陶芸家・桑田卓郎の個展を

ニューヨーク、ロンドン、パリ、ブリュッセルで個展を開催し、世界で注目を集める陶芸家・桑田卓郎さんの個展を伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペースで開催。バイヤーの注目ポイントや今回の個展のテーマなど、桑田さんへの一問一答も交えてご紹介します。
3 lessをキーワードにする
実験的ポップアップスペース
イセタン ザ・スペースは、「Timeless」「Genderless」「Categoryless」(=3 less)をキーワードに、独自の世界観を表現する先駆者たちと、時代に流されない本質的なクリエーションを発信。モノの表層を捉えるのではなく、その背後にあるつくり手の思想や哲学にもフォーカスするポップアップスペースです。
美術作品に限らず、ストリートファッションから派生した作品やビンテージ家具などさまざまなカテゴリーをご紹介するなかで、今回は陶芸家の桑田卓郎さんをクローズアップします。
伝統と革新を融合させた大胆な手法
桑田卓郎さんの作品は、釉薬が縮れ下の素地が見える状態の「梅華皮(かいらぎ)」技法や、素地に石を混入させて焼成で石を露出させる「石爆(いしはぜ)」技法をはじめ、金や白金を上絵付けにより施すなど、伝統と革新を融合させた大胆な手法が特徴です。

©️Alison Jacques

(Porcelain, stone, glaze, pigment, gold)
※画像はイメージです。本ポップアップでの販売はございません。
アートピースとクラフトシリーズを展開
「桑田さんの作品は海外のコレクターたちの間でいち早く高い評価を受け、その評価はやがて日本を含む世界中へと広がりを見せています。近年、日本国内での個展開催は控えめで、むしろ海外での発表に重きを置かれてきました。その経験を通じて、作品はよりダイナミックに、そして自由な表現を獲得していると感じます。
さらに、近年ではファッションブランドとのクリエーションを行っており、アートとファッションの垣根を越えた表現は、より幅広い層のお客さまに響くものと確信しています。
非日常にある“彫刻”と、日常としての“器”、その両面を多くの方にご紹介したいと考えております」と語るのは、イセタン ザ・スペース担当バイヤーの大田彩。

(Bronze, gold plating/約20×25×23cm)
©️TAKURO KUWATA INC.
※価格は店頭にてお問い合わせください。
今回のポップアップでは、新作を中心としたアートピースに加え、日常使いしていただけるクラフトシリーズも展開します。

(Porcelain/Mサイズ/約8.2×8.2cm)
©️TAKURO KUWATA INC.
※価格は店頭にてお問い合わせください。
活動拠点である岐阜県多治見市は美濃焼の産地のひとつとして知られ、長い歴史のなかで培った多くの生産技術を蓄積しています。その技術を安価な大量生産に用いるのではなく、手仕事では表現できない精度を生かしたデザインとして展開させているのがクラフトライン
「く KU」のプロジェクトです。

(PU樹脂/Sサイズ: 約6×7.2×3.5cm、Mサイズ: 約8.4×8×4.3cm)
©️TAKURO KUWATA INC.
※価格は店頭にてお問い合わせください。
桑田卓郎さんに「一問一答」
さいごに、桑田さんに陶芸の魅力や今回のテーマについて伺いました。会場では桑田さん自身がデザインした特別な空間でアートピースやクラフトシリーズを展示販売いたします。ぜひ伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペースに足をお運びください。
Q:陶芸の道に進んだきっかけは?
A:幼い頃から絵を描くことや、手を動かして何かをつくることが好きでした。美術大学の受験の際、陶芸コースを選んだことがいまの活動につながる大きなきっかけとなりました。
Q:陶芸の魅力は?
A:陶芸は、日常生活の道具として身近な存在です。土が焼かれ、陶磁器へと変わっていくプロセスに魅力を感じており、それが自分にとても合っていると感じます。
Q:アートピースとクラフトシリーズで制作する際に意識の違いはありますか?
A:それぞれに求められる場所や価値観が異なるため、アプローチの仕方は変わりますが、「ものを生み出す」という根本的な意識は変わりません。
Q:制作のインスピレーションはどんなところから得ていますか?
A:人との出会いや制作過程での作業から、たくさんのインスピレーションを受け取っています。どんなことでも、対話からはじまることが大切だと感じています。
Q:今回の展示のテーマについて教えてください
A:今回のテーマは「近くにあって遠いものから」です。
身近に感じても、社会や時代の流れによって、その存在が影響を受けるものは多い。そんなことを考えながら、作品に向き合っています。
Q:お客さまへのメッセージをお願いします
A:少し立ち止まって、作品に目を向けていただけたら嬉しく思います。

1981年広島県生まれ。2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業後、2002年に陶芸家の財満進氏に師事。2007年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在は岐阜県多治見市で制作する。
ニューヨーク、ロンドン、ブリュッセル、パリなど世界各地で展覧会を開催。
2006年益子陶芸展 濱田庄司賞受賞
2009年テーブルウェアフェスティバル・テーブルウェア大賞 グランプリ・経済産業大臣賞受賞
2018年LOEWE Craft Prize特別賞受賞
2022年日本陶磁協会賞受賞
作品は金沢 21世紀美術館、国立工芸館、シカゴ美術館、パームスプリング美術館、メトリポリタン美術館など世界各地のパブリックコレクションに収蔵される。
く KU + 桑田卓郎「近くにあって遠いものから」
□2025年6月26日(木)~8月1日(金)
□伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペース
お問合せ:電話03-3352-1111 大代表