コレクターを惹きつけて止まない、工業デザイン界の巨匠 ディーター・ラムスの魅力。

伊勢丹新宿店本館2階 イセタン ザ・スペースでは、1月11日(月)まで「LESS BUT BETTER ディーター・ラムス:ブラウンとヴィツゥの世界」を開催中。ディーター・ラムスが1950~60年代に手掛けたビンテージアイテムなどが展示されている他、〈ブラウン〉と藤原ヒロシ氏手がける〈Fragment/フラグメント〉のコラボレーションによる伊勢丹新宿店限定アイテムやポスターが販売されている。

アップル社の製品などにも影響を与えたと言われ、世界中のコレクターの心を掴んで離さないディーター・ラムスのデザイン。今回の展示に協力してくれたコレクターたちのコメントから、その魅力を紐解いていく。

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国内外のコレクターに聞いた、ディーター・ラムスとの出会い。

 

今回の会場デザインは、「D55展示スタンド」からインスピレーションを受けて構成された。手がけたのは、ロンドンを拠点にビンテージブラウンの販売を行うダスプログラムの設立者 ピーター・カポスと、彼が主宰するシステムズスタジオ。「D55展示スタンド」とは、1955年に開催された「デュッセルドルフ無線機器見本市」で使用された展示方法だ。ブラウンの新製品であったオーディオ機器の世界観に没頭できるような画期的な空間作りで、当時から高評価を得ていたという。

ディーター・ラムスのデザインを紐解く4つのエリアから構成される本展。「Amaze(驚嘆)」「Develop(展開)」「Focus(フォーカス)」「Marchandising(マーチャンダイジング)」のテーマに沿った展示で、彼の世界観をじっくりと堪能できるような内容となっている。

ヴィツゥ
621テーブル 110,000円 商品を見る
ポスター 6,600円 商品を見る
鉛筆 330円 商品を見る
□伊勢丹新宿店本館2階 イセタン ザ・スペース/三越伊勢丹オンラインストア

 

また展示されている貴重なビンテージアイテムは、今回の展示に合わせてコレクターの協力を得て特別に集めたもの。世界中に熱狂的なコレクターが存在し、国内でもデザインやインテリア関係者のみならず、ファッション業界人にもファンが多く、自らのコレクションのコンセプトに冠するブランドも。ディーター・ラムスのデザインの何が、人の心を惹きつけるのか。コレクションの始まりは、何がきっかけだったのか。コメントを集めた。

やわらかさのあるアクリルと冷たいスチールという異素材の組み合わせが印象的。

ピーター・カポス
システムズスタジオ主宰。イギリス・ロンドンを拠点に"ビンテージ ブラウン"の販売を行うダスプログラムの設立者でもある。

─ディーター・ラムスのデザインに出会ったのはいつごろですか。

Braun SK 5 combined system Dieter Rams + Hans Gugelot, 1958

父は建築学生であった1960年代半ばに〈SK5 Phonosuper(通称”白雪姫の棺”) 〉を購入しました。それは私が育った家のリビング内でも強い存在感を放っていました。
特にアクリルカバーのやわらかさと塗装されたスチールパーツの冷たさという異素材の組み合わせが与えた印象を覚えています。
子供の頃、私にとっては、年をとることは同時に進歩するということでした。

─初めて手に入れたディーター・ラムスのプロダクトは何ですか?

私は約20年前にブラウンデザインの収集を始めました。最初は目覚まし時計たちに興味がありましたが、そのほとんどはディートリッヒ・ルブスによって設計されました。その後、歴史的なプログラムに気付くにつれて、私は小さな家電機器に、そして最終的にはより高価なオーディオデザインに手を広げていきました。

Braun D6 Combiscope Dieter Rams, 1963

私が最初に取得したディーター・ラムスのデザインは、1962年に発表されたスライド映写機とプロジェクターを組み合わせた〈D6 Combiscope〉だったと思います。これは非常にかわいらしい小さなデバイスで、コンパクトな直方体の一角から三角形の部分が切り取られたようなデザインです。これは形式的にワクワクします。機能的には、映写機として使用するため貸し出された際、利口な機能を提供します。

 

50年以上昔の古い製品でありながら、今も変わらず美しいデザイン。

小田嶋重幸
スーパービオン代表。〈ブラウン〉好きが高じてウェブストア「スーパービオン」を開設。www.supervion.com

─ディーター・ラムスのデザインに出会ったのはいつごろですか。

明確な記憶がないんですけど、若い頃です。ほかのデザイナー製品のようにショップで出くわして知ったというわけではなく、学生の頃に洋書などで興味のひとつとして覚えてしまったデザイナーなんだと思います。90年代当時はスタルクやドローグデザインに興味がありましたので、本の中でみるディーター・ラムスは素朴だなあというのが最初の印象でした。

─初めて手に入れたディーター・ラムスのプロダクトは何ですか?

