情景や物語を思い浮かべるような繊細なジュエリー|<マリハ>マリエ ウエストン

情景や物語を思い浮かべるような繊細なジュエリー|<マリハ>マリエ ウエストンのメインビジュアル

ブランドやプロダクトが気になったとき、もっと深く知りたくなるのがデザインに込められた想いやデザイナー自身のこと。そんな「ブランドの人となり」に伊勢丹新宿店の装身具バイヤーが切り込む連載企画。
今回は<MARIHA/マリハ>のクリエーティブディレクター/デザイナーのマリエ ウエストンさん。繊細さがあふれ出すデザインも情景が浮かぶような詩的なネーミングも、そのルーツとなる想像力も表現力も幼少期から養われていたようです。

ジュエリーを眺めて心をときめかせていた幼少期

バイヤー:<マリハ>はマリエさんが身に着けたいと思うジュエリーを作りたいと始められたそうですね。

マリエ:そうなんです。私自身が心から身に着けたいと思うジュエリーがなかなか見つからなかったのが<マリハ>のきっかけなんです。天然石や地金などの素材にこだわりながらも愛着を持って日常的に身に着けられるジュエリーがほしくて、それなら自分で作ってしまおうとブランドを立ち上げました。

マリハのイメージ画像

バイヤー:そんなジュエリーへの強いこだわりが生まれたきっかけなどはありますか。

マリエ:親族が外交官だったり海外でもビジネスをしていた縁もあって、天然石などのジュエリーを目にする機会も多く、ギフトとしていただくこともありました。家族もアートや文学、映画やファッションが趣味だったこともあり、文化的なものに日常的に触れることができました。ジュエリーは身に着けることができるアートのような存在なので自然と惹かれていったような気がしています。

バイヤー:幼い頃からジュエリーと接点があり、感性が磨かれるような環境にあったのですね。

マリエ:母は常に本を机の上に積み上げているような読書家で、家には書庫もあるぐらいでした。私も自宅にある本や画集を読み漁っていたのですが、それでは物足りず書店、図書館に通うのが習慣になりました。アートは両親とも好きだったので、休日や旅行中には美術館や博物館に行くのが定番でしたね。

バイヤー:さまざまな「表現」に触れることで審美眼のようなものが自然と養われていたのでしょうか。

マリエ:バレエやピアノを習っていたので、表現をするということに自然と慣れ親しんでいたのかもしれないです。審美眼が養われたのかどうかはわかりませんが、幼い頃から石の奥深い色や個性、カッティングによって変わる輝きに惹かれて、母がジュエリーを収納していた引き出しを覗いては心をときめかせていました。

バイヤー:当時の「心がときめく感覚」というのはジュエリーデザイナーとなった現在でも天然石を選ぶ際のポイントとして活きていますか?

マリエ:感覚そのものは変わってはいないと思うのですが、直感的に選ぶこともあるので説明するのは難しくもあります。もちろん品質にはこだわっていますが、魅力的だと感じたらあえてインクルージョンが個性的な石を選ぶこともあります。その石の本来の色味や輝きを引き出すようなカッティングにこだわったり、「こうでなければならない」という常識にとらわれすぎないようにはしています。

マリハの商品画像

日本古来からの美意識をテーマにしたネーミング

バイヤー:私は<マリハ>の魅力を語るうえで優美なラインや肌に寄り添うなめらかさ、天然石と地金の絶妙バランスによるミニマルさなど、繊細なディテールは外せないポイントだと思っています。

マリエ:女性にとってジュエリーは特別な意味を持つパーソナルなものだと思っています。お守りのように肌身離さずという方もいらっしゃると思うので、「<マリハ>のジュエリーを身に着けている方に幸せが訪れますように」といつも願いを込めています。

バイヤー:デザインに関して軸となっているような考えはありますか。

マリエ:身に着けている方が美しく見えることはもちろんですし、ずっと身に着けていたくなるようなタイムレスで品を感じるデザインを心掛けています。着用感が良くて、肌に自然になじむことも大切です。天然石などを吟味して選んでいるので、素材の良さが引き立つようにデザインはあえて引き算を意識し、ディテールまで考え抜くのもこだわりです。シンプルなものほど完成度を高めていくことが難しいと感じています。

バイヤー:確かに削ぎ落とす工程ほどセンスが問われて難易度が高そうですし、だからこそ<マリハ>のジュエリーのミニマルさには強いこだわりを感じます。コレクションのネーミングも<マリハ>の特徴のひとつですよね。

