プロがすすめる、レザージャケット(革ジャン)の上手なお手入れと保管方法とは
クールな男を演出するアウターとして、この数シーズン人気を集めている“レザージャケット”ですが、お手入れの必要性についてはご存知でしょうか。
スキンケアと同様にこまめなお手入れが、5年10年と長く着用できるコツであり、革の馴染みやシワの入り具合なども左右します。
今回は、革靴をはじめ、レザーアイテムのケア製品を主に取り扱う<コロンブス>のマイスターで、レザーアイテム全般のお手入れに関するスペシャリストでもある松戸 啓明さんに革ジャンのお手入れについて解説してもらいました。
日常の基本的なお手入れ
伊勢丹新宿店メンズ館では、主に革製品を多く取り扱う地下1階紳士靴にてレザーケアアイテムを展開しております。革製品は乾燥が大敵で、製品になった後も“栄養を補う”ことが大切です。素材やシーンに合わせて適切なお手入れをすることで、お気に入りの革ジャンを長持ちさせることができます。br />
革ジャンにケアアイテムを使用する際は、表から見えにくいジャケットの内側などで、シミなどにならないか試してから使用しましょう。また、汗ムレなどによるニオイが気になる場合は、風通しの良い日陰で干す等してジャケットを休ませることも大切です。
■スムースレザー(ツヤ革)の基本的なお手入れ
- 【手順まとめ】
- ①ブラシで汚れやホコリを取り除く(やわらかい馬毛のブラシがおすすめ)
- ↓
- ②クリーナーで汚れを丁寧に落とす
- ↓
- ③クリームで保革する
- ↓
- ④ブラシ(豚毛)・クロスなどでカラ拭きをする
- ↓
- ⑤防水スプレーをかける
- *②③⑤のお手入れは、必ず裏側などの目立たないところで試し、問題ないことを確認してから行いましょう。
【手順1】ブラシで汚れやホコリを取り除く
汚れが溜まりやすい襟・袖口・ポケット・ステッチなどは入念にブラッシングし、ホコリなどをしっかりと取り除きます。デリケートなスムースレザーにはやわらかい馬毛のブラシがおすすめです。
【手順2】クリーナーで汚れを丁寧に落とす
スムースレザーに使用するクリーナーは液体タイプよりも、シミになりにくい消しゴムタイプがおすすめです。
【手順3】クリームで保革する
革ジャンお手入れのクリームは無色を選んで!
レザージャケットによく使われているスムースレザー(ツヤ革)は、シミになりやすくとてもデリケートなため、クリーナーやクリームを使用する際は、細心の注意が必要です。色付きのクリームやスプレーなどは、色ムラや色移り、シミになってしまう可能性があるため、無色の物を選びましょう。
部分的に色あせしてしまった際は、補色用のクリームは使用せず、設備・技術の整った信頼できるクリーニング店へまずはご相談を。
【手順4・5】ブラシ(豚毛)・クロスなどでカラ拭き、防水スプレーをかける
■スエード(起毛革)の基本的なお手入れ
スエード(起毛革)の場合は、スエード専用のアイテムを使用しましょう。
手順は、スムースレザーのお手入れと同様。ただし、起毛革はスムースレザーに比べてシミになりやすいため、お手入れは慎重に行いましょう。
【手順1】ブラシで汚れやホコリを取り除く
汚れが溜まりやすい襟・袖口・ポケット・ステッチなどは入念にブラッシングし、ホコリなどをしっかりと取り除きます。ブラッシングの際は、真鍮製のワイヤーブラシで強くブラッシングすると素材をキズつけてしまう恐れが高いため、素材に合ったブラシをご使用ください。
【手順2】クリーナーで汚れを丁寧に落とす。
全体的な汚れは、ミストタイプの<ブートブラック>「スエードクリーナー」を使い、部分的な汚れには、固形タイプの「クリーニングバー ホワイト」や「クリーニングバー ナチュラル」で丁寧に落としていきます。スムースレザーのお手入れ同様ケアアイテムを使用する際は、表から見えにくいジャケットの内側などで、シミなどにならないか試してから使用しましょう。
【手順3・4】クリームで保革し、ブラッシング
起毛革に栄養を与え、色調を鮮やかに保つ<ブートブラック>「スエードリッチモイスチャー」を使用し、ブラッシングして毛並みを整えます。
【手順5】ブラッシングで整え、防水スプレーをかける
カビ・水濡れの予防と対策
■気が付いたら「カビが生えていた!」とならない為には?
革ジャンに付いた汚れや汗ムレなど、そのままにしておくと、カビの発生に繋がってしまう可能性があります。
予防の対策としては、ブラシでホコリをよく払い、型くずれしないよう太いハンガーに吊るして、風通しの良い日陰に干ししましょう。直射日光を当ててしまうと、日焼けしてしまい色あせや乾燥に繋がるので避けましょう。
長期保管するときのポイント
次のシーズンに着ようと思ってクローゼットから出したところ、カビが発生していたという苦い経験は避けたいもの。長期保存する場合は、カビなどの原因となる汚れをしっかり落とし、日の当たらない、風通しの良い場所に保管しましょう。 さらに、一連のケア方法に加えて、最後の仕上げにカビの発生を防ぐミストをかけてから、保管するのがおすすめです。
■水に濡れてしまった時のお手入れ方法は?
水に濡れてしまった場合は、クロスで濡れた部分を丁寧にふき取り、太いハンガーにかけ形を整えてから陰干しをして乾燥させましょう。この際に、強く擦ったりドライヤーなどの熱風を当てて乾燥するのは、皮革を極度に乾燥させてしまい、ひび割れや退色の原因になるので避けましょう。
完全に乾いたら基本のお手入れ、①クリーナーで汚れを落とす、②クリームで保革する、③ブラッシングする、④防水スプレーを吹きかける。この4つの手順を行うことで、乾燥やカビの発生を未然に防ぎましょう。
いずれのお手入れも、表から見えにくいジャケットの内側などでシミにならないことを確認してから行ってください。
もし、自分では取り除けないシミやカビが発生してしまったら、皮革のお手入れに精通している設備・技術のあるクリーニング店へ相談ください。
デリケートクリームと、ミンクオイルの違いについて
ミンクオイルと、デリケートクリームの違いは?
レザージャケットのお手入れというと、「ミンクオイル」を塗るというイメージをお持ちの方も多いはず。
本格的なライダースジャケットなどの実用性重視のレザージャケットのケア用品として、広く認知されています。
ライダースジャケットなど堅牢性があるものは、肉厚な革を使用しており、オイルをたくさん塗布し、革の柔軟性を保つ必要性があります。またオイルによる防水性も、期待される効果の一つに挙げられます。
ミンクオイルは、柔軟性や防水性を付与するのに有効ですが、その反面革の色が濃くなりやすく、ベタつきやすいなどのリスクもあるそう。
このように肉厚なレザーを使用していなければ、スムースレザー全般に使用可能なデリケートクリームを使用することをおすすめします。皮革の仕上げの種類を確認したうえで、適切なケアを心がけ、お買い求めいただいた時のしなやかで美しい皮革の状態をキープしましょう!
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