【対談】気になるあの人に会いに行く。「PASCAL MARIE DESMARAIS」デザイナー マリエさん 

ファッションにとどまらず、東京のカルチャーやムーブメントを世に発信してきた三越伊勢丹のコンセプトショップ【TOKYO解放区】。長年バイヤーを務めてきた寺澤真理が、様々な業界のおもしろい人たちとおしゃべりをしながら頭の中を紐解いていきます。

マリエさん

モデル・芸能活動中、人気絶頂の23歳の時にファッションを学ぶべくNYへと単身渡り、一から自らのキャリアを見つめ直したマリエさん。
帰国後は自らの本名を配したブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」をスタートし、起業も。

いち早くファッションを通じ、サステナブルの大切さ伝えてきたマリエさんに今までのことやこれからのこと、たっぷりとお話しをうかがいました。

心から学びたいことを学べる喜びを知ったNY生活

寺澤: 以前、私がサステナブルについて勉強しようと足を運んだトークイベントにマリエさんが登壇されていらして、なんて興味深いのだろうと。今日は改めて思う存分、訊きたいことをたくさん伺いたいです。

マリエ: うわぁ、うれしい!

寺澤: 今は「PASCAL MARIE DESMARAIS」というブランドをやられていますが、以前はモデルやタレント活動もされていましたよね。
どういうきっかけから留学しようと思ったんですか?

対談風景1

マリエ:もともと12歳くらいの時からパーソンズに行きたいっていう夢がずっとあったんです。小さい頃からファッションが大好きで、遠足の時も「おやつの事よりも、何を着て行こう? コーディネートを考えたい!」みたいなタイプだったんです。

12歳頃に父親に将来のことを考えなさいと言われて、家のパソコンでファッションの学校を調べたら、パーソンズ美術大学って学校がNYにあることを知って、行ってみたいなって。23歳の時に事務所の契約が終わるタイミングだったので、学びたいものをやってもいいんじゃないかと思って、留学しました。

寺澤: ファッションが好きだと、そういうファッションの学校に行くのは憧れでもありますよね。特にNYは最先端のファッションを発信している場所でもあるので。そこで学んでいかがでしたか?

マリエ: 本当に自分の好きなことを学ぶ幸せを感じた場所でしたね。
初めての授業で教授が開口一番に「あなたたち今週のDolce&Gabbanaの記事見た?」って言った時にもう感動して! それまでは、学校の先生の言うことは自分の興味のないことだと思っていたんですけど(笑)。好きなことを学ぶって、こんなにワクワクなるんだなってすごく感じましたね。

対談風景1

寺澤: 具体的にパーソンズではどんなことを学ばれていたんですか?

マリエ:私はファッション専攻でファッションマーチャンダイジング、マーケティング、パターンメイキングなどを学んだり。ファッション用語を学ぶライティングの授業も面白かったです。結構好きだったのは、ウィンドウディスプレイの授業。NYはさまざまな人種がいるので、マネキンもたくさんの肌色を並べるとか。人通りをシュミレーションした上でディスプレイを考えたり。素敵と思ってもらえるものを、いかにヴィジュアライズするかというのはとても勉強になりましたし、物の見方が変わりましたね。

対談風景1

寺澤: 今までファッションっていう感覚的なものだったのがロジカルに、しかも実はこうやって作り込んでいたんだっていうのが知れたんですね。

マリエ: すごく面白かったです。街の見方が変わるっていうのはありましたね。

寺澤: パーソンズには何年いらっしゃったんですか?

マリエ: 約1年間ですね。普通は2年間ぐらいかけて卒業資格を取るところ、私の場合は朝も夜も全部授業を取ってがんばりました。

寺澤:すごーい。ご自身のブランドを立ち上げられたのはNYから戻ってから?

