「雛人形」の知っておきたいこと~飾り方とあれこれ~
3月3日、桃の節句に行う「雛祭り」。雅びやかな雛人形に桜や橘・ぼんぼりなどを飾ってお祝いし、女の子の無病息災と健やかな成長を祈願します。雛祭りのルーツは、平安時代頃から行われた人形(ひとがた)という紙の人形に厄を移して川や海に流す「流し雛」といわれ、共に飾る桜や橘の花も邪気を払う縁起物とされています。さまざまなお雛さまの種類や飾り方をご紹介し、「どんなお雛さまを選べばいいの?」「いつ頃、どうやって飾ればいいの?」という、皆さまからよくいただく疑問にお答えします。
さまざまある飾り方
衣裳着人形親王飾り
仕立てた着物を人形に着せ付けているものを「衣裳着人形」、内裏雛(男雛・女雛)一対のみを飾ることを「親王飾り」と呼びます。幾重にも重なる着物の豪華さと、着物の自然な曲線が特徴です。また、お顔は面長で大人びた美しい表情が主流です。スペースをとらずにお祝いできます。
木目込人形親王飾り
人形の胴部に彫られた溝に着物の布地を埋め込むことで、幾重もの美しい衣裳を表現するのが「木目込人形」です。きめ細かな細工はもちろん、型崩れしづらいのが特徴です。手描きの味わいが溢れる、可愛らしいお顔も魅力的。
収納飾り
美しい蒔絵などの装飾が施された飾り台が収納箱にもなっている「収納飾り」。職人が一つひとつ丁寧に仕上げた収納箱は、雛飾りを華麗に演出する舞台になります。
段飾り
内裏雛(男雛・女雛)に「三人官女」を加えた五人飾りに、五人囃子・随身・仕丁、そして精緻なこしらえの数々のお嫁入り道具など、宮中の婚礼を模したとされる「段飾り」です。江戸時代に整ったとされる贅を尽くした雅びやかさが、お祝いを一層盛り立てます。
もっと知りたい 雛人形のあれこれ
Q.いつから飾るの?
A.節分を終えた立春から2月の中旬にかけて、遅くともお節句の1週間前までには飾りましょう。お正月飾りと同じく、節句前夜にあわてて飾る「一夜飾り」は縁起が良くないとされています。
Q.いつ片付けるの?
A.啓蟄(けいちつ)を目安に、節句を済ませたらなるべく早め(遅くとも3月中旬まで)に片付けましょう。「早くしまわないと婚期が遅れる」などといわれますが、これは特に根拠はなく「季節の節目を大切にしましょう。きちんと片付けましょう」という意味合いが強いようです。
Q.保管中の注意点は?
A.雛人形の保管で最も注意したいのが湿気です。なるべく湿気の少ない保管場所を選び、天気がよく空気が乾燥している日に片付けます。
衣裳着親王 持ち道具のつけ方
冠のつけ方
冠の紐は、親指と人差し指で輪を作ってからかけると簡単です。冠をかぶせるときは、上部を人差し指で軽く押さえながら紐を結びます。