lee)私はもともと彫刻を学んでいますが、粘土を使った作品作りについては基本的に独学です。時間をかけて、粘土を扱うための自分なりの方法をいくつか開発してきました。私の作品に見られる独特なテクスチャーは、異なる粘土をブレンドし、砂や砕いた石英などの自然素材を加えることで生み出されています。可能な限り、地元の環境から素材を集めて、野生の粘土や、マークをつけるための石、釉薬に使う牡蠣殻などを取り入れています。

制作自体は、主に粘土をつまんだり巻きつけたりする直感的な方法で行います。素材と手の不完全さや特徴を受け入れながら、アイデアや形が自然に進化していくのです。今回の展示作品では、自宅の近くで採取した野生の粘土を使って作ったスリップを何層にも重ねて装飾しています。異なるスリップを重ねることで、表面にテクスチャーと複雑さが生まれ、まるで古代の工芸品や自然界に見られる表面のような仕上がりになりました。

 

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Q:moor gallery) 国際女性デーを含む期間中、伊勢丹新宿店の各フロアで「Celebrate All Your Choices どんな選択も、私だけのハッピーエンド。」というテーマのもと、さまざまなイベントが開催されます。あなたがこれまでの人生で、最も誇りに思う選択は何ですか?

A:Viv Lee)私がこれまでの人生の中で最も讃えたい選択は、自分の心に従って、創造的で真実のある人生を追求するという決断でした。この選択は、時に家族を心配させることもありましたが、その結果、多くの人々や場所、経験に出会うことができ、私の人生は大きく広がり、豊かになったと感じています。

人生の中で「真実」を選ぶということは、時に自分を縛るような考えや外部の期待を手放すという選択を伴うことを学びました。その意味で、私は「本物である」という選択を讃えたいと思います。そして、完璧主義を手放す選択や、失敗を恐れない自由な心も大切にしてきました。このような選択が、私の創造的な旅を支えてくれたと感じています。

 

 

Q:moor gallery)Happy International Women's Day! この展示にメッセージをいただけますか。

A:Viv Lee)多くの女性にとって、私たちのアイデンティティや自己価値は、子供やパートナー、家族、そして社会との関わりの中で形成されていることが多いと思います。私自身も、子供たちが成長する過程で、そうした役割に深く関わってきました。しかし、今ではミドルエイジの女性としてのアイデンティティを、より自然のサイクルと結びつけて考えるようになっています。

国際女性デーを迎えるにあたり、私は、どの年代の女性も、自分自身と自然との深い結びつきを感じ、自然から力を得て、自由に自分の人生の物語を紡ぎ出せることを願っています。それぞれの人生において、何が「本当の自分」なのかを探し、選び、そしてそれを生きる力を持てることこそが、私たちにとって最も大切なことだと思います。

 

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STUDIO VIV LEE(スタジオ ヴィヴ リー)Profile

スコットランド・グラスゴー東部のWASPSスタジオを拠点に活動する香港生まれのアーティスト、ヴィヴ リーは、記憶や神話、古代文化、そして彼女の第二の故郷であるスコットランドの自然の美しさに影響を受けた彫刻的な陶芸作品を制作している。

自然は彼女の作品に豊かなインスピレーションを与え、色彩、テクスチャー、使用される素材に大きな影響を与えている。作品は、土の色合いで仕上げられ、ときに自然素材を使った実験的な釉薬や、風景から採取した地元の粘土を使ったスリップで装飾されるほか、釉薬を施さずに粘土の素地をそのまま見せる作品も発表している。

2020年にTOASTニュー・メイカーズ・アワードを受賞したヴィヴ・リーの陶芸作品は、Wallpaper、Homes & Gardens UK、Elle Decoration、Harper’s Bazaar、Homes & Interiors Scotland、World of Interiors、Vogue、WSJ Magazineなどの著名な雑誌に掲載されている。

2017年にグラスゴー美術大学の彫刻科をファーストクラス・オナーズ(最優秀)で卒業した。現在はイギリスのM.A.H.ギャラリー、The New Craftmaker、BARD、フランスのVolume Ceramicsなどで作品を展開する。

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※画像はイメージになります。

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