【日本橋三越】レストラン★探訪 クラシック・フレンチの真髄を知る
レストラン担当者が自ら実食レポートでお届けする【ミツコシ★レストラン探訪】シリーズ。今回のレポーターは、レストラン探訪シリーズの生みの親、自称“今の社内で一番、三越のレストランで食べている男”こと明内バイヤーです。「<特別食堂 日本橋>から、<東京會舘>のシグネチャーディッシュ「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」をご紹介します。なんと<東京會舘>本舘が創業した当初から続くメニューなんですよ」。では早速レポートをお願いいたします!
100年愛される、伝統の一皿
さて、お料理のレポートの前に、あらためて<東京會舘>についておさらいしてみましょう。1922年に東京・丸の内に誕生した<東京會舘>は、洗練された宴会場と本格的なフランス料理を提供する“日本の大人の社交場”として人びとを魅了しました。その料理の礎を築いたのが初代料理長である田中 徳三郎。渡仏し、近代フランス料理の父と呼ばれるオーギュスト・エスコフィエの薫陶を受けた日本のフランス料理界の重鎮です。50代で<東京會舘>の初代料理長に就任し、今も愛され続ける名物メニューの数々を生み出しました。「その代表作のひとつがこの「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」です。<東京會舘>創業当初からもう提供されていたので、来年で100年を迎えるメニューですね」
鼻腔をくすぐる芳しいバターの香り、ふっくらとやわらかそうな舌平目に、なみなみとかかったソースには食欲をそそるこんがりした焼き色。「美味しそう〜!」と撮影クルーからも思わず歓声があがります。「でしょう? 昨今のフランス料理は軽やかさに寄っていて、こうした伝統的なメニューを出すところは減っていますが、おいしいものは時代をこえてうまいんです!」と明内バイヤー。実食レポートも気になりますが、その前に、調理を担当してくれた料理人・藤本さんに作り方を伺いました。
「作り方は、まず黒ソール(舌平目)を白ワインと魚介のブイヨンで蒸し煮にし、シャンピニオン(マッシュルーム)・エシャロット・パセリを加えます。一度黒ソールを取り出し、その旨みがでた煮汁を煮詰め、そこへホタテのブイヨンと魚の旨みを凝縮したブイヨンを合わせたベシャメルソースを入れます。たっぷりバターを加え滑らかに乳化させ、仕上げにオランデーズソースを加えます。これを黒ソールの上にかけ、オーブンで焼き目をつけたら完成です!」
焼きあげるのはサラマンダーと呼ばれる上火のみのオーブン。一皿一皿、つきっきりで焼き加減を見守り、絶妙な焦げ目ができるよう皿の位置を微調整しながら焼きあげます。
焼きあがったボンファムがこちら。こんがりとした色がたまりません。「丸の内にある<東京會舘>本館では少し現代風に軽やかな仕上がりにレシピをアレンジしていますが、ここ<特別食堂 日本橋>のレシピは創業当時と同じものです。食べくらべていただくのも面白いかもしれませんね」と藤本さん。
想像以上の、濃厚な旨みに感動!
お待たせしました。いよいよ実食レポートです。舌平目の身にたっぷりソースをまとわせて一口。「う〜ん、濃厚!初めて食べた時も感動しましたが、見た目やレシピから想像している以上にほんとうに旨みが濃厚なんですよ。口当たりが滑らかで、風味が豊かで。これぞクラシック・フレンチ!という貫禄。ああ、ワインが飲みたい(笑)。ふっくら蒸し煮されているから舌平目の身が本当に柔らかくて食べやすい。あっという間に食べられてしまいます」
おいしいソースを残らず堪能
「ボンファムにはパンかライスが付いてきます。私は断然ライス派です。最後にソースにライスを絡めて食べるのを楽しみにこのメニューを頼むと言っても過言ではないくらいです」
たっぷりかかったソースにライスを絡める明内バイヤー。リゾットのようでいかにも美味しそうです。
「あ〜!うまい!」スプーンが加速する明内バイヤー。「ちょっと行儀が悪いかもしれませんが、僕は最後にこうして食べています」
豪快に、ライスをすべてソースの中へ投入する明内バイヤー。フレンチ・・・というより洋食屋さんでカレーを食べているかのような雰囲気になってきました。「まずいかなあ、<特別食堂>的にどう?」と撮影を見守っていたレストランの支配人に聞いてみると「堅苦しいことは言いません。美味しく食べていただくのが一番です」と笑顔でオーケーしてくれました。そんな懐の広さも<特別食堂 日本橋>の魅力です。
「ああ、幸せ!」ライスとともにあっというまにソースが食べ尽くされ、お皿は空っぽに。相変わらずの食べっぷり、お見事です。
「ごちそうさまでした!」。笑顔が何よりもおいしさを物語っています。
ボンファムは、<特別食堂 日本橋>の人気TOP3
「藤本さん、今日はありがとうございました!ボンファムは根強い人気ですよね。いつも販売数TOP3にいるんじゃないかな」「そうですね。1年を通してコンスタントにオーダーが入るメニューです。<特別食堂 日本橋>は常連のお客さまが多く、この方がきたらいつもこのメニュー、というお気に入りがある方が多いです。その分、作り手の私たちも緊張しますが、ここの味を愛して通っていただけるのはとても光栄ですね」と藤本さん。
「王道のフレンチも単品から気軽に食べられるのが<特別食堂 日本橋>のいいところ。何より味の素晴らしさは間違いありません。昨年からは座席数を減らしてコロナ禍でも安心してお食事していただける環境づくりにも努めています。外食の機会が減っているかもしれませんが、たまに美味しいものを食べたい!というときはぜひ<特別食堂 日本橋>をご利用ください」。明内バイヤー、今回もありがとうございました!
<東京會舘>伝統の味「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」
<特別食堂 日本橋>舌平目の洋酒蒸 ボンファム 4,070円 (1人前)
□日本橋三越本店 本館7階 特別食堂 日本橋