~ブランドマスターピースについて語る~
〈ブルネロ クチネリ〉について
1978年ブルネロ クチネリ氏により創立。人口500人のソロメオ村に工場を持ち、約1000人の社員を抱えている。ペルージャから14キロ、彼の地元からは24キロ離れたこの村を、クチネリは長い年月をかけて復興させた。道路を舗装し直し、ぶどう畑を造り、16世紀様式の劇場を建て、職人技術学校を創設した。
創立当初より「人間主義的資本主義」を経営方針に、人間の尊厳を第一とした新たな資本主義を確立し、残業は無く、収益を社員の労働環境や村の修復にあてるという経営を実践している。
岩元:ソロメオ村の復興と共に創立された〈ブルネロ クチネリ〉ですが、クチネリ氏はどのような考えで創立されたのでしょうか。
引野:もともと農場で生まれ育った彼は、のびのびとした当時の暮らしをとても気に入っていたそうです。しかし、時代の流れと共に、工場に勤務し、過酷な労働環境で疲れ果てた父を見たことがとても辛い経験となりました。将来自分で起業する際には、人を幸せにする会社を作りたいと思い、それを実現させたのが〈ブルネロ クチネリ〉です。お客さまはもちろんですが、従業員やお取引先など、関係する全ての人が幸せになれる事を理念としています。
岩元:何よりも人を重要視する考えなのですね。
引野:はい。自身の経験や、バルで知り合った人たちから色々教えてもらったことで会社が成長した経緯もあり、人とのコミュニケーションを重視し、特に家族との時間を大切にしたいという思いが企業理念になっています。
引野:そうですね、僕が最初にピッティに行った時に、皆さん初対面でコミュニケーションがとりづらい状況でしたが、彼が「大丈夫?」と気さくに話しかけてくれた事がきっかけで和気あいあいとした雰囲気になりました。そういったところから兄貴っぽい器を持った人だと感じましたね。
岩元:人間味があるというか、優しい方なのですね。クチネリさんの考えや人柄がよく分かりました。モノづくりに対する信念はありますか?
引野:モノづくりの完璧さ、きっちりとした物を作るという拘りは曲げていません。クチネリ氏本人が定期的に内モンゴルの産地まで通い、拘りぬいて選んだ上質な原毛のみを使用しています。また、伝統・文化を守る目的もあり2013年に職人学校を造り、優秀な職人を育てて技術の復興を目指すプロジェクトを進めました。企業秘密になる授業内容にも関わらず、イタリアの職人を育てるという目的が前提の為、生徒は卒業後好きな道に進むことが出来ます。
岩元:フェアトレードでも有名ですよね。
引野:はい。カシミヤの生産者の方たちが継続した家族経営をしながら、品質を保ちつつ産地を守れるように、正当な対価を払っています。
岩元:関わる全ての人が幸せになるモノづくり、そして社会貢献もされてますね。今後のビジョンはありますか?
引野:〈ブルネロ クチネリ〉の今後のビジョンは、サスティナブルな「ものを廃棄しないこと」です。廃棄することで環境の汚染が始まるので、まずは捨てないことを強くすすめています。思い入れのある品や長年にわたって愛用されたものをリペアやリメイクできるチームを作り、より長く使えるようにする取り組みも始めています。
岩元:ブランドのマスターピースともいえるカシミヤのこだわりを教えていただけますか?
引野:〈ブルネロ クチネリ〉が世界的なブランドへ飛躍するきっかけとなったのが、カラーカシミヤです。当時はカシミヤに色を入れることは技術的に難しかったのですが、熟練された職人たちの技術と、クチネリ氏本人が拘りぬいて選んだ上質な原毛を使用することで、当時珍しかったカラーカシミヤを可能にしました。
岩元:幅広い種類のカラーカシミヤは、ブランドの代名詞となっていますね。
引野:職人さんが開放的なモノづくりやカラー出しを出来るように、生産の拠点をペルージャ郊外に作り、村の自然や風景をイメージした色を取り入れるようにしています。そしてもう一つの拘りは柔らかさです。編みあがったばかりのニットは、やや固くゴワゴワしていますが、製品として編みあがったものに対し、さらに数回加工を加えカシミヤ本来の柔らかさを出して仕上げているのが特徴で、イタリア人好みの柔らかさを出すことに拘りを持っています。
岩元:ソロメオ村に工場を作った理由を伺ってもよろしいでしょうか。
引野:クチネリ氏の奥様であるフェデリカさんのご実家があり、一緒に訪れた際に感動したことがきっかけで、歴史的な価値のあるこの村を復興したいとオフィスを移転したそうです。その後も会社の収益と自身の資産を投資して村の復興を続けています。
岩元:村長みたいなものですよね(笑)
引野:村長にはなっていませんが、僕は村の管理人だからと言っていました。(笑)
2008年に劇場を新築した際、アンティークの廃材を利用して村の雰囲気とマッチするように設計するなど、村に対するこだわりを大切に守っています。
岩元:教育からモノづくり、村づくりまで一貫していますね。
引野:ブレていないですね。
岩元:お客さまの中にはクチネリ氏の人柄や考え方にひかれて購入される方はいらっしゃいますか?