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マリエ:「花鳥風月」という日本古来の美意識をテーマに制作しているので、コレクションにはそれぞれの背景にある物語が伝わるような名前を付けています。世界中を旅して壮大な自然の美しさや情景に触れ、そこからインスピレーションを得てデザインした大切な作品がひとつ増えていくたびに世界が完成していくイメージで「水」や「朝露」、「願い事」など聞くだけで心に灯がともるようなポジティブな名前を付けるようにしています。

バイヤー:ジュエリーの繊細さとリンクした和名もブランドの世界観を醸成している魅力であると感じています。書庫で読み漁っていたというマリエさんなので言葉選びにはきっとこだわりもあるんでしょうね。

マリエ:子供の頃から本を読むのが好きといいますか活字中毒で(笑)。小説や詩、辞典から図表まで、一冊を読み終わったらまた次を探しては読むということを繰り返していたので、言葉にこだわりがあるのはそのせいかもしれません。詩的な表現の裏にある情景に想いを馳せるのが好きで、それが私自身の日常の小さな喜びでもあるので<マリハ>のジュエリーの名前からそれぞれのストーリーをお客さまが感じたり、想像していただけたらうれしいです。

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「日常にある美しさ」という小さな喜びを生み出す

バイヤー:想像力が豊かなマリエさんですが、さらにジュエリーデザイナーとしてチャレンジしてみたいことなどはありますか。

マリエ:ブランドとしてもデザイナーとしてもさらに成長していきたいです。現状にとらわれることなく心を豊かにするクリエーションを継続していけたらと思っています。

バイヤー:マリエさんの想い描く「心を豊かにするクリエーション」はどういったものでしょうか。

マリエ:私にとって心に豊かさをもたらしてくれるもののひとつが「日常にある美しさ」です。例えば身のまわりを好きなもので整えたり、心地良いと思えるファッションを楽しむということであったり。季節の花を愛でるというのもそうです。だからこそジュエリーという「日常にある美しさ」をお客さまと共有し、小さな喜びを生み出していきたいと思っています。

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バイヤー:マリエさんの思いが込められたジュエリーを、三越伊勢丹のお客さまにどのように楽しんでいただきたいですか。

マリエ:石にそれぞれに違いがあるように人の魅力もそれぞれだと思います。<マリハ>のジュエリーが、個性の異なる一人ひとりに寄り添えるよう、シリーズが異なっていてもコーディネートした時にお互いがしっくりと馴染んで調和するように考えています。手元には存在感のある「Earth Drops」のローズクォーツのリング、胸元には繊細に輝く「時の砂」のネックレス、そして耳元にはさりげなく女性らしさを添える「願い事」のピアスを着ける。ジュエリーのワードローブに必要なものすべてを<マリハ>で揃えられるようにコレクションを作っているので、それぞれのお客さまが自分らしく輝けるスタイリングを見つけていただきたいです。

バイヤー:「一人ひとりに寄り添えるジュエリー」というのは素敵です。

マリエ:「Earth Drops」の石が視界に映ったときにふと癒されたり、元気が出たり、耳元で美しく揺れる「雨音」のピアスを身に着けた日に「横顔がきれいだね」と褒められたり。そんな気分が良くなるような出来事を、ジュエリーを通じて一人ひとりにお届けできればと思っています。

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バイヤー:伊勢丹新宿店で<マリハ>を選ぶのは、マリエさんの美意識に共感しているお客さまが多いように感じます。マリエさんにとって伊勢丹新宿店のお客さまはどんな印象でしょうか。

マリエ:感度が高く、審美眼がある方ばかりという印象です。素敵なお話を聞かせていただくことも多くて、いつも勉強させていただいています。カップルやご夫婦だけでなく、お母さまとお嬢さまで来られたというお客さまと出会うこともあり、世代や性別をこえて愛用してくださっているのを知るととてもうれしいです。ユニバーサルでタイムレスなジュエリーを提案する<マリハ>としては、これからも審美眼のある伊勢丹新宿店のお客さまに長く愛されるよう努力し続けていきたいと思っています。

Marie Weston

アート、文学、映画、ファッションに囲まれた幼少時代を過ごす。 パリを拠点に、クリエーティブディレクター/デザイナーとしてインターナショナルに活動。「花鳥風月」をテーマにした繊細で女性らしい感性を生かした創作を行う。早稲田大学卒。

<マリハ>デザイナー来店イベント

□2024年7月6日(土)午前10時~午後1時
□伊勢丹新宿店 本館1階 アクセサリー/マリハ
※混雑状況によって店頭で整理券を配布いたします。

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