<天童木工>よみがえる「ジャパニーズモダン」の想いとかたち by 剣持デザイン研究所
<天童木工>の数多くのクリエイターとの協業の歴史のなかでも、ジャパニーズ・モダンを牽引したデザイナー、剣持 勇氏の手がけた家具は、現在でもロングセラーアイテムとして数多く生産が続けられています。そうした家具のなかから、スツールとテーブル、イージーチェアとソファを現代のライフスタイルに寄り添うかたちに復刻しました。
剣持デザイン研究所
創立71年を迎えるデザイン事務所。
創設者・剣持勇の築いたモダニズムの精神を継承し、公共施設やホテル、車両などのインテリアデザインを手がけるとともに、既製品家具やプロダクト開発にも実績を重ねる。
常にインテリア空間をトータルな視点で捉え、クライアントの要望を的確に理解しながら、一つひとつの仕事に誠実に取り組む姿勢を大切にしてる。
<天童木工>SHAPE OF TENDO かたちには、つづきがある。
店頭会期
□2026年3月25日(水)~4月21日(火)
□伊勢丹新宿店 本館5階 イセタン ホーム エッセンス (デザイン スタジオ)
三越伊勢丹オンラインストア 販売会期
エムアイカード会員限定 先行販売
□2026年3月11日(水)午前10時~3月21日(土)午後11時59分
一般販売
□2026年4月1日(水)午前10時~5月12日(火)午後11時59分
─<天童木工>から発売された剣持 勇先生のデザインによる家具は、数にするとどのくらいになるのでしょうか。
剣持デザイン研究所・宮原:1955年に剣持デザイン研究所が創設されて以降、<天童木工>で製品化された製品は数百点規模におよびます。建築のコントラクトとしてデザインを開発しながら、並行してそのデザインをブラッシュアップしたものを製品化していましたが、製品化に至らなかったものまで含めると極めて膨大な数のデザインに携わっていたことがうかがえます。
天童木工・加藤:今回の復刻企画のラインナップである「柏戸イス」と柏戸テーブル・柏戸スツールのセット(通称「柏戸シリーズ」)は丹下 健三設計の「熱海ガーデン・ホテル」(1961年)のロビーに設置されたものです。「ソファ」と「イージーチェア」(通称「箱椅子」)も大谷 幸夫の手がけた「国立京都国際会館」(1966年)で採用されたデザインでした。
「柏戸シリーズ」については椅子のみ製品化され、現在も剣持先生の代表作として人気なのですが、テーブルとスツールはこれまで製品化されることがなく、当社としても復刻の機会をうかがっていたんです。そこで今回、剣持デザイン研究所に残されていた複数の図面を手がかりに復刻に挑戦することになりました。
「箱椅子」の現行品は肘付きのデザインですが、それ以前には応接家具として肘なしの一人掛け補助椅子と、三人掛けのベンチが販売されていたんです。今回の復刻では現代のライフスタイルに合わせるかたちで、肘なしのデザインに戻しながら座面を深くすることで、イージーチェアとソファを再提案させていただきました。
─複数の図面を頼りに復刻をしていく作業や、全体のプロポーションを崩さない範囲でのサイズやディテールの調整など、通常の復刻以上に課題が多かったのではないでしょうか。
剣持デザイン研究所・長尾:おっしゃる通り、非常に難しい面はありました。復刻の場合には、基本的に材質や製法、寸法の決定、仕上げ加工など、できる限りオリジナルに忠実につくるということが重視されます。ただ、今回の<天童木工>からの提案に関しては「現代のライフスタイルに即したかたちでの復刻」ということに比重が置かれていましたので、当社側もそのご意向に寄り添うかたちで協業させていただきました。
剣持デザイン研究所・宮原:図面があるものとないものがありましたので、あるものについては3Dにおこしてシリーズで並べた時のサイズ感を検証するなど、空間全体のバランスを含めて使い勝手の良い寸法を探っていきました。ないものに関しては、写真資料などを頼りにあらためて図面を引き直しています。
天童木工・加藤:たとえば「柏戸シリーズ」は、無垢材を削ったかのようなフォルムが特徴的ですが、実は複数のパーツを組み合わせることによって独特のフォルムを形成しています。成形合板家具と違い、各パーツを大まかに削り出した後につなげて、そこから、機械加工やカンナなどの削り道具を使って仕上げていくので、当社の家具のなかではかなり特殊なつくり方をしているんです。
しかも、スツールの座面のアールの表現などについては当時の工程が図面上ではわからない部分もあります。どこまでを機械化し、どこまでを手作業で仕上げるかという検証をしながら細部の調整を行いました。
剣持デザイン研究所・宮原:<天童木工>の工場には私たちもこれまで何度も足を運んでいるのですが、よくベテランの職人さんたちから「技術の進歩により昔はできなかったことが今できるようになったけれど、昔できていたことが、今では再現が難しいという技術もある」というお話をうかがっていました。機械化が進み、効率的につくれるかたちを優先することで、場合によっては手づくりだからこそ生まれていた風合いや細部の表情が失われるということもあります。今回もそのあたりの擦り合わせが最終的な仕上がりに大きく影響するんじゃないかと感じていますね。
天童木工・加藤:当社のものづくりは協業するデザイナーさんや建築家さんとのやりとりのなかで磨かれてきました。今回もそうした姿勢を大事にしつつ復刻にも向き合えればと思っております。
─完成した家具を手にする方々へ、メッセージがあればお願いします。