岩﨑:いらっしゃいますね。商品の価格帯もありお客さまには経営者の方が多いのですが、経営されている方から見ても〈ブルネロ クチネリ〉という経営者に人間的な魅力を感じ、商品も素晴らしいというところで、2本柱でご満足いただいているのかな。というのはお話を伺っていて感じることが多いですね。
岩元:コンセプトの「スポーツシックラグジュアリー」について教えてください。
引野:簡単に例を挙げると、アビエイターパンツやカーゴパンツなどにテーラードジャケットを合わせることで、スポーティーなテイストを持ちつつ、ドレスアップするといったスタイルですね。
岩元:なるほど、アイテム自体はベーシックですが、スタイリングに変化をつけて意外性を持たせるのは〈ブルネロ クチネリ〉が先駆けのように感じます。これからも変わらないコンセプトですか?
引野:そうですね。
岩元:長く着られるデザインが多いことも要因だと思うのですが、ご来店されるお客さまの多くが全身クチネリで揃えている印象です。
岩﨑:やはり基本的にはコーディネートで提案し、そこに魅力を感じていただけている結果なのかなと感じます。「買い足す服」と表現しているのですが、例えば流行に影響されるブランドだと、去年買ったジャケットが来年着られないこともよくあると思うのですが、そういったことがないですね。クチネリ氏はよく25年着られる服をというのですが、去年買ったアイテムに今年の新作を合わせてコーディネートできるというのも、全身着ていられる、年々増やしていけるというスタンスになるのだと思います。
岩元:すべての服がマスターピースということですよね。流行り廃りのない、永遠のベーシックというところがモノづくりに反映されているのですね。
岩﨑:お客さまもよく言われますが、買って気に入ったものがいつの間にか無くなり、気がつけば息子さんが着ていたということも(笑)
岩元:決して安くはないですが、まじめなモノづくりがされていて何十年も着て楽しめるということを考えれば、これこそクチネリさんの考えるサスティナブルということですね。
引野:そうですね、私たちもすべてのお客さまに対して長く着ていただけるよう、リペアを提案し続けられる会社にしていきたいです。
岩元:本日はありがとうございました。
石井:ブランドカラーでもある「ベージュ」を基調としたコーディネートです。〈ブルネロ クチネリ〉らしい柔らかさの中に差し込んだオレンジがポイント。首元や胸元からさりげなく覗くアクセントが、柔らかい同一トーンのコーディネートを引き締めます。
どんなアイテムにも溶け込む、ブランドのマスターピースとも言えるカラーカシミヤは、上質なカシミヤ原毛と優れた編みたて技術により軽くて暖かい、柔らかな着心地はもちろん何といっても豊富なカラーバリエーションが魅力です。
優しく上品な色味のコーディネートに、ブランドの名作とも言われるアビエイターパンツを合わせるのが〈ブルネロ クチネリ〉が提案する「スポーツシックラグジュアリー」スタイル。ミリタリーテイストを優しく表現したアビエイターパンツや、上質なレザーキャップなど、一見スポーツテイストなアイテムも〈ブルネロ クチネリ〉が手掛ければシックで上品な雰囲気に。
思わず触れてみたくなるような上質な素材を使用した、ラグジュアリーなアイテムの数々をぜひお手に取ってお楽しみください。
・ベビーキャメルコート 759,000円 キャメル100%
・アビエイターパンツ 137,500円 綿100%
・カラーカシミヤセーター(ベージュ) 176,000円 カシミヤ100%
・カット&ソーン(オレンジ) 52,800円 綿100%
・チーフ(オレンジ) 30,800円 絹100%
・シープスキンキャップ 81,400円 羊革
・タッセルローファー 148,500円
※価格は全て税込みです。
※数に限りのある商品もございます。品切れの際はご容赦ください。
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