マリエ: そうです、戻ってきてからです。卒業後、パーソンズの教授のもとでずっとアシスタントをさせていただいたり、5年間ぐらいはNYにいて。28歳の時に日本でラジオを始めるにあたり戻ってきました。ブランドを始めたのは4年前ですね。

対談風景1

 

ブランドや会社を作ったのはファッションを通じて伝えたい想いがあったから

寺澤: 冒頭にお話ししたマリエさんが登壇されていたトークイベントで興味深いと思ったのが、友達とかが欲しいと思うものを作って活動をしていたら、「君がやってることって、サステナブルだよ」って言われて、「あ、そうなんだ」って思ったというエピソードなんです。

マリエ: そう、偶然です。まず私自身、“サステナブル”という言葉をよくわかってなかったっていう(笑)。

寺澤: 私はマリエさんがサステナブルなブランドを始めようと思って始められたのかなと思っていたんです。が、大切な誰かに届けたいものが、必然的かつ自然にサステナブルと称されるものだったというのがすごく素敵だなぁって思って。

対談風景1

マリエ: 数年前にブランドを立ち上げようと思ったときの覚悟と、会社を立ち上げたときの理由が一緒で。18〜23歳の頃はインタビューを受ける機会も多く、人の未来を少しでも良い方向に変えられる情報発信のチャンスをもらっていたのに、生かせなかったことを25、6歳の頃にすごく後悔したんですね。

寺澤: そうなんですね。モデルや芸能人としてご活躍されていた頃ですね。


マリエ: 21〜25歳くらいまで自分の精神と健康状態が悪化していて、抜け出すのに時間がかかったのですが、その時に得た学びを日本の女の子たち、今までサポートしてくれていた人たちに伝えなきゃとすごく思ったんです。自分に興味を持ってくれた子や支えてくれた人たちの人生を少しでも明るく、ヒントを与えられたらいいなあって。

どう伝えようと思った時に、ファッションで伝えることができたら。かわいいと思って買ったら、本当は地球に良いことだったとか、肌に良かったとか。そういう体験をして欲しかった。

だから最初のコレクションはTシャツ1枚だったし、次のコレクションも5型ぐらいしかなかったんですが、一つひとつに思いを込めて作って。

対談風景1

大量生産して、値段を抑えていろんな人に売るのが目的じゃないので。例えば、アルパカのニット帽が2万円します。「なんでそんな高いものを作るんですか? なぜアルパカだったんですか?」って聞かれた時に、「このアルパカの糸はこういう風に作られていて、他の動物性の糸はこういう風で。だから私はこのアルパカを使ったんです」ってストーリーを伝えたかった。それをサステナブルと呼ぶのだと思うんですけど。
 

サステナブルはおしゃれ好きな子たちができる今最大のおしゃれ

寺澤: マリエさんにとってのファッションとサステナブルとは?と聞かれたら、極論、後付けで論理的になっているだけで、初めは自然にというか。届けたいことが、ファッションでありサステナブルであるという感じに近いんですかね。


マリエ: そうですね。最近若い子と話していると、「サステナブルな社会貢献をしたいんですけど、どうしたらいいですか? ゴミ拾いとかに参加したらいいですか?」とか、興味はあるけどどうしたらいいかわからない子が多いなと感じていて。

そんなに深く考えなくていいよって言っているんです。私的にはサステナブルって、今のおしゃれが好きな子たちのできる最大のおしゃれだと思っていて。

対談風景1

地球環境守ろう!って入っていくよりも、今いちばんのおしゃれなことって、オーガニック素材を選んだり、職人さんが一生懸命作ったピースを頑張って買うことだったり。地球環境守りたいって思わなくても、誰よりもおしゃれにいたいと思ったら、サステナブルな選択をしたほうがいちばんおしゃれだよって言っているんです。

寺澤: なるほど。すごい、格言みたいですね。今日の一言いただきました(笑)。

マリエ: いやいやいや(笑)。そう言うとみんなすごくほっとしてくれる。
なんか〇〇しなきゃ、ヴィーガンにならなきゃダメなのかなとか。もちろんそれはベストかもしれないけど、まず興味を持ってもらうところでおしゃれの一環にサステナブルがあるっていう。

寺澤: そうですよね。今日マリエさんが着ている“プラスチックモンスター”っていうキャラクターも可愛いですよね。最近Tシャツとして商品化もされたり、WWDさんで4コマ漫画の連載も始まりましたよね、拝見しました。

対談風景1
 
マリエ: そうなんです! ありがとうございます。今年の2月1日から1年間4コマが続く予定です。“サステナアートコミック”っていう名前を付けて“サスコミ”って呼んでます。DUNKWELLさんっていう今話題のアーティストさんと私、フードロスなど食の観点からサステナブルを考えるアーティストのhangover plateさんと3人でこの4コマをプロデュースしている感じなんです。もともと、自分たちで商品の納品とかもやっていることがきっかけで。

寺澤: えぇ〜。すごい(笑)。

マリエ:倉庫に頼んでいたんですが、どう納品されているかコントロールできなくなっちゃったんですよ。知らない間に、オーガニックコットンとかで作ったTシャツがビニールに入れられていて。多分、良かれと思ってですよ?

