マンゴ・トムソン「Walking Pictures」
ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、マンゴ・トムソン。
映画・音・彫刻・写真といったおなじみのメディアを融合させ、アナログメディアや文化的アーカイブを再構成することで、新しく予想外の出会いを生み出しています。今回、ファッションブランド<sacai/サカイ>とのコラボレーションも実現。この特別なホリデーシーズンに、アートとファッションが共鳴する空間に足を踏み入れてみませんか?
Mungo Thomson - special exhibition「Walking Pictures」-
店頭販売情報
□2025年11月5日(水)~11月11日(火)
□伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
□2025年11月12日(水)~11月25日(火)
□伊勢丹新宿店 本館5階 ホームエッセンス
三越伊勢丹オンラインストア販売情報
□2025年11月15日(土)午前10時から
※一部商品やサイズは、店頭販売状況によっては三越伊勢丹オンラインストアで販売しない場合がございます。
※諸般の事情により、営業日・営業時間、予定しておりましたイベントなどが変更・中止になる場合がございます。必ず事前にホームページを確認してからご来店ください。
※11月12日(水)公開予定
1. special exhibition「Walking Pictures」
2021年に伊勢丹新宿店で開催された個展「Nagori Yuki」では、アートと日常生活の境界に新たな視点を提示し、来場者に驚きと発見をもたらしました。
この冬、待望の第2回個展がホリデーシーズンに再び伊勢丹新宿店で開催されます。展覧会のタイトルは「Walking Pictures(ウォーキング・ピクチャーズ)」。トムソンが探求するすべてのメディア―映像・彫刻・壁紙・レンチキュラー印刷・紙作品―による新作が一堂に会し、「温もり」「クラフト」「ウィンタースポーツ」「食と飲み物」「室内装飾」「屋外彫刻」といった季節のテーマを中心に展開されます。
キャンドルや暖炉、華やかなカクテル、フラワーアレンジメント、ろくろで作られた陶器、スキーの風景などが、「ウォーキング・ピクチャーズ」として登場します。これはレンチキュラー印刷の初期の呼び名で、複数の画像を一つの表面に埋め込み、鑑賞者が歩くことでアニメーションのような効果を生み出す写真技術です。これらの作品は、トムソンが高く評価されている「Time Life」ビデオアニメーションの制作に使用する書籍のページを素材にした新作壁紙の上に展示されます。今回の展示はMAKI Galleryと連動しており、それぞれで作品を鑑賞いただけます。
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Mungo Thomson
Big Candle, 2025
Lenticular print in artist's frame
61×47×2 inches / 154.94×119.38×5.08 cm
Unique
さらに、彼の代表作である“TIME mirrors”シリーズのホリデー仕様の新作も発表されます。これは、国際的な週刊ニュース誌の象徴的な赤い枠とロゴをあしらった等身大の鏡作品で、“鏡の中で時は起こる”というシンプルな観察から着想を得ています。このシリーズは、ファッションブランド<sacai>との新たなコラボレーションコレクションの中心を成し、アートとファッションがこれまでにない形で融合します。
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Mungo Thomson
December 14, 1981(Treasures of Art and Nature), 2025
Ink and enamel on low-iron mirror, poplar
and aluminum
74×56×2.5 inches / 188×142×6.5 cm
※店頭販売のみ
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<マンゴ・トムソン>×<sacai>コラボレーション
<sacai>
