おせち豆知識&ことわざや慣用句
目次
おせち豆知識
ことわざや慣用句
おせち豆知識
おせちの由来
日本の初春のごちそう「おせち料理」。「おせち」の由来は、中国だということをご存知でしたか?
家族や仲間、懐かしい笑顔が集まるお正月。みんなでごちそうをいただくからこそ、なおいっそう、おいしさが増すのかもしれません。そして、楽しい食卓にあるのは、やっぱり‘おせち’。その由来は、中国だということをご存知でしたか?
中国の唐の時代、1年を竹の節(ふし)のように区切って普段と異なった日を設けた盆やお正月を節(せち)と呼んでいました。日本でもこれに習って、節日の会食のことを「節会(せちえ)」と呼び、その食べ物を「お節」と呼びました。
これが由来となって、正月にいただくお料理を「お節料理」というようになったのです。
おせち料理は、正月を祝う祝い肴(屠蘇肴)を組み入れたり、日持ちの工夫をしたり、お重の組み合わせのルールを作ったりと、私たちの祖先が何代もかけて作り上げてきました。もともとの由来は中国でも、長い時を経て、日本の初春のごちそうになっていますよね。
おせちのメニュー「海の幸」編
さまざまなお料理が詰め合わせになっていますが、一品一品に縁起にちなんだ意味が込められています。
長い時を経て、日本の正月の味になったおせち。さまざまなお料理が詰め合わせになっていますが、一品一品に縁起にちなんだ意味が込められています。先人の想いや祈り、願いを深く感じながら召し上がってみたら、さらに味わい深くなるかもしれません。
こちらでは「海の幸」の意味合いをご紹介します。
まず、代表格が「よろこぶ」にかけた昆布。昆布巻きや結び昆布にして、屠蘇肴に使われます。
そして、数の子は子孫繁栄の願いを込めたものであり、鯛は「めでたい」にちなんだもの。
さらに、海老は床飾りにも伊勢海老を用いて、「ひげ長く腰が曲がるまで元気であれ」という長寿への願いが込められています。
田作り(ごまめ)は、田の肥料に使うほどたくさんとれたところから、豊作への願いを込めた祝儀肴。
さて、この中にあなたのお好きな‘おせち’はありましたか?おめでたいお料理として節目を感じつつ、先人が込めた想いもいっしょにお召し上がりください。
おせちのメニュー 「山の幸」と「野の幸」編
ご家族やお仲間といっしょに、時には意味合いを楽しく語り合いながらお召し上がりになってみませんか?
一の重から控えの重までバランスよく組み合わせされているおせち料理。縁起にちなんで使われる食材、こちらでは「山の幸」と「野の幸」をご紹介します。
まず、山の幸の栗。これは勝栗として保存されたものが使われました。武士が出陣の際に縁起をかついで用いた3肴、勝栗・熨斗・昆布のうちのひとつです。
次は、干し柿。「嘉来(かき)」として、喜びに通じるために使われるようになったものです。柿はお砂糖が貴重品だった時代の甘味で、なますにも使われます。
そして、次の幸は「野の幸」。これは大根やごぼう、里芋、八ツ頭、黒豆などの野菜類のことで、秋の収穫物にそれぞれ意味を持たせて使われました。
ちなみに、おせちに使う箸紙にも「海」や「山」と書いて、縁起をかついだとか。おせち料理は、神に供える食べ物をみんなで分かち合っていただくことに意義があります。ご家族やお仲間といっしょに、時には意味合いを楽しく語り合いながらお召し上がりになってみませんか?
おせちをいただく「祝い箸」
お箸には2種類あって、日常の食事や不祝儀には褻(け)の箸、お正月や祝い事のお席では 晴れの箸を使います。
褻の箸と晴れの箸、2つの違いはカタチ。褻の箸は片方だけ先が細くなっていますが、晴れの箸は両端が細くなっています。この両端が細い形状には意味があり、片方は神様のためのもの。つまり、神様といっしょに食事をするという意味合いがあるそうです。材質は祝い膳の箸には柳が用いられます。これは、柳は昔から‘神が宿る霊木’とされてきたからです。
ちなみに、箸袋には干支の絵がついたものや、金文字で‘寿’と書かれたものが一般的には好まれるようです。三が日の間、晴れの箸でおせちを食べるのが慣わし。今度のお正月には、家族それぞれの名前を箸袋に書いて食卓に並べてみませんか。
おせちのレイアウト
「一の重」から「控えの重」までバランスよく組み合わされたおせち。
お重を並べると、食卓がパッと華やぎますよね。
それは味わいだけではなく、見た目の印象でもお正月の晴れやかさを演出した盛り付けによるものではないでしょうか。
おせち料理の盛り付けは、大別すると関東風の「重詰」と関西風の「重盛り」があり、一般的には「重詰」が通例となっています。盛り付け方もさまざまで、中心に一品を盛って周囲を扇状に料理が囲む「末広」、お重を九つの正方形で均等に分ける「市松」、馬のくつわに取りつける綱をイメージして斜めに美しく詰める「手綱」、お重を横に仕切って一列ごとに同じ料理を並べる「段取り」・・・などなど。
この他にも、目にも美しいレイアウト法がたくさんあります。お正月は、その味わいに舌鼓をうちながら、目でも日本の伝統を味わってみてください。
ことわざや慣用句
ごまめの尾頭付き
日本の初春のごちそう「おせち料理」。「おせち」の由来は、中国だということをご存知でしたか?