剣持デザイン研究所・長尾:デザイナーたちが当時どのような時代背景のなかで、どのようなことを思考し、デザインが生まれたのか・・・今回のような企画は、ただ名作椅子の復刻版を手にするということではなく、デザイナーたちの想いや世界観そのものを身近に寄り添うことで、現代の視点から振り返る機会でもあると思うんです。
「箱椅子」は成形合板によるフレームや、クッション部分に採用された人工皮革などは、1960年代当時の最新の技術や素材を活かして規格化されたものでした。国立京都国際会館の力強い鉄筋コンクリート造の空間に対し、成形合板の殻で守られた柔らかなクッションが身体を包み込んでいくような対比的なデザインが特徴的です。一方、「柏戸シリーズ」は現代的な家具とは世界観がまったく異なるもので、丹下 健三さんの手がけた荒々しい空間表現に対峙する、木材そのものの彫刻的な力強さと落ち着いた佇まいが表現されています。
明治の終わりに生まれた剣持は、文明開化の波を受けて日本人の住空間が畳から板間での生活へと大きく変化しようとしていた時代に木工芸を学び、木製椅子の改良に早くから取り組んできました。一方で古道具や民芸品も多数蒐集し、それらのかたちに込められた「民衆の情念」や「生活の知恵」ということにも目を向けていたんです。西洋の模倣ではなく、日本独特の素材や伝統技術を取り入れた家具づくりを提唱した建築家ブルーノ・タウトを師と仰ぎ、工芸指導所での技術指導のために仙台に招聘していたことからも、当時の剣持が日本独自の機能美を備えた家具づくりを志向していたことがうかがえます。復刻されたふたつのシリーズの家具を通じて、そうした「ジャパニーズ・モダン」のあゆみを感じていただけるといいですね。
天童木工・加藤:剣持先生と<天童木工>との出会いは実は大変古く、戦時中にまで遡ります。宮城県仙台市にあった国立のデザイン・工芸研究所「商工省工芸指導所」(1952年「産業工芸試験所」に改組・改称。以下、工芸指導所)に剣持先生が所属されていた頃から、先生の指導のもと当社では木製のおとり飛行機などの製造に携わっていました。戦後は進駐軍向けの木製家具の生産に力を注いでいきますが、1947年に成形合板の製造のために使われる「高周波発振装置」というものを導入して以降、成形合板家具の生産を本格化していきます。
当社を代表するプロダクト「バタフライスツール」(1956年)などを含めた多くの成形合板家具はそうした経緯を経て誕生したのですが、一連の出来事の立役者であった剣持先生の家具をあらたに復刻することで、その世界観を現代に生きるみなさんと共有できることを当社としても嬉しく思っております。
剣持デザイン研究所・宮原:普段から剣持のデザインに触れている私たちにとっても、今回の企画はあらためてその魅力について考えさせられる機会になりました。
たとえば、国立京都国際会館の空間が収められた写真集を眺めながら、そこに写る椅子に実際に座ってみることで当時の景色を想像するように・・・日本を代表する近代建築のためにつくられた名作家具を手にすることで、そんな楽しみ方もできるんじゃないでしょうか。
三越伊勢丹・渡邉:いま世界的にジャパニーズ・モダンの家具が再評価される一方で、わたしたち日本人がまだまだその魅力に気づけていない部分もあると思うんです。日本の百貨店として、世界に向けてだけでなく、日本国内に向けて日本の素晴らしいデザインの魅力をこうした機会を通じて伝えていきたいと思っています。
店頭販売のご案内
<天童木工>SHAPE OF TENDO かたちには、つづきがある。
□2026年3月25日(水)~4月21日(火)
□伊勢丹新宿店 本館5階 イセタン ホーム エッセンス (デザイン スタジオ)
※会場の入場方法・購入についての注意事項・イベント案内などの詳細は、下記のページにてご案内しております。
※2026年3月18日(水)午前10時公開予定
三越伊勢丹オンラインストア 販売のご案内
エムアイカード会員限定 先行販売
□2026年3月11日(水)午前10時~3月21日(土)午後11時59分
エムアイカードをお持ちの方のみ、三越伊勢丹オンラインストアにて一部商品に限り、先行販売いたします。
※ご購入には「三越伊勢丹WEB会員」及び「エムアイカード情報」のご登録が必要となりますので、事前にご登録されることをおすすめいたします。
※購入時期、商品によって、お届けの時期が異なりますので、各商品ページの「ご購入に関する注意事項」を必ずご確認ください。
※先行販売品の数には限りがございますので、品切れの際はご容赦ください。
エムアイカードのご案内
※カードのお申込みから到着までに最短で約1週間~10日間となります。審査によりご希望に沿えない場合がございます。
※ご注文には「三越伊勢丹WEB会員」と「エムアイカード情報」のご登録が必要です。カードが届いてからの事前登録をおすすめします。エムアイカードのご登録についてはこちらをご参照ください。
※一部店舗を除きエムアイカードカウンターでの即日発行・店頭受取りも可能です。
一般販売
□2026年4月1日(水)午前10時~5月12日(火)午後11時59分
※購入時期、商品によって、お届けの時期が異なりますので、各商品ページの「ご購入に関する注意事項」を必ずご確認ください。
※一部の商品は、先行販売・店頭販売で完売した際に、一般販売を行わない場合がございます。予めご了承ください。
※2026年3月31日(火)午前10時公開予定
制作 STUDIO ALTA