寺澤: そうですよね、綺麗にね?

マリエ: 我々の商品を届ける行為は、ミュージシャンが音楽を歌って愛を届けるのと一緒で。シンガーソングライターだったら他の人に歌わせないじゃないですか? 私たちも大切に作って愛を届けているのに、それを他の方に任せるのはまだ早いのではという話になり、今は自分たちで紙に包んだりしながら。
でもオンラインの大手だと、納品形態がプラスチックに包まないと受け取りませんよって言われるんですよ。

寺澤: はい。(弊社としても)耳の痛い話です...。

マリエ: もちろん理解はしてはいるんですが、なんとかしなきゃいけないと思って。でも、私のようないちデザイナーが、「プラスチックに入れたくない!」って言うのは角が立つし、伝わりにくい。かわいい伝え方はないかなってチームと相談して。「キャラクターがいちばん伝わりやすいんじゃないか」と生まれたのが、このプラスチックビニール袋を頭からかぶっているプラスチックモンスターだったんです。

対談風景1

4コマは解決策ではなく、意識の投げかけに気をつけて展開しています。これが正しい!ではなく、何か変じゃない? 例えば、コンビニの袋は有料なのに、ナイフやフォークはいくらでもくれる。それってどうなの? みたいな。読んでふと次の日コンビニに行く時に、「あれ」ってちょっと思い出してくれれば、何かのきっかけになるのかなっていう思いでやっています。

寺澤: サステナブルはそういうところが重要なポイントかもしれないですね。できることからちょっとずつやっていこうっていうことが本当に大事なので。

マリエ: うんうん。1年半ぐらいかかりましたね、ここまで来るのに。

寺澤: ブランドを4年前から始めて、時代をすごく先取っているっていうか。こういう世の中になるであろうとずっと言われていたと思うんですね。でもなかなかシフトして行けなかった。いち早く提案されたのは、すごく素敵な活動だなぁって思っています

 

大好きなラジオや製作中の本を通じて伝えたいメッセージ

寺澤: さきほど百貨店のウィンドウの話もありましたが、マリエさんは伊勢丹とか三越のお店にいらしたことはありますか?

マリエ: もちろんです! お化粧品コーナーとかは、オーガニックなものとかがどんどん増えてきてるなって感じるし。伊勢丹は結構メンズ館に行くことが多いです。

寺澤: へぇー。メンズ館楽しいですよね!

マリエ:店員さんが素晴らしい! 本当に。仲良しの店員さんいっぱいいるし。友達って言ったらおこがましいんですけど、行ったらファッションの話ができるフレンドが増えたみたいな感覚はすごいなぁって、一流だなぁって思います。

寺澤: そうですね。今のこのコロナ禍においての時代感かもしれないですけど、リアルになかなか行かなくもなっているけれども、でもそこの大事さというか。やっぱりその他愛もない話ができるそのひと時の時間って、以前に比べるとすごいかけがえのないものですよね。

マリエ: うん、本当にそう思います。いつもお世話になっています。

寺澤: メンズ館に行かれるということで、性差なくというかジェンダーフリーというか、そういうことって意識することはありますか? 普段の活動とかで。
 

対談風景1

マリエ: なぜ伊勢丹のメンズ館に行くかっていうと、“プロショップ”が多いんですよ。 “プロショップ”っていうのは、私の中で今流行の言葉で(笑)。 本当にこだわった革靴。何々職人がやったこの歯ブラシとか。すごくこだわってるじゃないですか、メンズ館って。そういうストーリーが私の興味をものすごくそそるんですよね。

