川村　靴磨きで最初に行うのはブラッシングによるホコリ落としですよね。今回、僕が持ってきたこの靴は着用頻度が少ないのでブラッシングは不要ですか？

西澤　靴は基本的に外に履くもの。目に見えないホコリや汗は付着しています。ホコリや汗を取り除かずにクリームを入れることは革の痛みにもつながり、良くありません。ブラッシングは靴磨きにおいての基本中の基本なので必ず行ってください！

川村　すみません（笑）。ホコリ落としの重要さが良く分かりました。今後はシューケアの最初に必ずブラッシングをするように徹底します！

今回、紳士靴担当 川村が持参した＜オールデン＞のスムースレザーシューズ

西澤　ホコリ落としに使用するブラシは「プロ・ホースブラシ」がおすすめです。このブラシは馬毛で出来ていて、毛質が細く柔らかいため、隙間のホコリを取り除くにも最適です。

川村　ブラッシングをする際のコツはありますか？

西澤　なるべく強めに万遍なくブラッシングして下さい。強くブラッシングすることで履くシワに溜まったホコリも、しっかり出すことが出来ます。あと、コバとアッパーの間にホコリは溜まりやすいです。ここは、かき出すようにブラッシングすることが重要です。

履きシワ部分やコバとアッパーの間にはホコリが溜まりやすい

コバとアッパーの間のブラッシングは毛先を上手く使う

川村　そんなに強くブラッシングして大丈夫なのですか？靴に傷がついてしまいそうですが。

西澤　良いところに目を付けましたね。しっかりとホコリを落とすためにも、毛質が細く柔らかい馬毛を使用した「プロ・ホースブラシ」がおすすめです。

川村　靴のカラーによってブラシは分けた方が良いのですか？

西澤　クリームを伸ばすブラシは色によって分けるのがマストですが、ホコリ落とし用のブラシは分けなくても大丈夫ですよ。これ一本で解決です！ただし、クリームを伸ばすブラシとホコリを落とすブラシは役割が違うので分けましょう。

川村　ホコリ落としの次に行うのが、ステインリムーバーによる汚れ落としですね。この工程の役割を教えてください。

西澤　私は良く、化粧落としに例えます。化粧をする際には、一度化粧を落とした状態で行いますよね？同じく、まずはステインリムーバー（化粧落とし）で古いクリーム（化粧）を落としましょう。

川村　なるほど。分かりやすいですね（笑）。古いクリームの上にクリームを重ねることは良くないということですね。

西澤　その通りです。通気性も悪くなり、革が痛む原因となります。

川村　ステインリムーバーでの汚れ落としのコツはありますか？こちらのリムーバークロスを人差し指と中指に２重巻きします。ステインリムーバーを指が湿るくらいにしみ込ませませて、アッパーに万遍なく塗りこますのですが、まれにステインリムーバーが革に浸透しすぎることで、色が変色する場合もあります。革の様子を確認することも含め、目立ちづらい内踵からスタートすることがベストです。

1. 右手の中指と人差し指の上にリムーバークロスを乗せる。

2. 右手をそのまま上に上げ、左手でリムーバークロスの余った部分をつかむ。

3. そのままリムーバークロスを1回転させ、余ったリムーバークロスは親指と人差し指でつまんで、固定する。

4. リムーバーは内踵から塗り込むことがポイント。

川村　なるほど。強さはどのくらいですか？ブラッシングと同じく強めですか？

西澤　いえ、こちらは優しく塗り込んでください。ステインリムーバーを塗り込むリムーバークロスは、液体を革に浸透しやすくする為にあえて荒い布となっております。その為、強く擦ると傷がつく場合もありますので注意してくださいね。

川村　分かりました。気を付けるようにします。それにしても汚れがこんなに落ちるのですね。すごい…

西澤　クリームの落ちにもよりますが、3回程繰り返すと良いでしょう。

汚れ落とし後のリムーバークロス

汚れ落としが完成した状態

次回、「＃1-②スムースレザーシューズケア　～　クリーム塗布、ブラッシングについて」へ続く

左から、プロホースブラシ　価格：1,200円＋税、ステインリムーバー　価格：2,000円＋税、リムーバークロス（5枚入り）　価格：400円＋税

ご紹介した商品の一部は以下よりご購入いただけます。
その他、ご不明な点がございましたら、お気軽に本館２階＝紳士靴売場〈シューシャインバー〉までお立ち寄り下さい。

#2 スムースレザーシューズケア