◇「熈代勝覧」の中の越後屋
東京メトロ「三越前」駅地下コンコース壁面には、200年前の日本橋が克明に描かれた貴重な絵巻物『熈代勝覧(きだいしょうらん)』の複製絵巻が展示されています。
「熈代勝覧」絵巻とは、文化2年(1805年)頃の日本橋から今川橋までの大通り(現在の中央通り)を東側から俯瞰し、江戸時代の町人文化を克明に描いた貴重な絵巻物(作者不明)で、原画はベルリン国立アジア美術館に所蔵されています。
「熈代勝覧」とは、「熈(かがや)ける御代の勝(すぐ)れたる景観」という意味で、絵巻には沿道にある88軒の問屋や店に加え、行き交う1,671人、犬20匹、馬13頭、牛4頭、猿1匹、鷹2羽ならびに屋号や商標が書かれた暖簾、看板、旗、などが克明に描かれています。なお、1806年の「丙寅(ひのえとら)の大火」で建物の多くは焼失したとされており、その直前の貴重な記録といえます。
三井越後屋は、江戸の中心部の名所として「熈代勝覧」の中でも最大の大店として描かれています。 |