東京、京都、松本、金沢など、それぞれに独自の文化が育まれた伝統ある街に数々の素敵な直営店を構える<ミナ ペルホネン>。今回は、皆川明さんが「空間」について、どのようにお考えなのか、お話を伺いました。
<ミナ ペルホネン>の直営店は、それぞれにコンセプトがあり、とても素敵な空間ですが、皆川さんが「空間」づくりで大切にされていることを教えてください。
Daikanyama/Tokyo
shop photo by Manami Takahashi
Kanazawa/Ishikawa
shop photo by Kazuhiro Shiraishi
materiaali Kyoto/Kyoto
shop photo by Makoto Ito
Matsumoto/Nagano
shop photo by Takumi Ota
いつ、どこで、どんな風に、何かや誰かと出会ったか。体験が記憶として残るうえで、空間はとても重要な要素になります。
私にとって自宅は、自分が過ごした時間が積み重なって、記憶や思い出が詰まった、箱のような空間です。旅で出会った物も多くあります。
東京、京都、松本、金沢などにある数々の直営店は、街の雰囲気、その土地の歴史や文化、経年変化で味わい深くなるような素材使い、職人の施工技術など、長く在り続けられるように、さまざまな要素にこだわって、それぞれの空間を表現しています。
今回のような短期間のイベントは、第一印象を大切に、商品が主役になるような展示空間を目指します。と同時に、資材や施工で無駄が出ないようにし、人的労力やコストとのバランスにも配慮した設えを心がけています。
『Dear Friend, Department』も、伊勢丹という街にどんな体験ができる店を作るか、という発想で考えました。その点では直営店と変わりありません。いずれにしても、新しい暮らしへの空想が広がるような、つぎの夢に繋がるような、そんな歓びのある空間にしたいと思っています。
皆川さんにとっていま、「デパート」はどんな場所ですか?
現在はオンラインなどのインフラが整備され、世界中の物が手に入りやすい時代になりました。デパートに限らず小売業全体が、いま大きな転換期を迎えていると思います。
そんな時代の「デパート」の存在意義とは? あえて買物のために出かける場所として、どんな風に変わっていくのか。また「デパート」のオンライン販売は、どう発展していくのか。なによりもお客さまのために、どんな歓びを創造していくのか。消費者としても、一緒にお仕事をさせていただく生産者としても、気になりますし、ある意味とても楽しみにしています。
私は、世界のグローバル化は、これからその意味合いがもっと深まっていくと思っています。
物や人の流れのグローバル化だけでなく、年代、分野、製法など、多様な要素が結びついて、世界中にある良い物づくりが繋がりあう、インダストリアルもハンドクラフトも繋がっていく時代になると思います。
伊勢丹も世界中の物が存在しながらも、皆お互いに繋がりあう、そんな出会いの場になるのかも知れません。
最後に『Dear Friend, Department』に来ていただくお客さまにメッセージをお願いします。
今回ご一緒させていただく国内外のブランドやメーカーは、個人的に私が、またブランドとして<ミナ ペルホネン>が、リスペクトしている素晴らしい方々ばかりです。
イーブンな関係でお互いの良さを出すように商品をつくりました。私たちの繋がりから生まれた新しい魅力を、お客さまの日常の中で楽しんで欲しいと思います。
Interview:Mari Terasawa
ISETAN MITSUKOSHI
Text:Noriko Hashimoto
Photo:Hiroko Sasaki
Coordination:Kana Touhuku
STUDIO UNI