妊娠中に気をつけたいからだのトラブル|母子衛生研究会コラムvol.4

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妊娠中の体調の変化は、多くの場合は妊娠に伴う生理的なものですが、なかには、放っておいてはいけない変化もあります。妊娠期特有のからだのトラブルについて解説します。

からだの軽い気がかり、どう対処する?

●頭痛

ストレスや、目の疲れから頭痛が起こることがあります。まれに、妊娠高血圧症候群による高血圧から頭痛が起こることもありますので、痛みがひどく休息をとっても治まらないときは産婦人科を受診しましょう。

●立ちくらみ

妊娠中は立ちくらみが起こりやすいもの。これは自律神経の働きが不安定なことや、貧血になりやすいことが原因です。睡眠や食事を十分にとって、動作はゆっくり行いましょう。

●手足のしびれ・むくみ

妊娠中期以降は手足がしびれたりむくんだりしやすくなります。血液の循環をよくするために、横になって足の位置を高くしたり、軽い体操をしたりしましょう。塩分は控えめにします。妊娠高血圧症候群の前ぶれということもあるので、注意が必要です。

●肌のかゆみ

妊娠中、肌がかゆくなる人もいます。肌を清潔にし、十分に保湿をしましょう。また、化粧品や紫外線など肌への刺激を減らしましょう。

妊娠高血圧症候群ってなに?

妊娠高血圧症候群ってなに?の画像

妊娠高血圧症候群は、妊娠20週~出産後12週に起こる妊産婦特有の病気で、妊婦さんの20人に1人がかかると言われています。重症になると、早産や胎児死亡、母体の子癇(けいれん)や高血圧脳症など、赤ちゃんとママ両方の命にかかわる可能性があります。「強い頭痛が続く」「目がちかちかする」などのときは、この病気のサインである場合もあるので、すぐに産婦人科を受診します。

この病気の原因ははっきりとはわかりませんが、「もともと高血圧・糖尿病・腎臓の病気をもつ」「肥満」「40歳以上」「家族に高血圧の人がいる」「多胎妊娠」「初産」「以前の妊娠で妊娠高血圧症候群になったことがある」という人は、妊娠高血圧症候群になるリスクが高いので注意してください。予防としては、妊娠初期から睡眠や休息を十分にとる、過労を避ける、などが挙げられます。塩分は控えめを心がけることが大切です。早期発見のためにも妊婦健診は欠かさないようにしましょう。

妊娠糖尿病ってなに?

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて見られるまだ糖尿病には至っていない糖代謝の異常です。
妊娠前から診断されている明らかな糖尿病は含まれません。妊娠によって胎盤から出るホルモンの影響で、インスリンの働きが弱まります。その結果、血糖値が上がります。母体が妊娠糖尿病になると胎児も高血糖になり、赤ちゃんが大きくなりすぎることがあるほか、胎盤機能不全や妊娠高血圧症候群、新生児低血糖症、重い新生児黄疸などさまざまなトラブルの原因になります。妊娠糖尿病と診断されたら、食事療法による糖分の制限や適度な運動などの生活管理が重要になります。医師の指導に従いましょう。

貧血にも要注意

貧血にも要注意の画像

妊娠中は胎児や胎盤の発育のために、鉄の必要量が増加し、「鉄欠乏性貧血」になりやすくなります。動悸・息切れ・疲れやすい・脱力感・立ちくらみなどがある場合は、貧血かもしれません。貧血は健診時の血液検査でわかります。重症になると、陣痛が弱くなって出産が長引いたり、出産時の出血量が多くなったりするリスクが高まります。出産後の回復の遅れや、産後の母乳の出が悪くなる原因にもなります。貧血を予防・改善するには、普段の食生活が大切です。

鉄を多く含む食品:赤身の肉・マグロの赤身・カツオ・サバ・カキ・あさり・ほうれん草・小松菜・チンゲン菜・レーズン・高野豆腐など
※食品は十分に加熱してから食べましょう。

鉄は、ビタミンCが多く含まれる食品といっしょにとると吸収率が高くなります。葉酸が不足して起こる貧血もありますので、緑黄色野菜も十分にとりましょう。食事での摂取が難しいときは、医師の指導のもと、造血薬(鉄剤)などを服用します。

妊娠中の薬の服用、大丈夫?

妊娠中に飲んではいけない薬はさほど多くはありませんが、市販薬を自己判断で飲んだりせず、必ず産婦人科医師に相談しましょう。産婦人科で処方される薬は、いまあなたに必要な薬です。医師の指示通りに服用しましょう。
持病がある場合など妊娠前から継続的に薬を服用している場合、その薬の服用を続けるか中断するかは担当の医師に確認しましょう。尚、産婦人科以外の科を受診する場合は、妊娠していることを必ず伝えてください。

こんなときはすぐに産婦人科へ!

妊娠中すべての期間を通して、すぐに病院に連絡したほうがよい場合があります。

●腟からの出血

鮮血(真っ赤な血)が出血したときはもちろん、茶褐色の出血も、念のため受診しましょう。おりものの量が多いだけなら、心配ありません。

●おなかがひどく張る・おなかが痛い

おなかの張りは妊娠末期にはよくあることですが、しばらく横になっても張りがおさまらない、いつもの張りとどこか違う、痛みをともなうときは、急いで産婦人科を受診しましょう。

母子衛生研究会とは・・・

「心豊かな親づくりとすべての子どもの幸せ」を願って昭和35年に設立された団体。『母子健康手帳副読本』の発行やマタニティ教室の開催など、妊娠中の女性や育児中の保護者に向けた多くの事業を展開している。HP「赤ちゃん&子育てインフォ」でも多くの母子保健情報を発信している。

発行:公益財団法人母子衛生研究会
指導:中井 章人(日本医科大学多摩永山病院院長/産婦人科医)
制作年月日 2021年11月29日