関東では田作りのことをごまめといいます。田の肥料に使うほどたくさん獲れたところから、豊作への願いを込めた祝儀肴。五穀豊穣を願い「五万米」の字を当てて、ごまめと呼ぶようになったそうです。
ごまめは、小さくてもちゃんと尾頭付きで、おせちに盛り込まれます。つまり、「ごまめの尾頭付き」とは‘小さくても、 がんばって頭(かしら)になりなさい’という意味。親から子へ 叱咤激励を込めた想いの表れでしょうか。正月、ご家族でこうした意味を語り合いながら、食卓を囲むのもいいかもしれませんね。
ごぼう抜き
お煮しめやたたきごぼう、さらには花びらもちの中にも使用する食材、ごぼう。お正月に欠かせない食材のひとつです。「ごぼう抜き」とは皆さんもご存じのように、 競争などで一気に抜き去ること。正月名物の駅伝でよく見られる光景ですね。転じては、ヘッドハンティングの意味もあるそうです。 おせちに使われるごぼうに込められた意味合いは、 豊年と息災。地中に細く長く根を張ることから、‘土台を固めて堅実に暮らせるように’という願いも込められています。とくに関西では、黒豆の代わりにたたきごぼうを入れます。別名「開きごぼう」ともいわれ、開運の意味合いがあるそうです。
海老で鯛を釣る
‘少しのものやわずかな労力で、多くの利益を得る’という意味ですが、おせちに入れられる海老は‘ひげ長く腰が曲がるまで元気であれ’という長寿への願いが込められています。おせちのお重に入れるのは伊勢海老はもちろん、川海老を串刺しにしたものなどさまざま。いずれも殻付きで調理するため、旨みが逃げません。また、鯛は文字通り‘めでたい’の語呂合わせで、お祝いの席には欠かせない魚。おせちメニューとしての海老と鯛に関しては、健やかさや幸せを祈念する想いが込められているんですね。
酢はなます、ごぼうは田麩
なますは酢の酸味があってこそ、おいしい。お麩はごぼうがあってこそおいしくなる。料理を作る際に欠かせない組み合わせのことを意味しているそうです。
おせちのなますは、千切りの大根と人参を甘酢で漬け、ユズの皮で香りをつけた紅白なますが一般的。大根の白と人参の赤を縁起の良い紅白の水引に見立てたものです。見た目もおめでたい印象で、しかもさっぱりとした風味は、お口直しにも最適。おせちは、さまざまな願いが込められ、栄養のバランスもよく、さらには味覚の調和もとれていて、先人たちの知恵の深さにあらためて敬意を表したくなりますね。
餅がゆの節供
その昔、正月の15日に餅と小豆を入れたかゆを食していたそうです。地域によっては、この餅がゆで年占いをしていたとか。その餅がゆの一部を残しておき、18日に食べておくと、その年の夏、毒虫に刺されないという言い伝えもあるそうです。また、この時期のおかゆといえば、七草粥。七草が早春にいち早く芽吹くことから、邪気を払うといわれ、無病息災を祈って食されてきました。実はこの七草粥、栄養的にも理にかなっていて、正月のごちそう続きで疲れが出始めた胃腸にやさしいといわれています。さらには、おせちに少ない緑の食材も補給できます。
今度のお正月、7日には七草粥、15日には餅がゆをご家族で召し上がってみませんか。
餅は餅屋
餅は餅屋が搗(つ)いたものが最もおいしい。つまり、その道のことはやはり専門家に任せるのが良作であるという意味です。
餅は、もともと正月などの祝い事があるたびに搗いて食されてきました。ちなみに、元日から3日にかけては祝いの膳にお雑煮を添えますが、「食い上げる」といって毎日1個ずつ餅の数を増やすと縁起がいいと伝えられています。元日は控えめな数からスタートしないと、3日目には大変な想いをするかもしれませんね。
桃栗三年柿八年
おせちの中でもお子さまたちに人気のある栗きんとん。この栗も3年の月日がかかって、おいしい実になります。『何事も成就するまでは相応の年月がかかる』または、『じっと待っていればやがて良い想いができる』ことを諭すこの言葉。一般的によく知られていますが、実は柿の次に、「柚は九年で花盛り、梅はすいとて十三年」と続くことをご存じでしょうか。
お正月の食卓で、お子さまたちといっしょに栗きんとんを召し上がりながら、こんな会話をしても楽しいのではないでしょうか。ちなみに「きんとん」は「金団」とも書き、黄金色に輝く財宝にたとえて、‘財産が貯まりますように’という願いが込められているそうです。