これも、ライターだったかラジオだったかよく覚えていないんですが小さいものですね、きっと。

Braun AUDIO300 Dieter Rams, 1969

古いものが好きですのでいろいろと集める過程でディーター・ラムスのプロダクトも収集していました。10年前にオーディオ「AUDIO300」を買ったときの衝撃はよく覚えています。「SK4」など馴染みあるラムスの初期デザイン(木+板金のコンビネーション)とも違い、他社でもまったく見たことのない鮮烈なデザインに心酔しました。ラムス製品全般に言えることですが50年以上昔の古い製品でありながら今も変わらずに使いやすく美しいデザインと感じとれますし、製品として実際にいまでも使用できるということなど、作り手の誠実さに心を惹かれます。

 

新しいプロダクトと合わせても違和感がないのは、デザインが完成されている証。

徳本達郎
株式会社ジャクエツ 代表取締役社長 。2006年より現職。「幼稚園・保育園・こども園などの乳幼児教育環境の向上」と「子どもを取り巻く最適なあそび空間づくり」に取り組む。

─ディーター・ラムスのデザインに出会ったのはいつごろですか。

十数年前に仕事で訪れたプロダクトデザイナーの深澤直人さんの事務所に、ディーター・ラムスの〈Vitsoe/ヴィツゥ〉のシェルフがありました。もちろん名前は知っていましたが、深澤さんから話を聞いたことで、改めて認識しました。その時には、自宅を新築した際に収納を〈Vitsoe/ヴィツゥ〉と迷ってドイツの〈Interluebke(インターリュプケ)〉にしたことを少し後悔しました。深澤氏がデザインした椅子などの新しいプロダクトと、ラムスが過去に手がけたシェルフが違和感なく調和していることが、ラムスのデザインが完成されている証だと思います。

Vitsoe 606 Universal Shelving System Dieter Rams, 1960

また、数年前に見学したニューヨークのドナルド・ジャッドの自宅ではアアルトの家具が使われていて、ミニマルな世界観にアアルトのデザインがマッチしていたのが印象的でしたが、ラムスのデザインもミニマルなのに、かわいいものとでも何でもマッチするところが気に入っています。

─初めて手に入れたディーター・ラムスのプロダクトは何ですか?

昔からバウハウスデザインに興味を持っていて、ディーター・ラムスのデザインに限らずブラウン製品が好きでした。

左:Braun ABK20 Type4780
右:Braun BRAUN6521

35年ほど前、大学生の頃に買ったブラウンの掛け時計〈ABK20 Type4780〉(ディートリッヒ・ルブスのデザイン)と、ディーター・ラムスの髭剃りは、その後も継続して使いました。特に〈BRAUN6521〉は壊れずに長く使用していました。ブラウンの電卓も持っていました。今は会社の企画開発社員の参考資料として、ディーター・ラムスのプロダクトをコレクションしています。

〈ブラウン×グラグメント〉
Classic Travel Analogue Alarm Clock BC02XGFU 各5,170円
□伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペース

機能性を追求することで生まれるシンプルで強く美しいデザイン。ただ飾って眺めるだけではなく、実際に部屋に置き、共に長い時間を過ごすことでその色褪せない魅力に取り憑かれている様子がコメントから伺えた。「LESS BUT BETTER ディーター・ラムス:ブラウンとヴィツゥの世界」では限定アイテムも販売中。すでにコレクションの沼にハマっている人は新たな一品として、まだアイテムを持っていないという人は、これを機に飛び込んでみてはいかがだろう。

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「LESS BUT BETTER ディーター・ラムス:ブラウンとヴィツゥの世界」
□開催期間:2020年12月3日(木)~2021年1月11日(月)
□開催場所:伊勢丹新宿店本館2階 イセタン ザ・スペース

公式インスタグラム:@isetan_the_space

 

Photo:Shimpei Suzuki
Text:Rio Hirai

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