ミニマルなスタイリングを暮らしに。自分だけのヴィンテージに出会える。
表参道の裏通り、とあるアパートの1階にひっそりと佇む、北欧ヴィンテージデザイン専門店「ELEPHANT」。そして、山梨県南部町、山間の道を進んでたどり着く1軒の古民家が、北欧ヴィンテージ家具などを扱うギャラリー・ショップ「SNORK MODERN AND CONTEMPORARY」。アート愛好家の間で常に注目されている2つのショップが、このたびISETAN THE SPACEのディレクションで、初のコラボレーションイベントを開催します。
今回は、イベントの立役者であるお二人に、北欧ヴィンテージへの想いやこだわり、そしてイベントにむけての意気込みなどをうかがいました。
NORDIC MODERN VINTAGE ※終了いたしました。
□期間:6月9日(水)~6月22日(火)
□開催場所:伊勢丹新宿店 本館1階 プロモーションスペース
※掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。必ず事前にホームページを確認してからご来店ください。
※イベント開催時の商品に関するお問い合わせは店頭までお願いします。電話03-3352-1111 大代表
公式インスタグラム @isetan_the_space
INDEX
1. 「ELEPHANT」吉田安成氏&「SNORK」小山秦之氏 インタビュー
2. ELEPHANT セレクション
3. SNORK セレクション
4. スペシャルアイテム
1.「ELEPHANT」吉田安成氏&「SNORK」小山泰之氏 インタビュー
ヴィンテージへの想いやおふたりの出会いのきっかけなど、ISETAN THE SPACEバイヤーの大田彩がうかがいました。
吉田安成
北欧ヴィンテージデザイン専門店「ELEPHANT」オーナー兼バイヤー
大学では建築を専攻、独学でグラフィックデザインを学び、広告制作会社にてデザイナーとして勤務。退社後、北欧のヴィンテージデザインを専門に取り扱うオンラインショップELEPHANTをスタートする。その後、2008年ELEPHANTの世界観をより明確に発信できる場として表参道裏に実店舗をオープン。オーナー兼バイヤーとして日々北欧ヴィンテージのあらたな魅力を発信している。
小山泰之
北欧ヴィンテージ家具「SNORK MODERN AND CONTEMPORARY」オーナー兼バイヤー
日本の美大で工芸を学び、その後スウェーデンの美大でコンテンポラリージュエリーとデザインを学ぶ。帰国後自身の創作活動を開始する傍らデザイン作品の収集を始める。移住先である山梨県の古民家を約9年かけてセルフリノベーションし、2015年の春 SNORK MODERN AND CONTEMPORARY をオープン。ヴィンテージファニチャーやデザインプロダクトを取り扱う他、住宅や店舗の意匠設計、インテリアのスタイリング等も手掛ける。
大田 彩
伊勢丹新宿店 ISETAN THE SPACEバイヤー
リスタイルプラス、リスタイルのバイヤーを経て2019年よりISETAN THE SPACEのバイヤーとなる。2020年度にはTom Sachs:Retail Experience、Less But Better-ディーター・ラムス ブラウンとヴィツゥの世界、VERDY's GIFT SHOPなど数々の企画を手掛ける。
ー「ヴィンテージ」を提案するうえで大切にしていることは?
吉田氏:作品に対して可能な限りの情報を集め、造形美だけでなく、それぞれの作品のもつ背景なども含めて自分の見解としてご紹介できるよう心がけています。
小山氏:現存数が少ないなどの価値だけを売りにする事は避けています。まずはモノとしての良さをお伝えし、その価値はあくまで「手にしてみたい」と思うきっかけや決め手になればと。また、機能性ばかりにとらわれ過ぎないよう、インテリアの側面からみたヴィンテージ家具の魅力とスタイリングをアドバイスさせていただいています。
ーおふたりの思う理想や憧れの空間、コーディネートとは?
吉田氏:これはちょっと難しいですね。ショップは北欧ヴィンテージの専門店ではありますが、北欧だけだとかヴィンテージだけだとか、どちらかに偏り過ぎるのはあまり好きではないです。モダンでもコンテンポラリーでも、ヴィンテージでも現行でも自分自身にとって心地よいものがバランスよく共存している空間が理想です。
小山氏:歴史の連続性が感じられるスタイリング。ビジュアルやトレンド重視の表層的なスタイリングではなく、建築、デザイン、アート、ファッション等の歴史的文脈と現在の交錯点を探り、私共らしい空間をつくりたいと考えています。
5月に新たなショールームをオープンしました。現在の私共にできる空間作りが具現化できたかなと思っています。
新しくオープンしたショールーム。「SNORK」にしか作り出せない空間を体感できる。
ー思い描く夢や未来はありますか?
