〈伊勢屋〉「地産地消」を掲げ、地元のブランド和牛を支える肉の目利き

和歌山でクオリティの高い和牛を扱う精肉業者〈伊勢屋〉。おいしい肉を消費者に届け続けてきた目利きが、地元のブランド和牛「熊野牛」の普及役を担い、さまざまな取り組みを行っています。

良質な肉を見極める、目利きのチカラ

 和歌山市内に自社の精肉工場をもつ卸売業者の〈伊勢屋〉。創業は1962年に遡ります。特徴としては、良質な和牛を枝肉(牛の半身)で仕入れ、自社で精肉加工を施している点。オーナー自らが、日本各地から自慢の目利き力で選んだ、優秀な和牛を買い付けており、評価を受けています。社内に飾られる数々の表彰の盾が、その目利き力の確かさを裏付けているのです。
 このたびお話を伺ったのは、2代目社長、前田秀樹さんの御子息で営業担当を担っている健太郎さん。地元牛の普及に精力的に活動しています。
「2年前から自社での肥育に取り組んでいます。ひとマス(牛舎のひと区画)に4頭と比較的余裕をもたせて、最大27頭まで育てました。次々出荷していき、昨年末の繁忙期であと4頭を残すのみに。自社で扱う熊野牛に付加価値を与えるために、肉質が高まるといわれる雌牛の長期肥育に挑戦してみたんです。畜産家への委託肥育によって、定期収入につながれば、という思いもありました」

 話を伺うと、なかなかの精力家である健太郎さん。和歌山市内には、自社で仕入れた肉を扱う精肉店「マチェレリア・アズーラ」と、熊野牛に特化した焼肉店「焼肉 カロッソ」をオープンするなど、その普及の手を止めません。地元の和牛を卸す立場ではありますが、さまざまな業態にチャレンジしています。
「熊野牛の肥育に関しては、一定の役割を終えたかなと思っています。命を扱う難しさも感じましたし、ひと頃は供給不足と感じていた熊野牛も現在は、頭数が安定してきました。直営店に関しては、取引先の領域に踏み込んではいますが、率先してその魅力を伝える役目があるのかと思い、取り扱ってもらうのを黙って待つよりは、まず始めてみようというところです」
 和歌山県BBQ協会などの活動も含めて、肉を美味しくいただく、ということに関しては妥協をしないのが、前田流といっても過言ではないでしょう。

熊野牛の魅力とは

 熊野牛の条件は、格付けA3等級以上で、和歌山県で14ヶ月肥育されて26ヶ月以降に出荷される黒毛和種。そのルーツは、平安時代に遡ります。熊野詣でが盛んだったこの時期、京都から連れてこられた荷牛に由来。農耕用として育ってきたものを肉牛用に品種改良され、2004年からブランド化されています。
「肉質はきめ細やかで、柔らかく赤身の肉感も強いです。畜産家によっては多少内容の違いはありますが、やはり、その中でも繊細なサシは重要。さっぱりとした脂身とのバランスが絶妙です」

 地産地消を掲げて、自社で扱う熊野牛は、適切に温度管理がなされた精肉場で加工されていきます。腕を振るうのは、枝肉からの解体似てなれた職人たち。手際よく作業をしていきます。

 「和牛の融点は、非常に低いです。体温でも溶け出してしまうものもありますから、手際の良さが何より大事。室温も常に15℃以下に保たれています。枝肉解体は技術が必要。他の業者が、ここに修業しにくることもたまにありますよ」
 このように熊野牛の扱いに長けた事業者の手によって、丹精込めてパッケージされた熊野牛。数々のブランド牛を扱う〈伊勢屋〉のお墨付きを得て、日本全国への普及を目指しています。

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丁寧にカッティングされた熊野牛のロース、イチボ、ランプが真空パックでワンセットに。1部位あたり約90gという贅沢な内容となっています。この取り組みで推奨しているのは、〈かんじゃ山椒園〉が手がける「食べ合わせ山椒セット」とのペアリング。肉の風味を引き立てる山椒とともに、部位やトッピングを替えながら、ご家庭で食べ比べを楽しんでみては。

Photo_Kousuke Matsuki(image),Yuco Nakmura(item)
Food Styling_Midori Moniwa
Text_Masashi Takamura

 

和歌山ものづくり

 
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