Mungo Thomson Cotton Jersey T-Shirt (25-01141S) Unisex
カラー:101 WHITE
26,400円
2. アーティスト マンゴ・トムソン インタビュー
日常の中に非日常を織り込む、マンゴ・トムソンの世界。
クリスマスの輝きの中で、アートと私たちの日常はどのように交差し、共鳴するのでしょうか?本記事では、マンゴ・トムソン本人へのインタビューを通じて、彼の創作のインスピレーションと、このホリデー展のテーマに迫ります。
―この展覧会はホリデーやクリスマスシーズンをテーマにしています。まず、この季節があなたにとって個人的にどのような意味を持つのか、また、どのような思い出やイメージと結びついているのかを教えていただけますか?さらに、「ホリデー」というテーマをアートで表現するにあたって、特に意識した視点や大切にした要素があれば、それについてもお聞かせください。
こうした展覧会へのお誘いを受けると、アメリカの有名なデパートのウィンドウに飾られたホリデーディスプレイの記憶がよみがえります。そうしたディスプレイは、雪や飲み物、暖炉、静けさや落ち着き、食べ物や贈り物、クリスマスのオーナメントや雪だるまの彫刻のようなクラフト作品といった、いくつかの象徴的な要素に集約できると思います。
そして、私の最近の作品の中には、これらのテーマに隣接するような探求の領域がいくつかあったので、今回のテーマに応えることができると感じました。最初の出発点は「Snowman(スノーマン)」シリーズでした。
これは、段ボールの配達箱をリアルに再現した、彩色されたブロンズ製の彫刻作品です。屋外彫刻として制作しており、すぐに作られてすぐに溶けてしまうような、非常に一時的で儚いものを、永続的なモニュメントとして表現しています。しかし、ブロンズという素材で作ることで、何百年、あるいは何千年も残り、未来の人々にとっての人類学的なオブジェクトになるかもしれません。これが今回のアイデアの核となりました。
伊勢丹のショーウィンドウを見たとき、それがまるで宝石箱のように感じられ、貴重なものを展示する場所だと思いました。そこから「Snowman Snowglobes(スノーマン・スノーグローブ)」というアイデアが生まれました。過去のスノーマン彫刻をミニチュア化してスノーグローブの中に入れるというものです。私はずっと、自分のスノーマン彫刻が雪に覆われた姿を見てみたいと思っていたのですが、まだ実現していません。なので、これはその願いを叶える一つの方法でもありました。
もう一つの柱となったのは、最近制作したキャンドルの映像作品『Volume 15. Monument to a Period of Time in Which I Lived』です。これは季節的にもふさわしく、非常に短くてテンポが速いため、建物の正面に展示するのにふさわしいと感じました。
また、私はすでに壁紙やレンチキュラー印刷の作品にも取り組んでいたので、そこから全体が広がっていきました。これらの作品には、スキー・暖炉・カクテル・陶器といったイメージが多く使われています。そして、ホリデーシーズンに発行された『TIME』誌のバックナンバーを探し、その中身を使って壁紙を制作しました。
ですので、今回の展覧会は「季節感に響く」ものではありますが、必ずしも「季節そのもの」をテーマにしているわけではないかもしれません。
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Mungo Thomson
Snowman 15, 2022
Painted bronze
50.5×20.5×20.25 inches / 128×52×51.5 cm
※店頭販売のみ
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Mungo Thomson
Time Life Volume 15. Monument to a Period
of Time in Which I Lived, 2025
4K video with sound, Soundtrack:vinyl
crackle ASMR
1:54 minutes
※参考商品となり、販売は行っておりません。
―今回発表されたレンチキュラー作品は、視覚的な変化や動きのある表現が特徴です。日常的なモチーフを取り入れながら、これらの作品を通じて鑑賞者にどのような体験や気づきをもたらしたいと考えていますか?
