サステナブルはファッショナブル〜知ることで気持ちよさを感じる服

サステナブルはファッショナブル〜知ることで気持ちよさを感じる服

インドの綿花生産者の支援に長年取り組むkurkku alternativeの代表、江良慶介さんが「サステナブルはファッショナブルである」という価値観を発信するために2019年に立ち上げた「サステナブル・ファッション・サークル」。プロジェクトの一貫として製作されたTシャツが8月に伊勢丹新宿店でも販売されます。その販売イベントにアドバイザー的に携わったのが江良さんとも親交が深いMD計画部・編成局担当プランニングスタッフの寺澤真理。ふたりが思う、考える「サステナブル」について訊いてみました。

サステナブルをみんなで知って楽しむサークル

MD計画部・編成局担当プランニングスタッフ寺澤真理

寺澤:伊勢丹新宿店で8月に開催する「サステナブル・ファッション・サークル」で販売されるTシャツには江良さんたちが支援するインドの綿花生産者のコットンが使用されますが、その支援プロジェクトもかなり長いですよね。

江良:2008年からなので12年ですね。2007年に無農薬栽培コットンのTシャツ製作に携わったときに自分が無農薬ってどう環境にいいのかよくわかっていないこともあって、栽培地であるインドまで足を運んだんです。そこで知ったのが無農薬栽培コットンとして認証されるには綿花栽培を無農薬で3年間続ける必要があるということです。綿を収穫しても正式な無農薬栽培コットンとして3年間は出荷ができない。だけど、無農薬栽培であることは間違いない。それなら認証される前のトランディショナルコットンと呼ばれる綿をきちんとした価格で買い取って、日本で流通させて生産者の収入面を支援しようというプロジェクトをスタートさせたんです。

寺澤:今回のイベント名にもなっている「サステナブル・ファッション・サークル」の構想を江良さんから聞いたのは約1年前ですけど、あらためてどういう想いで立ち上げたのか聞いてもいいですか?

kurkku alternativeの代表 江良慶介さん

江良:ここ数年で「サステナブル」という言葉の認知度はかなり上がってきていますよね。だけど「環境を守るために節水しよう、節電しよう、ライフスタイルを見直そう」みたいに行動の範囲を狭めるような窮屈さを僕自身が感じていたんです。欧米と違って日本はサステナブルというものをうまく受け入れることができていないんじゃないかなって。これまでもエコブームやロハスブームがあって、それらと同じように一過性で消費するのではなくて、これだけ言葉としても考え方としても浸透してきているんだから、もっと自分たちの生活に気軽に取り入れることを提案するにはちょうどいいタイミングだと思ったんです。サステナブルはこれからのファッション要素としても大切になってくるはずなので、ファッションデザイナーやクリエーターの方など、いろんな人が集まって共鳴できる活動になるように「サークル」って名付けました。

寺澤:「サステナブル・ファッション・サークル」について相談したいってご連絡をいただいたのは2019年の4月ですけど、実際に江良さんと知り合ったのは2008年の春なんですよね。私が伊勢丹新宿店で培ってきたノウハウや知識、経験をいかしていろんなコトやモノをファッション化するファッションプロデューサー、ファッションディレクターみたいな役割に挑戦し始めたときにご連絡をしたひとりに江良さんがいらした。それがきっかけで今回のお話しにつながっていった。

江良:とにかく「サステナブルはファッショナブルである」という想いを多くの人にメッセージとして届けたかった。ファッションって自分の人間性を表現するために感性だけでなく頭も使いますよね。自分が着ている服がどういう世界とつながっているのかを知識として得ることができて、それがきちんとしたサステナブルな服だとしたら、誰もが着ることで「気持ちいい」っていう感覚になると思うんです。「サステナブル・ファッション・サークル」のテーゼとして「サステナブルはファッショナブルである」というものがあるなら、伊勢丹の寺澤さんに相談しようって自然な流れでした。

欲しくなるサステナブル・ファッションを実現しよう

MD計画部・編成局担当プランニングスタッフ寺澤真理

寺澤:最初は私が江良さんの会社から雇われて、ファッションディレクターのような役割で関わろうという話でしたけど結果的にお断りしましたよね。それには理由があって、「サステナブル・ファッション・サークル」という活動なので、やっぱりいろんなブランドが参加して、いろんな商業施設が会場になって、いろんなお客さまに興味を持ってもらって、循環して、継続していかないと意味がない。伊勢丹新宿店の人間である私は主宰者側ではなく、商業施設のひとつとして会場提供で協力するべきだと思ったんです。ただ江良さんの相談からスタートしたので、いろいろアドバイスのようなお話しもさせていただきました。

江良:イベント会場を広げるために、知り合いがいるパルコさんまで紹介してくれましたよね(笑)

