工房探訪
―「モノ」を誂える場から「個性」を誂える場へ―
をコンセプトに、時代と場所を超える、真の身嗜みを提供する売場へと2019年8月14日(水)にリフレッシュオープンしたパーソナルオーダーサロン。国内外の一流ブランドのオーダーメイドからレディトゥウェアにいたるまで、幅広いアイテムを展開。ソーシャルからオン、オフすべての場に対応し、新の紳士の身嗜みをトータルで提供します。
このコーナーでは、パーソナルオーダーサロンでご紹介する様々なブランドの工房を訪れることによって、様々なブランドのモノ作りに対してのこだわりや想いを伝えていきます。
第5回は「いつまでも着続けたい・着るほどに愛着が増す」服づくりを目指し2006年に創業したテーラー〈LID TAILOR(リッドテーラー)〉。
今回は、オーナーである根本氏に独自のスタイルを伺うべく、西荻窪にある工房へお邪魔しました。
西荻窪の駅を出て、雰囲気のある商店街を抜けたところに店舗を兼ねた工房がありました。
――〈リッドテーラー〉を立ち上げたきっかけ、テーラーを志すようになったきっかけを教えてください。
学生時代からモッズが好きで、当時からスーツを着て、ボストンテーラーに通っていました。ボストンテーラーはジャズマンやモッズなどストリートカルチャーに精通する人たちのスーツの受け皿で、店の雰囲気も他の老舗テーラーとは全く違いました。60年代のコンポラ、アイビー、フィフティーズなど洋服の歴史についての知識も豊富で、様々なスタイルやディテールを吸収できるテーラーでしたね。純粋にその空間が好きで、ここで働きたいと思い、卒業後にそのまま、就職させて頂きました。
――もともと、テーラーを目指していたのですか?
テーラーを意識したのは着る側から作る側になってからです。ボストンテーラーでの修行が今のスーツ&ジャケットの基本となっていますが、原点はやはりモッズなどの音楽ですね。
――独立しようと思ったきっかけは?
ボストンテーラー時代から付き合いのあるお客さまと英国に行った時に、アンダーソン&シェパードの服作りに感銘を受け、英国調のスタイルを作りたいと思ったことがきっかけです。
アンダーソン&シェパードは軍服を起源とし、柔らかいテーラーリングを特徴としています。
――モノ作りで一番大切にされていることは何ですか?
どのテーラーもハウススタイルを持っていることが多いですが、〈リッドテーラー〉ではあえてそれを持たず、お客さまのスタイルに合わせることを大切にしています。お客さまの欲するものを具現化することが僕の仕事です。
カットにしてもカッターのクセがありますし、スーツになった時にそれが面に出ます。雰囲気や癖というのでしょうか。それが僕のスタイルです。ディテールだけの話ではないと思っています。
――根本さんの世界観が店舗の内装から伝わってきますが、どなたがやられているのですか?
自分で好きなものを集めています。服だけではなく、家や食べ物などライフスタイル全般をジャッジできる人こそセンスが良い人だと思っています。ちなみにこのテーブルはアメリカンテイストですが、そこに飾ってあるバイクはイタリアのDUCATIです。様々なテイストが混ざっていますが、自分なりのフィルターは通しています。
また、生地に関しては英国の重めの生地が好きです。スリーシーズンの生地ばかりだとつまらない。クローゼットにツイードとかフランネルのような重い生地もありつつ、リネンもあるからこそ面白いと僕は思っています。
――〈リッドテーラー〉のスーツの特徴を教えてください。
特徴がないのが特徴でしょうか。中庸と評されることも多いです。でも、その「普通」が良いと思っています。あと、ボタンやサイドアジャスター、ファスナーなどパーツにもこだわっています。ハンガーもプラスチック製が嫌で、木製のブランドハンガーを作りました。
――これからのモノづくりでチャレンジされたいことはありますか?海外とか。
まだまだ東京のお客さまにしか対応できていないので、まずは北海道から九州、沖縄まで日本各地で多くの方に〈リッドテーラー〉を着てもらいたいと思っています。
また、日本橋三越のお客さまに対してはもっと高い次元で捉えていきたいです。現在、鏡バイヤーと共に「スタイルドビスポーク」という企画の準備をしています。ビスポークは型紙をゼロから作る作業ですが、スタイルドビスポークは、ベースとなる型紙はありつつ、そのお客さまの型を作るというものです。メイドトゥメジャーとの違いは、工場生産でなく、工房生産であることと、仮縫いがつくことです。
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