「牧田愛展 Artifact」油絵で描く無機質と有機質の境界線

「牧田愛展 Artifact」油絵で描く無機質と有機質の境界線
牧田愛展 Artifact

金属やプラスチックなど無機質な対象物を独自の手法で描く牧田愛氏。一見するとデジタル画像に見間違えてしまいそうなほど繊細に描きながら、生命を感じさせる絵画です。三越伊勢丹では、そんな牧田氏の作品を9月2日(水)からオンラインで販売開始し、9月16日(水)~21日(月・祝)には、日本橋三越本店 本館6階=美術サロンにて、「牧田愛展 Artifact」を開催します。そこで、作品のコンセプトや作風が生まれたきっかけ、今後のビジョンなどをお聞きしました。

インタビューに答える牧田氏

立体的で、今にも動き出すかのような錯覚に陥る牧田氏の絵画作品。そのコンセプトは、“無機質なものから有機質なものを創出する”ことです。機械などの人工的に製造された素材をモチーフに、油彩画として再構成することで、生命を感じさせる作品を創り上げます。

牧田氏がこうした制作スタイルに至ったきっかけは、自身が乗っていたバイクへの興味からでした。

「バイクは動物の形に見えるし、むき出しのエンジン部分は生き物の内臓にも似ています。バイクに乗る人は、まるでペットのように愛着を持って所有する人が多いと思いますが、実際は無機質な機械。機械にある種の生命を見出すような考え方が面白くて、それを作品に描きたいなと思いました」

もともとは人間の内面に興味があり、それまで人物画などを描いていた牧田氏は、機械を描くことで、自分のやりたいことに近づけるのではと感じ、大きく方向転換しました。それからはバイクのみならず、金属素材やプラスチック製品といった人工物を絵画のモチーフに採用しています。

「私が描いているのは、鏡面で反射する材質のものがほとんどです。人工的で無機質なモチーフの鏡面部分に、自然の風景や人の動きが映っていることで、生命と非生命の曖昧な境界線を表現しています」

作業をする牧田氏

牧田氏は作品の制作方法も独特です。まず自身で撮影した金属などの素材写真をパソコンに取り込み、Photoshopでコラージュなどを繰り返しながら一つのデジタルイメージを作成。そのイメージを実際のキャンバスに転写し、油絵で写実します。

「絵を描く時は、まず全体の構成を紙にスケッチしながら考える人が多いと思いますが、私の場合は、それをパソコンの画面上で行っています。都会の雑踏のなかで、人の流れや音、空気感を感じながら画像を編集していると、いろいろなアイデアが浮かんでくる。私にとっては、デジタルイメージを創っている時が一番クリエイティブな時間です」

デジタルイメージを絵にする時には、頭の中で完成形を想定して描きます。

「デジタルイメージも絵も、描いているものは同じですが、キャンバスに筆と絵の具で描くことで、作品に生命感や時間的な奥行きが生まれます。このプロセスがあって、はじめて作品が完成するんです」

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今回、日本橋三越本店 本館6階=美術サロンでの個展の開催が初めてとなる牧田氏。デパートでの開催には、思い入れがあると言います。

「彫刻家だった父が、生前、毎年デパートで個展を開催していました。物心ついた頃から見に行っていたので、私にとってホームのような感覚。その場所で自分の作品をどう表現できるか試行錯誤が続いています」

個展のタイトルは、「Artifact」。金属やプラスチックなどの人工物をモチーフに、人の臓器を思わせるようなイメージや、生き物の形を連想させる絵画作品が並びます。“無機から有機を創出する”これまでのスタイルの集大成として新作20点余りを展示する予定です。今回は新しい取り組みとして、平面であるキャンバスの中に立体性や動性を感じさせる作品を創りました。

「見る角度によってすごく立体的に見える絵画や、実際にキャンバスに凹凸をつけて彫刻的に仕上げた絵画、また、連続的なイメージを並べることで動きを表現した絵画。それぞれの作品コンセプトに応じて視覚効果や技術を取り入れています。世代や性別に関係なく、たくさんの方に見ていただけたら嬉しいです」

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個展の作品づくりを終えた今は、異分野の専門家とコラボレーションをして、次の創作に取り組んでいます。

「これまでも展示空間を意識して作品を創るなど、もともと空間を創ることに興味がありました。建築家とのコラボレーションでは、絵画と空間のインスタレーションにより、2Dと3D、静と動を行ったり来たりするようなプロジェクトを考えています。さらに、データとイメージの行き来をコンセプトに、科学者の方ともコラボレーションしています。実験データや理論上の数値から絵画を制作し、そのプロセス自体を作品化しようとしています」

現在は日本とニューヨークに拠点を置いている牧田氏。人工的な質感と迫力のある画面が目を引く作品は、都市の風景に合っていると自身も感じています。

「ニューヨークで行った展覧会では、多くの反響をいただきました。今後は海外における活動に力を入れていきたいです。東京もニューヨークも刺激の多い街で、アイデアやイメージが膨らんでいきます」

今後もさらに活動の幅を広げていきたいと話す牧田氏が描く、無機と有機、デジタルとフィジカルの境界を、実際の作品を見ながら感じてみてはいかがでしょうか。

作品紹介

※こちらの作品は現品限りの作品で店頭でも販売いたします。
できる限り在庫状況を更新いたしますが、店頭にて完売し、欠品の際にはご注文がキャンセルとなりますのでご容赦くださいませ。

※日本橋三越本店での「牧田愛展 Artifact」開催期間の9月16日(水)~21日(月・祝)は、在庫のある作品についても一時的に「完売」表示とし、オンラインストアでのご購入は承れません。
この期間のご購入に関しましては、店頭販売のみとなります。
お問い合わせ 03-3241-3311 大代表 美術絵画担当まで。

  • 「Lungs X-ray 1」

    「Lungs X-ray 1」

    H60×W41cm
    油彩、キャンバス
    330,000円

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  • 「Metabolism01974」

    「Metabolism01974」

    H72×W72×D3cm
    油彩、アクリル、積層プリント、キャンバス
    440,000円

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  • 「Humanoid」

    「Humanoid」

    H40×W32cm
    油彩
    308,000円

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  • 「Stomas」

    「Stomas」

    H25×W25×D7cm
    油彩、積層プリント、キャンバス布、パネル
    231,000円

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