寺澤: そうですね、玄人ですよね。

マリエ: そうなんです。本当にゾクゾクさせられるというか、それが楽しくて。
ジェンダーについていうと、LGBTQIAまでですよね? まだまだ日本ではLGBT、たまにQまで言う人がいるくらいなので、もっと理解を広めた上で、何でもいいよねって言える日が来たらいいなって思っています。いきなりそうなると同じ失敗の繰り返しだと思うので。みんなが同じように勉強して、いつか何でもいいよねっていうところに辿り着くのがベストだと思います。


寺澤: そんないろんなテーマをお話ししているラジオもされていますよね? J-WAVEさんで。私、結構マリエさんを追いかけていまして、J-WAVEさんのホリデースペシャルとかもよく聞いてます(笑)。この間も拝聴しましたけど、VOGUE JAPANさんのヴォーグ・ファッションズ・ナイト・イン(FNI)で環境大臣の小泉進次郎さんと。

マリエ: 今、私は環境省の“森里川海アンバサダー”をやらせていただいていて、小泉さんと問題をシェアする機会も多く。このプラスチックモンスターもすごく気に入ってくださっていて。ファッションからの環境アプローチっていうのをシェアさせていただいている中で、VOGUEさんがグローバルでサステナブルファッションっていうのを打ち出したいっていうことだったので。

寺澤: 今まではファッションナイトアウトだったけどアウトじゃなくてイン。すごく素敵だなと思いました。

マリエ: わぁ、ありがとうございます!

寺澤: すごい追いかけていますよね、私(笑)。ずっと家で聞いていました。さらに興味があるのが、本を出されるって。もう細かいところとか決まられているんですか?

マリエ: タイトルとかはまだ決まっていないんですけど、自分がどうして今の活動しているのかとか、好きなことに出会う大切さだったりとか。女性が日本で起業する大変さをどう切り抜けていけばいいのかっていうウーマンエンパワーメント的なこと。
あとは、メンタルヘルスだったりとか。体調を崩していた経緯があったので、どうそれを自分で治していくかっていうヒントがすごく詰まった本になると思っています。

寺澤: 今絶賛まとめ中?

マリエ: そうです!

寺澤: 今苦しそうな顔をされてらっしゃいましたね(笑)。いつ頃ですか?

マリエ: うまく行けば4月末だったり、5月頭っていう感じですけど。かなり衝撃的な内容がたくさん入っているんじゃないかなと……。女の子の生きるヒントになったらいいなって。女の子じゃなくても。

寺澤: 今そういう話をすごく聞きたい方多い気がします。ファッションって今まで自己表現や外側の話がありがちだったんですけど、マリエさんの話を聞いていると精神性というか頭の中、体の中から出てきたものを表しているのがファッションという感じがすごくします。

マリエ: ありがとうございます。

寺澤: 今日はたくさんのお話を伺いましたが、今いちばんおしゃれなスタイルこそがサステナブルだよっていうのを若い世代にお伝えしたいっていうのが印象深いことでした。サステナブルって一見構えちゃいそうですけど、今日のその言葉を伺って、「そうだよな、気軽な感じで捉えていればいいんだよな」って改めて感じることができました。今日はどうでしたか?

マリエ: こういう機会があって初めて、自分がどうしてこういう活動をしているのかっていうのを伝えられると思うし、すごく興味を持って聞いていただいたので嬉しくて恐縮です。

寺澤: 本当ですか、良かったです。本日はありがとうございました。

マリエ: ありがとうございます。楽しかったです。

 

マリエ  
Instagram / @pascalmariedesmarais_pmd
1987年6月20日生まれ。東京都出身。ViViの専属モデルやTV笑っていいともや主要番組レギュラーを数多く務め、タレント活動を含め多方面で活躍。2011年渡米、NYにある名門「パーソンズ美術大学」へ留学。ファッションを専攻。JWAVE「SEASONS」ナビゲーターを務める傍、企業家・デザイナー、さらに2020年から、環境省アンバサダーに就任。今も活動の場を広げている。

【役職】
株式会社HELL OF HEAVEN
代表取締役兼デザイナーJwave ナビゲーター
環境省森里川海アンバサダー

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マリエが語る〈PASCAL MARIE DESMARAIS〉のこだわりと魅力

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