吉田氏:現在は、グラスや花器、食器などがメインですが、将来的には家具やアートなどとトータルでご提案していけたらなと思っています。
小山氏:よりギャラリーとしての役割を担った方向性へと向かっていければと考えています。デザインアーカイブを後世に残す活動にも力を入れていきたく、コレクターの育成やアートマーケットへの進出、美術関係機関へのリリースも行っていきたいと思っています。
ーおふたりの出会いや、お互いの印象について
吉田氏:2018年に開催されていたアアルトの展示をSNSで拝見し、ただ数を集めているのではなく、見せ方など意図が伝わってくる素晴らしいコレクションで、すぐにフォローさせていただきました。その後、実際にお話しさせて頂く機会があり、考え方や世界観に共感できることが多く、常に良い刺激を与えてくれる存在です。
アルヴァ・アアルトのChair 66 FINSVEN set of 4
小山氏:吉田さんは北欧のプロダクトを徹底的に掘り下げ、その研究から得た高い知識を持っているその道のスペシャリストという印象です。そして広告ビジュアルや店舗の内装も美しく、取り扱っているプロダクトへの愛を感じます。美意識が近いような感覚もあり勝手に親近感を覚えています(笑)。
ー今回セレクションしたアイテムへのこだわりや、想いをお聞かせください
吉田氏:1950年代に世界中の賞を総なめにする勢いのあった研ぎ澄まされた本来の北欧モダンデザインをご提案できればと思っています。
これらは、北欧諸国の国をあげたデザインに対する啓蒙活動、錚々たるデザイナー達が凌ぎを削りゼロからものを作り上げた熱量による産物でもあります。
今回展示販売する作品の中には、現地でもなかなか見ることができないものや、美術館に収蔵されるような貴重な作品、また初お目見えの作品もご紹介します。ぜひお近くでご覧いただけたらと思います。
小山氏:今回は、北欧=(イコール)ほっこりやあたたかみだけではない、フィンランドデザインのストイックな側面を感じてもらえるようなセレクトを心がけました。そして、希少価値に重きが置かれがちなヴィンテージ家具ですが、ファッション愛好家の多い伊勢丹のお客さまへファッションの一部としてご提案できたらと思っております。
「家具は一生物」という考え自体はモノを大事にする上では良い事ですが、一生物と思ったら少しつまらなくなってしまうものです。ヴィンテージ家具も今シーズンの洋服を選ぶような感覚で、テーマやコーディネートを楽しんでもらえたらと思います。
凛としたたたずまいが印象的なPorthania Chair
2. ELEPHANT セレクション
<Erik Höglund/エリック・ホグラン>
エリック・ホグラン(以下ホグラン)は、ストックホルムのKonstfack(現国立芸術工芸デザイン大学)で彫刻を学んだ後、BODA社でデザイナーとして活躍。北欧の伝統、土着文化から生まれた手の温もりを感じるプリミティブな作風で、ガラス工芸に新しい風を吹き込む。1957年北欧デザイナー界で最も権威ある賞を受け、ホグランは名実ともに北欧を代表するデザイナーに。また生涯を通じ国内外でガラス、鉄、銅などさまざまな素材を用いて150以上もの公共モニュメントを制作するなど、晩年まで意欲的な創作活動を続けた。
<Carl Harry Stalhane/カール・ハレー・スタルハーネ>
カール・ハレー・スタルハーネは、1939年よりRörstrand(ロールストランド)でGunnar Nylund(グンナー・ニールンド)のアシスタントデコレーターとしてキャリアをスタート。1945年よりデザイナーとして自身の作品の制作に取り組む。東洋の陶磁器にインスピレーションを得た優美なフォルムの作品は人気を博し、1951年のミラノトリエンナーレ(美術展覧会)では金賞受賞。1954年以降、テーブルウェアのデザインから、ウォールアートなどのパブリックアート制作まで、多岐にわたる分野で活躍した。その後、亡くなる1990年まで創作活動を続けた。
<Kaj Franck/カイ・フランク>
カイ・フランクは、ヘルシンキ国立美術大学で家具デザインなど7つのコースを学び、卒業後、家具デザインを主軸としインテリアデザイナーとして活躍した。1945年フィンランドの陶器ブランドARABIA(アラビア)の主任デザイナーに就任し、その後アートディレクターを歴任。並行してIITTALAやNUUTAJARVIでもガラスを素材に様々なデザインを意欲的に手掛ける。