寺澤:江良さんは伊勢丹新宿店からスタートさせましょうって言ってくれたじゃないですか。その言葉はありがたかったですよ。でも複数の商業施設での同時開催やキャラバン式にいろんなショップを巡るやり方が「サステナブル・ファッション・サークル」のためになると思ったんです。伊勢丹新宿店も商業施設なのでイベントでもモノが売れることは大事なんですけど、それが世の中のお客さまが求めていることよりも優先されるのはどうなんだろうって疑問を感じている時期があって、実は江良さんから相談いただいたのがちょうどその頃だったんですよ。江良さんたちがやりたいと思っていることはきっと若い世代は自然に受け入れることができるはずで、そこでモノが売れれば時代が求めているという証拠になるから「みんなが欲しくなるサステナブル・ファッション」というのを実現したかった。同時開催やキャラバンで商品を手にしてくれる方が増えれば、それだけ賛同してくれる方も増えるはずですからね。

kurkku alternativeの代表 江良慶介さん

江良:日本のファッションの最前線にいて、常にアンテナを張り巡らしている寺澤さんのような人が「一緒にやりましょう」と言ってくれたことは、「サステナブル・ファッション・サークル」というプロジェクト始動の前提にもなっています。伊勢丹新宿店としても魅力的なサステナブル・ファッションを求めてくださっているということだと解釈しましたから。でも、「欲しくなるサステナブル・ファッション」というのは大きなテーマでもありますよね。服になった段階で無農薬のコットンと、そうではないコットンで見た目や着心地に違いは無いわけですし。それでも無農薬のコットンを選ぶ理由としては「サステナブルだから」に尽きます。僕自身はサステナブルって、地球の環境や生産者の健康など、他者に対する想像力の問題だとも思っています。

欲しくなるサステナブル・ファッションを実現しよう

寺澤:それはすごくわかります。想像力ってのは同感です。

江良:寺澤さんとは長いお付き合いですが、「サステナブル・ファッション・サークル」を一緒に取り組むことで自分が大切にしている事と寺澤さんにとって大切な事がどこで重なるかをあらためて考えました。相手のアイデンティティを想像しないとサステナブルでハッピーな社会にはならないですからね。

寺澤:サステナブルは想像力であり、思いやりでもあるかもしれません。自分だけの利益を求めたらサステナブルは成立しないんじゃないかと思います。江良さんは「無農薬とそうじゃないコットンに実質的に違いはない」っておっしゃいましたけど、「サステナブルなモノを手にするのっていいよね」って、江良さんのように「いいよね」を知っている人が言葉として伝えることは大事です。

kurkku alternativeの代表 江良慶介さん

江良:今回のイベントで販売されるTシャツにしても、それを着ることでコットンの栽培地であるインドとのつながりが生まれたり、栽培環境の歯車を良い方向に動かしたり、そんな「疑似体験付きTシャツ」って気分で選んでもらえたらうれしいです。背景にストーリーのあるファッションはいまの時代にマッチしているはずですし、だからこそブランドやアーティストの方も協力してくれたんだと思います。

寺澤:「疑似体験付きTシャツ」って、いいですね。

賛同したすべての人がハッピーになれる「四方よし」

kurkku alternativeの代表 江良慶介さん

江良:地球のことや環境のことがいまのままで、このままでいいなんて思っている人は少ないはずなんです。サステナブルについて仲間と「この先、人類がどっちの方向に進化するのか」ってあえて大げさに話すことがあるんですけど、それぐらいサステナブルを前向きに、ポジティブなものとして自分たちは捉えているからなんです。「サステナブル・ファッション・サークル」は簡単にいうとかわいいも、かっこいいもあるTシャツイベントです。伊勢丹さんもパルコさんも、参加してくれたデザイナーさんも、みんなで一緒にサークル活動しましょうよってお祭りにしたいと思っています。難しく考える必要はまったくなくて、「みんなで取り組む共通の課題があるんだ」ってことを雰囲気だけでも感じてもらえたらと思います。その感じ方も人それぞれでいいんですから。Tシャツに関してはインドの支援ですけどもっと身近なところでも考えていて、コロナ禍で困窮しているひとり親と子どもの支援プログラムも予定しています。今回のイベントとは別活動ですけど。

寺澤:Tシャツは相当な数の試着品を作りましたよね。「堂々と一枚着で成立するトップス」にしたかったから襟ぐり、着丈、肩の落ち感、袖丈まで細かく設定してボディパターンまでオリジナルで。ファッションデザイナーさんって本来はブランドらしい服の型はゆずれないと思いますけど、今回に限ってはこちらがあらかじめ用意したTシャツの型を受け入れてもらってとてもありがたかったです。

江良:寺澤さんたちがアイデアを出してくれて、ファッションデザイナーさんたちも快く賛同してくれて、本当に「サークル」のようでした。それぞれのデザイナーさんが手がけたTシャツのクリエーションの話を聞くだけでも楽しかったです。

MD計画部・編成局担当プランニングスタッフ寺澤真理

寺澤:良い商売の原則として「三方よし」という言葉がありますけど、「サステナブル・ファッション・サークル」は「売る人」、「買う人」、「デザインする人」、「作る人」の「四方よし」にしたいって江良さんとも話しましたよね。関わるすべての人がハッピーじゃないとプロジェクトとして継続させることは難しいですから。その「四方よし」が達成できるサークルに育っていくといいですよね。

江良:企画主旨に賛同してくださったけれど、タイミングが合わずに今回は参加を見送ったブランドさんもありましたからね。楽しく、おもしろいサークル活動として第2弾、第3弾と続けていきたいです。

寺澤:ユーモアのあるTシャツを通じて、江良さんたちの活動を多くの人に知ってもらいたいなって本当に思います。そう思いませんか?

江良:もちろん思いますよ(笑)

kurkku alternativeの代表 江良慶介さん/MD計画部・編成局担当プランニングスタッフ寺澤真理

サステナブル・ファッション・サークル
□8月5日(水)〜11日(火)
□伊勢丹新宿店本館2階=イーストパーク/アイテムプロモーション

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