美術

第2回 三越伊勢丹・千住博日本画大賞展

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2022/06/20 UP

「三越伊勢丹・千住博日本画大賞展」は2回目を迎え、今年も幅広く個性豊かな力のある作品が全国から多数集まりました。選考の結果、今年の入選作品は以下20点となり、さらに審査を重ねて大賞(千住博賞)に李 怡昇さんの「銀ノ滝」が選出されました。そのほか、準大賞(三越伊勢丹賞)に張 安迪さんの「the distance」、三越伊勢丹美術部賞に岸原 郷さんの「ガレオン船とセイレーン…の頃」の作品が選ばれました。沢山のご応募誠にありがとうございました。

 

 

【受賞作品・入選作品】

◎大賞(千住博賞)

李 怡昇:銀ノ滝

 

○準大賞(三越伊勢丹賞)

張 安迪:the distance

 

○三越伊勢丹美術部賞

岸原 郷:ガレオン船とセイレーン…の頃

 

・入選

上野 瑞香:庭 ―2022―

大澤 沙友理:命の記憶

大村 正一:VANITAS

大森 隆史:道

後藤 まりえ:Have a nice weekend

佐藤 正子:Reverb

志世都 りも:2022年のヴィーナス

菅原 素子:「行く だけ」 異時同図

立尾 美寿紀:白い闇

出口 義子:巡れ巡れ

西田 理菜:太陽

廣瀬 佐紀子:彼方の頂

房 鑑成:夏を待つ

横田 陽子:喜びの風

吉田 幸紘:ねがい

リーシュトン:小さな祈り

林 銘君:引用

※五十音順、敬称略

 

 

 

 

第2回 三越伊勢丹・千住博日本画大賞展に寄せて

 

第2回 三越伊勢丹・千住博日本画大賞展を開催させていただくことになりました。

2020年の第1回の入選の皆さんに対して、コロナ禍ではありますが、今も三越伊勢丹には引き続き力強く応援をしていただいています。有難いことです。

2022年も、同じように入選される皆さんを世間に紹介させていただくチャンスをくださった三越伊勢丹に、心より感謝いたします。

 

コロナ禍、急激に世の中はオンラインのデジタル社会へと展開しました。

その中、これからの芸術の役割も又鮮明になってきたと私は考えています。

それは、すなわち、パソコンやAIで補完できない人間性の表出です。

例えば木彫や石彫を考えてみましょう。一回削ってしまたらもう元には戻りません。

人は時として失敗します。

しまった、削りすぎてしまった、という修復できない現実を受け入れて、次の一彫を進めていくのです。

ここに造形芸術のリアリティがあります。

日本画も、感じ、表そうとした複雑な触覚的素材感はインターネットで決して伝えることはできません。

書や水墨の想定外を受け入れる、人生経験に即した即興性も、そもそもAIの範囲外です。

洋画のマチエールは図らずも溢れた、ビジュアルを超えた熱量の発露です。

工芸の不均斉も、3Dプリンターでは作り出せない心のゆらぎ、模索、逡巡の証です。

これらは、伝統的芸術が、デジタルでは表現不可能な人間存在の真理を包括しうる例です。

 

芸術作品とは、基本的に全て失敗作みたいなものではないでしょうか。

それは人間が不完全だからです。

不完全な人間の不完全な憧れが、一時的に不完全に実を結ぶものです。

それを岡倉天心は実作者を慮り「不完全を尊ぶ」と看破しましたが、画家の立場から言わせていただければ、やりたくても完全というピンポイントへの着地はなかなかできないものです。

完璧な日本画など存在しません。

完璧な人間が存在しないからです。

しかしまたその人間が完璧な造形を人類史上何作か成し遂げてきたのも美術史の教えてくれるところです。

完璧を目指して、手仕事の温もりや溢れる思い、想定外を受け入れ、素材感を楽しんで制作してください。

不成功であっても、その感動、プロセス、試行錯誤、悩みの深浅、心意気に私たちは注目します。

 

皆さんが考える「日本画とは何か」という、熱量の高い問い掛けをお待ちしています。

 

日本画家 千住博

画像

◎大賞(千住博賞)

李 怡昇 

銀ノ滝 

画像

○準大賞(三越伊勢丹賞)

張 安迪

the distance

画像

○三越伊勢丹美術部賞

岸原 郷

ガレオン船とセイレーン…の頃

   

   

 

 

概要 ※詳細は募集要項をご確認ください。

開催趣旨

日本画にスポットを当て、日本画に収り組むすべての人を対象とした公募展です。

近現代の日本画壇において数多くの巨匠たちが活躍してきた日本橋三越本店を舞台に、今一度「日本画とは何か?」を問い直し、未来へ向けた日本画の在り方そのものを見つめます。

また、今後の美術界で活躍する作家を発掘し、広く発信していくことを目的としています。

審査委員には世界で活躍する日本画家 千住博氏を迎え、応募作品の中から20点を選出。

入選作品は日本橋三越本店にて展覧いたします。

様々な感性で挑む作品をぜひお寄せください。

 

公募作品テーマ
「あなたにとって日本画とは何ですか」

 

賞・賞金

入選作品の中から下記の受賞者を決定いたします。


●大賞(千住博賞)  1点  賞金:100万円(源泉税を含む)  副賞:日本橋三越本店での個展開催
●準大賞(三越伊勢丹賞)  1点  賞金:50万円 副賞:日本橋三越本店での個展開催
●三越伊勢丹美術部賞 1点  賞金:30万円 副賞:日本橋三越本店での個展開催
※ただし、個展開催については入賞者との相談によります。

サイズ
50号(規格F・P・M・Sのいずれかまたは変形可。ただし長辺116.7~130㎝以内のもの)

 

出品料
15,000円(税込)

 

エントリー期間

2021年12月1日(水)~2022年4月30日(土) 

なお、応募者が300名に達した時点でエントリーを締め切ります。

※エントリーはメールのみの受け付けとなります。

お問い合わせ:三越伊勢丹・千住博日本画大賞事務局  

mi-nihonga@isetanmitsukoshi.co.jp
※お問い合わせはメールのみで承っております。 件名に「千住博大賞展について」と入力してください。

   

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千住博氏 略歴

1958年東京生まれ。87年東京藝術大学大学院後期博士課程満期退学。これまでにヴェネツィア・ビエンナーレに2回出品し、95年には絵画作品としては東洋人で初めて名誉賞を受賞。そのほかミラノ・サローネなどにも出品。2011年に軽井沢千住博美術館開館。

16年「平成28年度外務大臣表彰」を受け、17年「第4回イサム・ノグチ賞」受賞、18年「日米特別功労賞」受賞。20年には高野山金剛峯寺に襖絵「滝図」「断崖図」を奉納、「第77回恩賜賞・日本藝術院賞」受賞。作品はメトロポリタン美術館を始めとする世界主要美術館に収蔵、展示されるなど、国際的な評価も高い。

現在 日本藝術院会員 京都芸術大学教授。

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