フランクは「大衆のためのデザイン」と「デザイナーの責任」を信条とし、彼のデザインの特徴は、機能的でシンプルなフォルム、装飾はなく色彩のみで表現されたものが多く、代表作KILTA(TEEMA)シリーズ、KARTIO シリーズなどは現在でも生産が続けられている。
3. SNORK セレクション
<Alvar Aalto/アルヴァ・アアルト>
もともと建築家であったアルヴァ・アアルトだが、「建築物は家具と補い合うことで初めて完成する」という考えから、自身の建築空間へ設置するための家具や照明などのデザインも手がけるようになる。
時代の変化に伴い、良いものを広く一般にも普及させたいとの想いから家具の量産が必要であると考え、1935年仲間とともにARTEKを設立。フィンランドデザインを広く世界に知らしめることとなった。
<Ilmari Tapiovaara/イルマリ・タピオヴァーラ>
1946年、ドムス・アカデミカのプロジェクトを成功に導きその名を広めて代表作となる「ドムスチェア」を生み出す。アアルト、コルビジェ、ミースと錚々たるモダニストの元で経験を積み国際的な感覚を培ったイルマリ・タピオヴァーラ。彼が手がけた家具は、他に類を見ないプリミティブで独特な造形でありながらも独自性と普遍性とが共存した不思議な魅力に溢れている。
<Paavo Tynell/パーヴォ・ティネル>
鍛冶屋に弟子入りし金属加工の基礎を学ぶ。1918年にTaitoを創設、メインデザイナー兼ディレクターとして社を束ねその仕事は個人宅向けのプロダクトから公共施設のためのデザインに至るまで多岐に渡った。
素材を知り尽くしたパーヴォがデザインした照明は、金属の持ち味を生かした意匠性をデザインに落とし込んだエレガントさと光の演出とが見事にマッチしている。1948年、ニューヨークのフィンランドハウスのプロジェクトを皮切りにアメリカでの成功を収め、北欧を代表する照明デザイナーとして世界に名を残すことになる。
4. スペシャルアイテム
~ ELEPHANT's special item ~
Erik Höglund(エリック・ホグラン)によるガラスの壁画作品
北欧のモダンデザインを語る上で最も重要な展示の一つであるスウェーデンのヘルシンボリで
1955年に開催された『H55』で発表された作品です。
鍛冶職人によって製造された鉄枠を荒布の上に置き、デザイナー自身によってガラスパーツのレイアウトを行い、隙間にコンクリートを流し込んで制作されたユニークピースとなります。
大小様々なガラスパーツには、型押しの装飾があったり高低差のある立体的な作品です。5枚並ぶことは世界中見渡してもこの場以外にないですし、この機会にぜひお近くでご覧いただければと思います。(吉田氏)
~ SNORK's special item ~
Alvar Aalt(アルヴァ・アアルト)のタンクチェア
1940ー50年代に製造されたヴィンテージのタンクチェア。コレクターの管理下で大切に保管されていた極上コンディションのコレクタブルな1脚です。アアルトはキャンティルレバー構造を曲木で実現させ、曲木特有のしなやかさと弾力性を併せ持つ快適な座り心地をもたらします。ここまでコンディションの良い個体はこの先お目にかかれない貴重な1脚となります。
(小山氏)
同じ「ヴィンテージ」というフィルターを通して共感しあう2つのショップが生み出す空間へ、自分だけのとっておきアイテムを見つけに出かけてみませんか?
ショップ紹介
北欧ヴィンテージデザイン専門店「ELEPHANT」
オーナーの吉田さん独自の視点でセレクトされた美しい北欧ヴィンテージデザインプロダクツを、目で見て手に取ることができる。いつまでも居たくなる居心地の良さにあふれる店内。
北欧ヴィンテージ家具「SNORK MODERN AND CONTEMPORARY」
普遍的な価値の継承と新たな価値の創造をコンセプトにした ギャラリー&ショップ。主にフィンランドのモダニズム期のヴィンテージファニチャーやデザインプロダクトを取り扱う。
NORDIC MODERN VINTAGE
□期間:6月9日(水)~6月22日(火)
□開催場所:伊勢丹新宿店 本館1階 プロモーションスペース
掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。必ず事前にホームページを確認してからご来店ください。
※イベント開催時の商品に関するお問い合わせは店頭までお願いします。電話03-3352-1111 大代表
公式インスタグラム @isetan_the_space
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。