<笑う刺繍>中野 聖⼦さんに聞く
⽩い布に⽩い⽷で創り出す、⽩⽷刺繍の世界

笑う刺繍 中野 聖⼦さんに聞く ⽩い布に⽩い⽷で創り出す、⽩⽷刺繍の世界のメインビジュアル
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“おうち時間”におすすめのハンドクラフトをご紹介するシリーズ。第三弾となる今回は、白い布に白い糸で紡ぐ、白糸刺繍にフォーカスします。その美しさに憧れつつも、初心者にとっては敷居が高い白糸刺繍の世界。ご自身が初心者だった頃の経験を生かし、初心者でも無理なく楽しめる刺繍教室を主宰する<笑う刺繍>の中野 聖子さんに東京・吉祥寺の教室兼アトリエでお話を伺いました。

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白糸刺繍の画像
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──白糸刺繍を始めたきっかけをお聞かせください。

中野 聖子さん(以下敬称略):まず、白糸刺繍とは、その名の通り白い布に白い糸で施す刺繍のことですが、国や文化によって異なる手法がありますので、それら全体を指す言葉として「白糸刺繍」が使われています。私と白糸刺繍との出会いは、偶然本屋で目にした白い素材特集の手芸本でした。その中の白糸刺繍に一瞬で魅了されたのを覚えています。白に白という斬新さ、不思議な透かし模様、控えめなのに華やかさも兼ね備えたその刺繍に「これを一生かけて極める!」とその場で決意するほど惹かれました。

──そこから、教室を主宰されるようになったのは?

中野:たくさんの人に「ありがとう」と言ってもらえる人生を送りたいと思っていたことと、一生やると決めた白糸刺繍がリンクして、教室は自然な流れでスタートしました。

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──手芸の魅力ってどんなところだと思いますか?

中野:手芸は考えるところからスタートして完成するまで、すべて自分だけの小さな世界で完結します。それは小さな成功体験でもあり、満足感、達成感を得られる自分だけの楽しい時間で、その時間こそが手芸の魅力だと思います。

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──見た目の美しさだけでなく、体験することで気づく白糸刺繍の魅力って何だと思いますか?

中野:白糸刺繍には自分と向き合える写経のような魅力があると思います。難しそうとよく言われますが、意外と単純作業の繰り返しです。黙々と手を動かすうちに、心の中の整理が進んですっきりするのです。平常心だと思っていても、心が疲れている時はステッチも揃わなくなり、それで心の状態に気づくこともあります。

  • マスクとマスクケースキットの商品画像

    笑う刺繍
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    白糸刺繍 マスク+巾着(マスクケース)キット ※写真右と左 マスクと巾着両方 8,470円 商品を見る

──中野さんの白糸刺繍は、暮らしの中で使える物に仕立てるところも特徴的ですね。

中野:白糸刺繍の伝統ある技法をモダンなデザインに落とし込んで、もっと身近に親しみたいと思っています。せっかく時間をかけて作るので、暮らしの中に取り入れたり、プレゼントできるようなものをご提案しています。

──特に初心者の方向けの作品づくりで、意識されていることを教えてください。

中野:透かし模様など白糸刺繍らしさもありつつ、初心者の方にもわかりやすい技法を選んでいます。そして教室では、笑いが溢れる雰囲気づくりも大切にしています。楽しいと不思議と刺繍も上達するんです。ですから、まずは何より楽しんでいただくことを心がけていますね。

──今回の作品キットについて教えてください。

中野:透かし模様が美しいマスクとマスクケースのキットと、ブックカバーのキットを新作としてお作りしました。どちらも2種類のステッチだけで完成するので、初心者の方にもおすすめ。初めて刺繍に触れる方は、ケースからマスク、ブックカバーと挑戦していただけると嬉しいです。

教室の画像

──コロナ禍で、暮らし方、時間やモノの使い方、向き合い方が変化したという方が多いと思いますが、中野さんご自身や教室の生徒さんたちはいかがですか?

中野:私も生徒さんもコロナでなくても、いつもの通り手仕事をしています。自分だけの世界が目の前にあることで、どんな状況であろうと心の居場所がちゃんとある、手仕事って強くてたくましいなと、今回痛感しました。

──キットをどのように楽しんでいただきたいですか?

中野:目数を間違えても歪んでしまっても大丈夫、白い布に白い糸というだけで素敵に出来上がります。刺繍が初めての方も経験者の方も、白糸刺繍の美しい世界をたくさんの方に気軽に楽しんでいただけましたら嬉しいです。

教室や作業風景の動画はこちらから

中野 聖子さんの画像

中野 聖子(なかの せいこ)
刺繍作家・<笑う刺繍>・白糸刺繍教室主宰。著書に『白糸刺繍 透かし模様のホワイトワークで作る図案と小物』(グラフィック社)・『はじめての白糸刺繍 ホワイトワークでつむぐくらしの小物』(日本文芸社)など。