私は昔から、アートは楽しくてエンターテインメント性があるべきだと感じてきました。アートの世界はとても狭く、普段アートに関心のない人たちにもアクセスできるようにすべきだと思っています。だから、伊勢丹のウィンドウのように、世界で最も人口の多い都市の一般の人々の目に触れる場所に作品を展示できる機会は、私の作品にとって非常に重要な文脈になります。
作品そのものについて言えば、私は常に、どこか“生きている”ような、あるいは運動性や没入感のあるものを作ることに関心があります。レンチキュラー印刷は、非常に短い時間の中で、鑑賞者の身体の動きによってごく小さなアニメーションが生まれる仕組みです。そして、そのアニメーションの持続時間は、鑑賞者との関わりの時間そのものでもあります。つまり、作品鑑賞のためにすでに存在しているごく自然な行動を利用して、より広がりのある体験を生み出しているのです。
イメージや内容については、それぞれが実験的な試みであり、私の映像作品から派生したものでもあります。ただ、それらは同時に、広告やグラフィックポスター、ハウツーの説明書、図鑑といった、私が関心を持っている“コード化された視覚言語”の領域にも一歩踏み込んでいます。
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Mungo Thomson
Rainbow Cordials, 2025
Lenticular print in artist's frame
50.75×39.25×2 inches / 128.91×99.695×5.08 cm
Unique
※店頭販売のみ
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Mungo Thomson
Fireplace, 2025
Lenticular print in artist's frame
36.25×46.75×2 inches / 92.08×118.75×5.08 cm
Unique
※店頭販売のみ
―ファッションブランド<sacai>との今回のコラボレーションは、あなたにとって初めての取り組みとなります。<sacai>の独自の世界観やクラフトマンシップに触れた際、どのような印象を持たれましたか?また、このコラボレーションを通じて生まれた新たな可能性や発見があれば、ぜひお聞かせください。
これまでにもいくつかのブランドから声をかけていただいたことはありましたが、どれもしっくりくるものではありませんでした。ですが、<sacai>はアートに対する深い理解と“ハイブリッド”という哲学を持っていて、それが私の作品を彼らのプロジェクトにとても興味深い形で取り込むことを可能にしてくれました。
私たちはアイデアを共有しながら、コレクションのデザインを一緒に練り上げていくことができました。また、今回の展示の中でも特にホリデーらしいアイテムとして、限定エディションの制作にも取り組んでいます。それは、<sacai>の箱を積み重ねて作った小さなスノーマンのクリスマスツリー用オーナメントです。
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<sacai>
Mungo Thomson Leather Jacket (25-01137S) Unisex
カラー:001 BLACK
429,000円 -
<sacai>
Mungo Thomson Nylon Twill Blouson (25-01135S) Unisex
カラー:001 BLACK
154,000円
―あなたの作品は、日常の中にある見慣れたモノや一瞬の出来事をとらえ、鑑賞者に新たな視点を提示することが多いと思います。ご自身の日常生活や身の回りの環境の中で、特にインスピレーションを受ける瞬間や現象には、どのようなものがありますか?
私は、ある体験や素材に“ズームイン”して深く掘り下げていく傾向があると思います。そして、それをどんどん拡張していく中で、もしそれが宇宙的なスケールを感じさせるようになり、ほかの人にも伝わる可能性があると感じたら、その流れに従っていきます。それはとても小さなことや、非常に身近なものでも構いません。
これまでには、ポケットの中のコインやコオロギの鳴き声といったものがインスピレーションの源になってきました。最近では、本やイメージ・映画・音・モノといった文化的な素材に惹かれることが多くなっています。そうした中で、自分の中で広がりを感じられる何かに焦点を当てるのです。それが自分の心の中に空間を開いてくれるように感じられたら、きっとほかの誰かの心にも同じように空間を開いてくれるのではないか、と思っています。
―近年、アートがファッションやライフスタイルと密接に関わる場面が増えてきました。あなたの視点から見て、アートは人々の日常生活にどのような変化をもたらしたり、価値を加えたりできると思いますか?
