【日本橋三越本店】サントメ島のカカオに恋して。カフェタナカが描く未来
田中さんのお菓子作りに欠かせない、アフリカの小さな島国で育つ芳醇なカカオ。その魅力に導かれ、島を訪れた彼女が出会ったのはその土地で懸命に生きる女性たち。彼らとの交流から、田中さんの新しいお菓子が生まれました。<カフェタナカ>の田中 千尋さんが届けたいのは、おいしさのその先にある未来です。
カカオの香りに導かれて出会った西アフリカの島
名古屋発祥の老舗カフェ&パティスリー<カフェタナカ>。1963年創業の自家焙煎珈琲店「コーヒータナカ」をルーツに持ち、現在はオーナーパティシエ、田中 千尋さんが作り出すフランス菓子と地元で愛される自家焙煎珈琲で人気を博しています。
お菓子作りの材料は多種ありますが、なかでも田中 千尋さんが長年愛してきたのが、サントメ島のカカオです。
サントメ島は、アフリカ大陸の西岸沖、ギニア湾に浮かぶ島国「サントメ・プリンシペ民主共和国」の主要な島。赤道直下の温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、カカオ栽培に適した環境を有しています。
この島は、アフリカで最初にカカオ栽培が行われた地としても知られています。現在も改良が加えられていない原種に近いカカオが残り、少量生産ながら高い品質を保ちます。
ウッディでフルーティ、芳醇で奥行きのある香り。田中さんがこの地のカカオに惹かれた理由は、その味わいだけではないそう。それらの個性に加え、この土地が歩んできた歴史そのものに強く心を動かされたと話します。
サントメ島には、田中さんが関わりながら管理を続ける農園があるのです。原種に近いカカオの個性を守りつつ、栽培環境や乾燥の工程を丁寧に積み重ねてきました。
初の来島で自社管理農園を開設
きっかけは、サントメ島に関わる仕事をしている方からの一本の連絡でした。「いつかこの島を訪れたい」。そう願い続けていた田中さんは2019年に現地へ飛び、初の来島で自社農園開設したのです。
農園の運営管理はイグナシアさんとファティマさんという二人の現地の女性リーダーが担当。
シングルマザーとして家族を支えながら懸命に働く彼女たちとの出会いもまた、田中さんの心を動かします。サントメ島はまだまだ発展途上の島。多くの女性がシングルマザーとして家計を担っています。保育施設も不足。厳しい環境のなかで暮らす彼女たちの姿を目の当たりにした田中さんは、「彼女たちの自立を支えたい」と強く思うようになりました。
田中さんは農園の運営を委託するだけでなく、お菓子作りを教えたり、定期的に交流を重ねたりしながら、二人とともに時間を重ねてきました。その時間が、少しずつ形になって、イグナシアさんとファティマさんは自分たちの足で歩み始め、わずか4年で農園の隣に土地を購入し、収穫量を増やそうと意欲的に取り組んでいます。さらに、田中さんに教わったお菓子を現地で販売することを目指すなど、夢に向かって一歩一歩進む彼女たちの姿は、田中さんにとって何よりの喜びです。
現地の女性たちと紡ぐ、未来への想い
2025年、イグナシアさんとファティマさんは初めて日本を訪れました。目的のひとつは、新しいお菓子の開発です。サントメ島でも日本でも親しまれているバナナと、自分たちの農園で育てたカカオを使った菓子作りに挑戦しました。
ドライバナナの最適な乾燥具合を研究したり、日本の柚子や生姜を使ったコンフィチュール作りを体験したり。一つひとつの体験にキラキラと目を輝かせて話をする二人。異国の食材との出会いが、彼女たちの可能性を大きく広げています。
田中さんには夢があります。サントメ島に観光と連携した菓子店を設立すること。現地の観光大臣とも協議を進めており、自社管理農園のカカオを使ったチョコレート製品の開発も視野に入れています。収穫量の増加と発酵環境の整備、加工拠点や設備の改善、パッケージングやブランディングの強化。課題は山積みですが、一つひとつ丁寧に取り組みたいと意欲的に話します。
おいしさのその先に届けたいのは、女性たちの未来。海を越えて繋がった絆から生まれたお菓子には、そんな温かな想いが宿っています。<カフェタナカ>の歩みは、これからも続きます。
<カフェタナカ>
ビジュー・ド・ガトー・サントメ (缶入りケーク) 1個 3,996円 [日本橋三越限定]【200点限り】
販売期間:3月11日(水)~4月14日(火)
□日本橋三越本店 本館地下1階 洋菓子

