紳士靴担当 川村が日本伝統の履物について学ぶ
今回は呉服営業部のセールスディレクターを務める足立さんから、日本伝統の履物・草履のお手入れについてレクチャーをいただきました。
素材が限定されますが、 紳士靴/シューズケア&リペアカウンターでもメンテナンスサービスを承ります。
川村:明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。日本橋三越本店では、初商の日にきものを着てお客さまをおもてなしする文化があります。私も新宿店から異動してきて、初めて着用しました。
新しい生活様式が始まり、丁寧な暮らしが注目される中、実際にきものを着ると気持ちが高まりますね。
今回は本館4階 呉服フロア担当の足立さんに、日本ならではの履物について教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
足立:宜しくお願いします。
川村:今回紳士靴の担当として、履物の特徴はもちろん、ケアについても学んでいきたいです。
早速ですが、草履と似ているもので、雪駄や下駄もありますが、それぞれの違いはどういった点でしょうか?
足立:まず男物の場合、婚礼や式典などで第一礼装を着る際は、白い鼻緒に畳表で出来た“雪駄(せった)”を履くのが一般的です。
他にも色・柄のついた鼻緒のものや、さまざまな素材で出来た雪駄もありますが、こちらはシーンやきもの・袴などの色調に合わせて使用します。
雪駄のかかと裏には鋲(びょう)などの金具がついているのも特徴のひとつです。また、雪駄は草履の一種とも言え、いずれも歯がありません。
“草履”も、エナメルや牛革を主軸に様々な素材のものがあり、鼻緒の種類も豊富なので、こちらも同様にフォーマルからおしゃれ着までご用途にあわせて使用します。
最後に “下駄”ですが、こちらは主に桐などの木で出来ており、歯があるものとないものがあります。雪駄や草履に比べカジュアルな装いの時に多く用いられ、ゆかたなどに合わせることが多いです。
一般的にはこのように言われることが多いですが、ご用途などによって変化する場合もあるので、我々スタイリストもお客さまからお尋ねいただいた際は、詳しくお話をお伺いし、適したものをお勧めするようにしています。
川村:なるほど。私の担当では取り扱いがないので勉強になります。日本橋三越本店では高級なものも多く取り扱いがありますが、何年ほど履けるのですか?
足立:履く回数や、路面の状況にもよっても異なりますが、きちんと鼻緒を変えたり底のゴムの手入れをしたりすれば、雪駄だと約20年です。
草履だと底のゴムが傷んでしまうと劣化が早いのですが、だいたい10年くらい。下駄だと2~3年くらいかな…。下駄は他の2つに比べると気軽に楽しめるアイテムなのでゆかたなどに合わせて、毎年変えられる方もいらっしゃいますね。
川村:なるほど。今、私が履いている草履は大変履き心地が良いと感じます。なにか違う素材を使用しているのでしょうか?
足立:今、川村君が履いているのは、足を乗せている部分がPVC(ポリ塩化ビニル)で、草履の土台になる底の部分がEVA(合成ゴム)という素材で作られています。
衝撃を吸収してくれるので、ほかの台よりも履きやすく、これからきものを始められたい方にはおすすめです。靴の中で例えるなら、スニーカー的なポジションですかね。
川村:実際のお手入れ方法は、どんな種類があるのですか?
足立:一般的に、足の裏があたる草履の表面で「天(てん)」と呼ばれる部分は、天然素材を使用していることが多いので、汚れてしまったら乾いた布で拭くのをおすすめしています。
指先を通す「鼻緒(はなお)」は緩んでくると足を痛める原因になるので、すげ替えの利く履物の場合は、職人さんにお願いして足に合わせた調整をしたり、鼻緒だけ新しいものに変えてもらうとずいぶん履き心地が違いますよ。
川村:①綺麗にするケア、②履き心地を調整するケア、があるのですね。では、実際にご教授をお願いします。
川村:お手入れに使われる道具はどういったものでしょうか?
足立:天然素材の場合は乾いた布、合成皮革など水に強い素材はウェットティッシュでもいいと思います。
川村:どのくらいのペースでお手入れしたほうがいいですか?
足立:一度履き終わった後にできると、次に履く時にもすぐに準備が整って気持ちが良いですね。
川村:なるほど、気を付けるポイントはありますか?
足立:靴箱のような密閉した中に入れておくと、温度や湿気などで劣化を早める原因になります。履いた後は、風通しの良いところに1日は置いた方が良いでしょう。
また、しばらく履かない期間が続いたら、3~4ヵ月に1回は風を通した方がより長くお使いいただけると思います。
川村:お手入れをしっかりすることで、物を大切にする文化を改めて学びました。いつかは、足立さんみたいに和服の似合う渋い男になりたいです。
本館2階に移動して靴コーナーにて本館2階に移動して靴コーナーにて
川村:本館2階 紳士靴/シューズケア&リペアカウンターでも素材によってはケアが承れるのですね。
上家:その通りです。草履以外にもサンダル等も実はできるのです。
・日本の履物「PVC素材」のケア
川村:では実際にケアの仕方を教えてください。
上家:簡単に説明すると3つの工程でケアを行います。
①全体確認作業→カビ、汚れ、破損の状態を最初に確認します。
②除菌汚れ落とし作業→足の接点部分にモールドクリーナーシートを使用し拭いていきます。(シートタイプ)
表面の状態が平面でないケースが多い為、シートタイプを用い隙間部などを予防&除去します。
③消臭スプレーの作業→防カビと除去作業が終了次第、最後の仕上げとしてシューフレッシュナー(消臭スプレー)で匂い予防と除菌を行います。
川村:ちなみに費用はおいくらくらいでしょうか?
上家:普段のベーシックケア1100円(税込)のお値段で出来ます。
また、当工房では革靴以外のお悩みにも対応しています。ご来店予約システムもありますので、お気軽にご相談ください。
・ご紹介商品(左から)
→M.モゥブレィ・プレステージ モールドクリーナーシート 880円
M.モゥブレィ・プレステージ モールドクリーナー 2,200円
M.モゥブレィ シューフレッシュAg+ 1,320円
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