掌(たなごころ)のうつわ・兼田昌尚 作品特集

掌のうつわ・兼田 昌尚 作品特集のメインビジュアル

伝統ある萩焼の窯元に生まれ、「刳貫(くりぬき)」の技法で独自の陶域を切り拓く兼田昌尚さんのうつわをご紹介いたします。

1953年、萩に代々続く窯元に生まれた兼田昌尚さんは、筑波大学芸術科で彫塑を学んだ後、父である七代 兼田三左衛門氏について作陶を始めました。
その後「鉄土振掛線条文」技法を創案し、2000年には日本橋三越本店で「WORK 2000」と題し、土の塊造形である「刳貫」による独自の陶域を発表。伝統ある萩焼の世界に新たな風を吹き込みました。
兼田さんの作品の魅力は、刳貫による生き生きとした稜線が生み出す造形美、そして窯の中で複雑に表れる「窯変(ようへん)」や「灰被(はいかぶり)」など、土の質感や塊感と呼応するかのような釉の変化でしょう。
今特集では、刳貫による茶碗をはじめ、窯変や灰被の奥深い景色の酒器などのうつわ作品をご紹介いたします。

工房の登り窯と兼田 昌尚さんの画像
工房の登り窯と兼田昌尚さん

刳貫から生まれる稜線

土の塊を板の上に何回も叩きつけ、木の板で叩いて成形したあと、中をカンナで刳り貫いて仕上げる「刳貫」は、板で叩くごとに新しい面が生まれ、その面と面が交差するところに、生き生きとした稜線が現れます。
更に、窯変や灰被などの変化によって力強い立体量感が生まれ、圧倒するような空間性と俊敏な動性を備えた、他に類を見ない造形作品へと昇華するのです。

萩の「窯変」と「灰被」

萩の「窯変」は、藁灰を施釉した白萩作品を登窯で焼成する際に、燃料の薪の焔(ほのお)や灰が作品に降り掛かってできたもので、白い釉薬に混じって表れた紫灰色の景色が見どころです。
また「灰被」とは、作品のすべてが燃料である赤松の燠(おき)に埋まって焼成されたもので、黒・青・灰色などの複雑な景色が楽しむことができます。

兼田 昌尚さんの画像
兼田昌尚(Masanao Kaneta)
1953年 七代 兼田三左衛門の長男として萩市に生まれる
1977年 東京教育大学教育学部芸術学科彫塑専攻卒業
1979年 筑波大学大学院芸術研究科美術専攻(彫塑)修了、父 三左衛門に就き作陶を始める
1985年 日本工芸会正会員となる(1991年退会)
1996年 山口県芸術文化振興奨励賞
2000年 筑波大学芸術学系助教授(~2003年)
2004年 山口県文化功労賞
2005年 八代天龍山窯就任
2014年 山口県選奨(芸術・文化功労)
日本橋三越本店をはじめ全国の百貨店・画廊・美術館・海外(ニューヨーク)にて個展・グループ展多数開催。
東京国立近代美術館やメトロポリタン美術館など、国内外にてパブリックコレクション多数収蔵。