三越伊勢丹 特選版画セレクション<石踊達哉 作品特集>

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このたび、三越伊勢丹オンラインストアでは、日本画家・石踊達哉氏によるオリジナル・シルクスクリーン版画作品「青海波」(プラチナ・金)2種をご紹介いたします。

石踊達哉氏は、1945年(昭和20年)旧満州(現・中国東北部)に生まれる。1970年に東京藝術大学大学院を修了、在学中より既存の枠組みを超える革新的な日本画で注目されました。1988年パリにアトリエを構えたことで、日本美術の美意識を改めて見詰め、日本画が本来持っている象徴性・抽象性・装飾性が国際的に極めて独自であることを再認識し、独自の道筋を確立されています。
その後、1996年瀬戸内寂聴訳『源氏物語』全十巻(講談社)の装幀画を担当し、2007年世界遺産・金閣寺(鹿苑寺)の方丈杉戸絵及び客殿格天井画を、さらに2011年三十三間堂本坊妙法院門跡瑞龍殿の障壁画を制作するなど、日本画の革新を目指しての長い活動は留まる所を知らず、大きな成果を結実させています。伝統に秘められた前衛性、普遍性を探求し、その作風は金閣寺・有馬賴底管長により「今琳派」と称され、緻密な技術に支えられた伝統的な花鳥風月の世界を現代的な感覚で捉えた華麗な作品を発表しております。またパリ個展、中国国際ビエンナーレに招待出品するなど精力的に活動し、国内外の多くの美術愛好家を魅了しています。

昨年99歳で亡くなった瀬戸内寂聴氏が現代語に訳され、全54帖の装幀画を石踊達哉氏が描き下ろした『源氏物語』(講談社)。
250万部を超えるベストセラーとなり、空前の平成の「源氏ブーム」を巻き起こした寂聴氏に哀悼の意を表して、このたび『寂聴源氏』全十巻の表紙を飾った「青海波」と同じモチーフのオリジナル・シルクスクリーン2種の版画作品をご紹介いたします。

青海波     石踊達哉

日本を代表する文様に「青海波」(せいがいは)がある。
雅楽の「青海波」は二人舞いで、波形の染め模様の入った衣装で、波の寄せ返すさまを袖を振りながら優美に舞う。
文様の名前はここから来ているが、『源氏物語』紅葉賀(もみじのが)の帖にも光源氏(ひかるげんじ)と頭中将(とうのちゅうじょう)がペアを組んで舞う有名なシーンがある。

四方を海に囲まれた日本は海から恩恵、海の神秘など特別な関わりを持ちつづけてきた。願いや祈りは、かすかな波が繰り返すうちに大きな波のうねりとなって、いつしかめでたい文様として、古くは埴輪や銅銭にもデザインされていった。
波打つ大海原を一瞬のうちにとらえ、同心円の半円を積み重ねる青海波文。日本人が生み出した日本独特の表現方法で、世界にも類のないすぐれた造形美である。

動くものを瞬時にとらえ、それを線に凝縮させ表現する。これは日本画の持つ特性の一つである。また青海波の波のうねりは波濤と異なり小さく、繰り返される造形は上に積み重ねられる。これもまた日本画の空間処理の特徴である。
重なる連続模様の波は静穏そのものだが、波動にひたっているうちに一転、群青の深い波間に引き込まれるような、とどめがたいほどの激しく強い感情をおぼえてしまうのである。やがて、人々は波動のリズムに身をまかせるしかないということも知ることになる。

このすぐれた造形美を日本画家として誇りに思うが、平成の「青海波」制作にあたり、悠久の鼓動がよりいっそうとどろくよう、豊穣の願いを込めて、群青の大海に金砂子をたっぷり振りかけた。
また、この「青海波」で瀬戸内寂聴訳『源氏物語』全十巻(講談社)の表紙すべてをくるんだのは1997年のことだった。

  • 瀬戸内寂聴 訳『源氏物語』の表紙画像

瀬戸内寂聴 訳『源氏物語』全十巻(講談社)

  • 石踊 達哉 オリジナルシルクスクリーン「青海波」(金)の画像

    石踊達哉 オリジナル・シルクスクリーン版画「青海波」(金)
    イメージサイズ:約 縦53×横53cm
    額サイズ:約 縦74.2×横73.4cm
    技法:シルクスクリーン(9版・金箔押し)
    サイン:直筆鉛筆サイン
    制作数:50部
    制作年:2014年
  • 石踊 達哉 オリジナルシルクスクリーン「青海波」(プラチナ)の画像

    石踊達哉 オリジナル・シルクスクリーン版画「青海波」(プラチナ)
    イメージサイズ:約 縦53×横53cm
    額サイズ:約 縦74.2×横73.4cm
    技法:シルクスクリーン(9版・プラチナ箔押し)
    サイン:直筆鉛筆サイン
    制作数:50部
    制作年:2014年

作品紹介

石踊達哉氏の画像
石踊達哉 (TATSUYA ISHIODORI)
1945年 旧満州(現・中国東北部)に生まれる
1970年 東京藝術大学大学院修了
1976年 春季創画展春季展賞
1990年 両洋の眼展に2009年まで連続出品(1999年河北倫明賞受賞)
1966年 瀬戸内寂聴訳『源氏物語』全十巻(講談社)全54帖の装幀画を担当、全十巻の表紙を《青海波》で包む
1998年 瀬戸内寂聴と「源氏物語」展(高島屋東京店他)、『源氏物語絵詞(えことば)』絵:石踊達哉・詞:瀬戸内寂聴(講談社)刊行
2000年 個展(パリ、三越エトワール)
2001年 パリ・ニース帰国記念展(日本橋三越本店)
2006年 個展(渋谷区立松濤美術館)
2007年 個展(鹿児島市立美術館)、個展(高崎市タワー美術館)、金閣寺方丈杉戸絵、客殿格天井画制作
2008年 『石踊達哉画集-咲く』刊行(小学館)
2011年 三十三間堂本坊妙法院門跡瑞龍殿障壁画、普賢堂・普賢菩薩仏後壁画を制作
2016年 画集・石踊達哉全仕事 全4巻配本完結記念 石踊達哉展(日本橋三越本店)
2017年 第7回北京国際美術ビエンナーレに《天行健》が招待出品
2019年 第8回北京国際美術ビエンナーレに《共生大地》が招待出品
2022年 画業55周年記念「石踊達哉の世界」展を9月に開催(日本橋三越本店)
現在、無所属 日本美術家連盟委員 日本中国文化交流協会委員