私はこれらの事柄を、マスカルチャーとサブカルチャーというジェネレーションX的な視点で見る傾向があります。私が育った頃、サブカルチャーは常に非常に重要なものであり、アートもその一部でした。近年では、アート市場の成長やInstagramの影響により、アートの世界が映画や音楽のようにマスカルチャーの一部になり得るのではないかと感じるようになりました。しかし今、私たちはその需要の限界にぶつかっていて、アートは再びサブカルチャーの領域へと縮小しているように感じます。
私にとってアートとは、時間・歴史・生産・文化の変化の流れから一歩外に出る手段です。少し距離を置いて考えることを可能にし、あるいはその流れとは別に、自分自身の思考が独自のルールやリズムを築き始めることを許してくれます。アートはもう一つの現実であり、異なる種類の「時間」の中に身を置く方法なのです。
―日本での展示や活動を通じて、日本の文化・人々・都市・空間からどのようなインスピレーションを受けましたか?また、今後伊勢丹新宿店で開催されるイベントに向けて、日本のファンや来場者に伝えたいメッセージがあれば、ぜひお聞かせください。
日本は、私の作品におけるスケール、反復、そして知覚の考え方に確実に影響を与えてくれました。芸術や繊細さ、デザインへの敬意、細部へのこだわりといった深い美意識を持つ文化の中で、日本の皆さんに作品を見ていただけることを光栄に思います。
私の作品は、知覚や時間、そして私たちの周囲にある目に見えない力を探求することが多く、日本の美学や哲学と響き合うことを願っています。関心を持ってくださり、作品に触れてくださることに心から感謝しています。ありがとうございます。
マンゴ・トムソンのアートは、日常に驚きと新しい視点をもたらします。この特別なホリデーシーズンに、アートとファッションが共鳴する空間に足を踏み入れ、ご自身のインスピレーションと驚きの瞬間を見つけてみませんか?この貴重な機会をぜひお見逃しなく。
3. 店頭販売のご案内
□伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
□2025年11月12日(水)~11月25日(火)
□伊勢丹新宿店 本館5階 ホームエッセンス
※11月5日(水)の<sacai>の初日の販売につきましては、入場制限を実施いたします。詳細は「店頭販売のご案内」よりご確認ください。
※会場販売限定のアート商品などの販売については、下記ページにてご案内いたします。
※一部商品やサイズは、店頭販売状況によっては三越伊勢丹オンラインストアで販売しない場合がございます。
※随時、情報更新いたしますので、ご確認ください。
4. 三越伊勢丹オンラインストア販売のご案内
□2025年11月15日(土)午前10時から
※一部商品やサイズは、店頭販売状況によって三越伊勢丹オンラインストアで販売しない場合がございます。
※11月12日(水)公開予定
5.プロフィール
野心的なアプローチは、マスメディアや消費文化の構造を鋭く、そして遊び心を持って解剖しながら、それらが私たちの集合的な存在に与える影響を宇宙的な視点から探求しています。
2025年にグッゲンハイム・フェローシップを受賞。2024年には、プロジェクト「Time Life」がミネアポリスのウォーカー・アート・センターで個展として開催されました。最近の個展は、カルマ(ニューヨークおよびロサンゼルス、2025年)、アスペン・アート・ミュージアム(2022-23年)、ギャラリー・フランク・エルバズ(パリ、2022年)、伊勢丹新宿店(東京、2021年)、マキ・ギャラリー(東京、2019年)、ヘンリー・アート・ギャラリー(シアトル、2018年)、ヒューストン美術館(2018年)、バンクーバー現代美術館(2015年)、ハイライン(ニューヨーク、2013年)など。
そのほか、CAFAMビエンナーレ(2014年)、イスタンブール・ビエンナーレ(2011年)、ホイットニー・ビエンナーレ(2008年)、パフォーマ(2005–06年)、ビエンナーレ・オブ・ザ・ムービング・イメージ(2001年)にも参加。
尚、作品は世界各地の公共コレクション、By Art Matters(中国・杭州)、FRAC Île-de-France(フランス・パリ)、ヘンリー・アート・ギャラリー(シアトル)、ハーシュホーン美術館と彫刻庭園(ワシントンD.C.)、ロサンゼルス郡立美術館、ムセオ・フメックス(メキシコシティ)、ロサンゼルス現代美術館、マイアミ現代美術館、ヒューストン美術館、ウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)、ホイットニー美術館(ニューヨーク)などに収蔵されています。
※提供:Metro Art(ロサンゼルス郡都市交通局)
2014年にオープンした表参道のギャラリーに加え、2020年より天王洲のテラダアートコンプレックス(TERRADA Art Complex)の1階に新しくスペースをオープン。オーナーの牧夫妻がコレクションしてきた世界トップクラスの作品を展示するMAKI Collectionをメインに、ギャラリーエリアも設け、個展・常設展を年間を通じて開催しています。
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