〈築野食品工業〉米糠のチカラをとことん信じて

健康志向が高まるなかで注目されるのが、米糠を原料とする「こめ油」。これを、和歌山の地で製造する〈築野食品工業〉は、いわば米糠のエキスパートです。お米のポテンシャルを生かしたさまざまな事業で、新たなチャレンジを続けています。

八面六臂に活躍する米糠のポテンシャル

 良質な油分としてさまざまなメディアで見かけるようになった「こめ油」。米糠を原料とする豊富な栄養分や酸化への耐性といった機能面から、さっぱりとして食材の風味を生かせるといった味わいの面まで、その魅力は広く知られ始めています。

 米糠加工の分野で広く知られる〈築野食品工業〉は、1947年に設立された精麦工場が原点。その後、欧米化が進み麦消費の落ち込むなか、1960年から製油業を始めました。
 「“糠”の漢字が、米へんに健“康”と表すとおり、とにかく栄養成分が豊富。玄米中において1割しかない米糠のなかに、全体の約90%にも及ぶ機能的栄養素が含まれているのです」と語るのは、中井孝治第二営業本部長。
 当初は、油の抽出のみだった事業も、油分抽出後の米糠カスにも豊富な栄養素が残っていることに着目した同社は、その有効利用にも着手していきます。
「本当に一歩ずつ進んできた印象です。一つの成分を抽出しては、また次の成分とった具合に。残滓から、まだ何か出てこないか、何かの役に立たないか、と模索してきた結果です。大豆や菜種であれば、9割以上油が採取ですが、こめ油の場合は、6割程度。原料を“骨の髄”まで使い切らないと、なかなか採算が合いませんから(笑)。いつの間にか国道から紀の川沿いにまで敷地も広がりました」(同中井さん)

 こめ油以外にも、化粧品用途や栄養補助サプリメントから、医薬品原料にいたるまで、米糠由来の機能的栄養素がさまざま姿に形を変えて活躍しています。また、工業用の切削油など、食品以外の活用も進めています。
 そうした多角的に進める事業において、最大の生命線がやはり米糠の調達だといいます。
「大豆や菜種のように、原料が港にドーンと到着するわけではありません。日本では消費地精米が行われているために、日本中津々浦々で米糠が出ます。兵庫・大阪・埼玉の抽出工場を拠点に、極端な話、365日24時間体勢で集積しているのです」

“メイド・オブ・お米”のおいしいスイーツを

多彩に広げている業種の一つに、スイーツ製造があります。こめ油のさっぱりした味わいをさらに広く知ってもらうというために、近年からスタート。持ち前の探究的なアプローチで、スイーツもまた科学しています。

 

「ヘラクレスという機械などを用いて、こめ油の加熱による劣化具合や、他の油との比較検証などを行います。弊社らしく科学的なデータを活用して商品開発に生かしています」
と語るのは、このスイーツ事業を牽引する企画開発部の加藤貴大さん。現在、米油と米粉を用いた、いわば「メイド・オブ・お米」の魅力的なスイーツを追求する張本人です。

 スイーツの製造拠点は、本社敷地ほど近くの廃校となった高校校舎。ここに、加藤さんをリーダーとしてスタッフが日々スイーツを製造しています。
「手始めに製作したのは、フィナンシェとクッキーとシフォンケーキです。いずれもバターの風味が特徴的な洋菓子。これを、こめ油と米粉を代替として同様の美味しさを出せないか、というアプローチをしていましたが、何か違っていました。あるとき、米原料ならでは魅力をストレートに出せないか、という気づきに至ったのです」

 結果、バターの乳風味は、裏を返せば素材の味をかき消してしまう存在。こめ油ならば、素材の味を存分に生かせるという方針に転換します。
「そこで、今回選んだのが、和の要素をもった6種のフレーバーです」(同加藤さん)
厳選されたのは、プレーン・ゴマ・ほうじ茶・抹茶・塩・和三盆。米粉ならではのサクサクもっちりの食感に、和のフレーバーが絶妙に絡みます。
「米粉というと、どうしてもグルテンフリーなどの健康志向の側面ばかりが取り沙汰されがちですが、そうした要素を抜きにして、スイーツとして直球で勝負したい。その思いが詰まっています」(同加藤さん)

和フィナンシェ 6種アソートセット 1,620円 商品を見る

6つの和フレーバーが楽しめるフィナンシェセットは、三越伊勢丹のエクスクルーシブ。自社栽培したこめ粉と、P&Bオイルと呼ばれるこめ油を使用し、しっとりした食感に。オイルにはコレステロール低下なども期待できる成分「γ-オリザノール」が豊富に含まれています。また、使用する卵は、さかもと養鶏の白鵬卵。奈良県の鶏卵品評会で認められたブランド卵の風味も、こめ油によって最大限に引き出されています。

Photo_Kousuke Matsuki(image),Yuco Nakamura(item)
Food Styling_Midori Moniwa
Text_Masashi Takamura
 

 

 

和歌山ものづくり

 
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