
〈いせ辰〉は江戸末期の創業以来、現在も「江戸千代紙」の版元として制作を続けている千代紙専門店です。折り紙としても有名な色鮮やかな千代紙やかわいいおもちゃ絵、浮世絵モチーフの版画など当時の江戸文化を伝える紙業を現在も受け継ぎ、古典柄ながらモダンな色遣いなど新たなデザインも日々追求し、お子さまだけではなく大人向けの江戸みやげとしても海外にまで広く知られています。〈いせ辰〉は本業の千代紙の他、可愛らしい張子人形やお面などの和のおもちゃも豊富に取り揃え、干支人形や犬張子なども人気です。ここではお正月飾りとしてもおすすめの張子人形をはじめ、〈いせ辰〉の魅力をご紹介いたします。
〈いせ辰〉の歴史
↑店内に飾られる千代紙見本。江戸みやげとして海外からの来店も多い。
〈いせ辰〉の起源は初代が奉公先の団扇問屋から暖簾分けをしてもらい、元治元年(1864年)江戸日本橋堀江町の団扇河岸に錦絵と団扇制作の問屋を開いたのが始まり。河鍋暁斎、柴田是真といった著名浮世絵師との交流もあり、二代目・三代目と続き千代紙や錦絵を海外に売り込み、日本の紙芸を遠く欧州にも輸出していました。一時は関東大震災により貴重な紙芸の蒐集品や千代紙の版木の大半を失ったものの、三代目・四代目の並々ならぬ努力により遂に約1,000種の千代紙版木の復刻を果たし、現在も江戸千代紙の文化が東京に引き継がれることになりました。
↑張子人形には手描きでお名入れも承ります。
現在〈いせ辰〉は台東区谷中に本店を構え、五代目を中心に暖簾を守っています。店内には数多くの千代紙をはじめ浮世絵・歌舞伎絵をデザインした版画作品や、張子人形・お飾りなどがところ狭しと並べられています。張子人形には手描きでお名入れも出来るので、贈り物にもおすすめです。
〈いせ辰〉張子干支人形
↑干支の招き人形は〈いせ辰〉の定番。お正月飾りにおすすめです。
〈いせ辰〉は張子人形も豊富に取り揃えています。先代ご主人が昭和30年代に別の張子師さんと一つのお店を作りたいと共同で張子の商いをはじめ、現在も引き継がれています。来年の干支「寅」にちなんだトラの張子人形、特に招きのポーズが〈いせ辰〉の人気商品。古来より虎は風を支配する特別な力を持った動物と例えられ、「風は虎に従う(風=竹林)」の格言のように、虎と竹はよく一緒に描かれます。
〈いせ辰〉ずぼんぼ
↑江戸時代から続く紙製の江戸玩具「すぼんぼ」。
「すぼんぼ」は天明年間(1780年)頃から浅草観音の境内近くで売り出されたと言われる、木版手摺で作られた江戸玩具。足は和紙の先にしじみ貝をつけて重しにし、ひづめに見立てています。小屏風の前に置いてうちわであおぐと胴の下に風が入りふわふわと飛び、江戸時代には宴の席などで流行の遊びでした。明治以降は見られることも少なくなりましたが、〈いせ辰〉では現在も東京の郷土玩具として生産を続けています。
〈いせ辰〉張子お面・福犬
↑左:張子のお面も人気で種類も豊富。それぞれ意味があります。
右:「福犬」は犬張子の元祖。顔がとがっているのが特徴。
張子のお面も人気です。定番の狐、ひょっとこ、おかめなど種類も豊富。それぞれ、例えば狐は稲荷明神にもあるように「商売繁盛」、ひょっとこは「火男」から転じて火を吸う→「火の用心」「家内安全」、おかめは「福を呼ぶ」「家内円満」など厄除け・魔除けの祈願が込められています。お家に飾るのもおすすめです。
〈いせ辰〉の人気商品のひとつ、「福犬」。現在の犬張子の原型で、顔がまん丸で愛らしい犬張子と異なり狼のように顔がとがっているのが特徴です。元は神社の狛犬を模したものともいわれ、魔除け・厄除けの意味が込められています。
〈いせ辰〉千社札・カレンダーその他迎春アイテム
↑左:昔ながらの千社札も扱っています。
右:迎春の定番であるカレンダーも豊富に取り揃えています。
神社・仏閣にお参りした時にその参拝の記念として貼られていた「千社札」。元は自身の名前・住所などを白黒単色で書き込んでいましたが、上のように「商売繁盛」や「健康長寿」などカラフルな札も制作・販売しています。
その他迎春に欠かせないカレンダーをはじめ、〈いせ辰〉ではお正月の祝い箸など迎春アイテムも豊富に取り揃えています。これらの商品はオンラインストアの他、伊勢丹新宿店での展示会でもご用意しております。ぜひ合わせてご覧ください。
イベント情報
〈いせ辰〉干支張子名入れ実演
会期:11月24日(水)~12月31日(金)午前11時~午後7時(最終日は午後3時まで)
会場:伊勢丹新宿店 本館7階 呉服
期間中はいせ辰の商品を多数取り揃えてご紹介いたします。
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