風がやわらぐ。光がいろづく。
春の気配をキャッチしたら
おろしたてのシューズで走りだそう。
からだが温まって、こころが空っぽになる。
いつのまにか、笑顔になっていた。
どこへでも行ける。何だってはじめられる。
だって、春だもんね。

うら-らか ［形動］：
空が晴れて日がのどかに照るさま。
声などが晴れ晴れと楽しそうなさま。

新しい服や持ちもの、メイクや髪型。
「かわいいね」も悪くないけど
「似合うね」って言われるほうがうれしい。
自分を引き立てる色や形を知っている、
それって、オトナの条件なのかもしれない。
今日は銀座で、母と二人。
私に似合うもの、一緒に探してもらおうかな。

あて-やか ［形動］：
人柄や容姿、態度、物の様子などが上品で美しいさま。

父と二人きりなんて、何年ぶりだろう。
照れくさくて、そわそわするけど
思い切ってさそってよかったな。
ウインドーに映る横顔が、嬉しそう。
うんちくが多いのは、ご機嫌な証拠。
雨あがり、初夏の光にきらめく銀座で
何気ない一日が、思い出になっていく。

はつなつ ［名］：
夏のはじめ。初夏。

いつもはすぐ「つかれた」って言う娘が
今日はまだ帰りたがらない。妻いわく、
「ゆかたでいたいのよ。着てるだけじゃなく
それでお出かけしてるってことが、大事なの」
妻もかつて、そんな女の子だったのだろう。
銀座通りに、涼しげな灯がともる。
娘の特別な夏の日は、まだ終わらない。

夏燈 なつともし ［名］：
熱い一日が終わると、涼しげにともる夏の灯。

紅茶に反射する午後の光、
こっくり色を深めた栗の艶めき。
いつもと同じ銀座の中で
小さな秋をみつけられるのは
きっと、一人の時間だから。
スマホの通知をオフにして。
もう少しだけ、世界と二人きりで。

秋暮るる：
秋の過ぎ去ろうとすること、またそれを惜しむ気持ち。

あたらしい年がはじまる。
なにする？ どこいく？
たのしい予定は、ぎっしりでOK。
とにかく、街へ出ようよ。
銀座通りを、晴れやかに。
三歩進んで二歩ジャンプ。
できること全部、する年にしよう。

弾む・勢む［動］：
はね返る、はね上がる。息づかいが激しくなる。形勢がよくなる。

贈りものがうれしいのは、
相手が自分を想った時間が、
その中にこめられているから。
もらう側になって、はじめて
こんなにも
しあわせな日があることを
一輪の花が教えてくれた。

〔Seasonal Plants〕 スズラン／バラ：
5月に花期を迎える、贈りものに縁ある花。フランスでは5月1日、大切な人にスズランを贈る風習があり、欧米では12の意味を込めた12本のバラを恋人に贈ると幸せになれるという言い伝えがある。

夜空を彩る花火 祭囃子をのせた風
会えなかった時間を 取り戻すように
はじけて 踊って 頬よせてスマイル
夏ってこんなに楽しかったんだ
熱気に満ちていく 銀座の街
今日だけは よそいき顔を忘れて
子どもみたいに 心のままに

〔Seasonal Plants〕 クレマチス：
「つる性植物の女王」と呼ばれるクレマチス。5月〜10月にかけて様々な品種が花時を迎えます。原種は世界に300種類とも。
日本の自生種のひとつ「カザグルマ」は各地で個性豊かな姿を楽しませてくれます。

あたらしい年がやってくる。
まっさらなカレンダーに向かうと、
スタートラインに立った気分。
一年後、どんな自分がいるだろう。
出会いや挑戦で、日々を輝かせたい。
小さな目標をそっと胸に秘めて、
今日も銀座の街へ、何かを見つけに行こう。

〔Seasonal Plants〕 キンセンカ：
冬から春にかけて長い期間花を咲かせるため「長春花」「時知らず」の別名を持つ。学名のカレンデュラはカレンダーの語源。毎月の第1日を意味するラテン語で、どの月のはじめにも咲いているほど花期が長いことに由来する。