美術

石井佑果・丸山太郎 ENCOUNTER

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2022/07/3 UP

展覧会に寄せて


自分の展覧について文章を添えることは好きではないけれど、人の作品についてなら好き勝手書くので簡単だろうと安請け合いしてしまった。

さて、どのように書けば本展覧会の二人の魅力が伝えられるだろうかと、2ヶ月あまりずっと頭の片隅に置いていた。

二人の学歴や経歴についてはどこかに書いてあるので読んでもらえばよいと思う。両者ともに東京藝大のかわいく優秀な後輩なのだが、私と在学期間はかぶっていなく、初めはSNSで二人の作品を知った。

私自身も作家なのだけれど、人の作品を購入したり自分の作品と交換してもらったりすることが結構ある。丸山くん、石井くんの作品も縁あって購入させて頂きアトリエに飾っている。

私が作品を購入する動機は「インスピレーション、気付きを与えてくれるもの」「自分で作れないもの」が多い。そして作品を通して作家と話すのが楽しみの一つでもある。多くの作家は私のアトリエに遊びに来るがてら作品を納品してくれる。

丸山くんは湘南の方に住んでいて、私の市川のアトリエまで来るのに2時間半くらい電車に乗ってやってきた。アトリエに着いて購入した作品を見ながら話しはじめて、わずか5分ほどで「そろそろ帰ります」と言う。

往復5時間の道のりと、待ち合わせまでのやり取りの時間に比べて、一瞬だったので少しびっくりしたものだ。

石井くんに作品が欲しいと連絡した際は、コロナの影響で大学を休校し実家の香川に戻って制作しているとのことだったのでなかなか段取りが付かなかったのだが、その後の東京に戻ってきて積極的に制作、発表していたので、結果より好みの作品を購入することができた。石井くんの作品は、価格を聞いて出てくるまで1週間ほど待った。聞くと1号いくらみたいな計算をしていて、なんだか昔の画壇みたいだなと思わせられ面白かった。しかも正直学生の作品としては高かった(笑)


そんな私が好きな2人の作家の作品が同時に見られたらと思い、三越コンテンポラリーさんに打診した次第である。本能的にそれぞれの作品のある空間が良くなると思ってはいたが、この文章を書くにあたって2人の共通点や2人展にする意味などを改めて考えた。前段の作品購入のやり取りからも少し感じていただけるかと思うが、各々独特の時間軸、価値規範が形成されているのだが、私が彼らに持つ印象はなぜか「品格」「知性」が真っ先に上がった。丸山くんの作品は一見ふざけたギャグ要素満載の作品に見えるが、モチーフや素材の選び方や作品に残されるテクチュアなどにいちいち上手いと思わされ、隠しきれない頭の良さ?をいつも感じている。石井くんの作品はモチーフと余白が作り出す音楽性や哲学性が、かつて音楽と科学が近かった時代に私たちを連れて行ってくれるようだ。二人ともただ真面目腐っているわけではなく巧みな「はずし」感覚があって、私はいつも2人から貴族の贅沢な謎解き遊びに付き合わされているような感じがしている。

 

私たちはいつも自分の頭で考え感じ物事を選択していると思っているが、実際には日々の慣習や多くの外的要因によってその選択をさせられている。2人の作品が、時代や国を超えた視線、異なる思考、他なる感情、を我々に与えて別の次元への扉を開いてくれることだろう。

彫刻家 大平龍一

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石井佑果

untitled

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石井佑果

untitled

2022

65.2×63㎝

油彩、キャンバス

85,000円

 

画像

石井佑果

untitled

2021

100×80.3㎝

油彩、キャンバス

185,000円

 

 

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丸山太郎

オーシャンビュースタンド

2020

222×248×165㎝

木、セラミック、ビーチボール

1,980,000円

画像

丸山太郎

ゲートハプニング

2022

21×19×15㎝

セラミックcm

77,000円

画像

丸山太郎

悲しくなるには大きすぎる

       

2022       

230×189×109㎝

エポキシパテ、スタイロフォーム、木材、ラバーマスク、LEDライト  

990,000円

 

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石井佑果 / Yuuka Ishii

私が度々使っている楽譜やトランプ、ステレオタイプの静物画や風景画を連想させる諸々のモチーフは、主題とは違う。

その既視感を見比べることで、絵である/絵ではない の振幅のなかの過不足を測り、吟味するための指標というのに近い。

分割し、編集し、全てを並列的に扱って見どころなく絵を組み立ててみること。単純さと清潔さ、ロマンティックでないことの予感を持って描き始める。

思考が絵の具に置き換わっていく中で意味の揺らぎとその決定を繰り返す作業はスリルに満ちている。恐ろしいのだがそれは不思議と明るく、とにかく果てがない。

 

 

<略歴>

1995  香川県出身 

2019  多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻  卒業

2022  東京藝術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻 修了

 

個展

2021  あっけらかんの眺め(東京・komagome1-14cas)

2020  斜めのフランチェスカ(東京藝術大学取手校地)

2019  ラルゴ(東京・  River Coffee&Gallery)

2017   TWS-Emerging2017 278

          秘すればフラワー (東京・アーツアンドスペース本郷)

 

グループ展

2022  PALALLEL e.g.1(静岡・HANSOTO)

2022  第70回東京藝術大学卒業・修了作品展(東京藝術大学上野校地)

2021  birds(東京・OGU MAG+)

2021  第85回香川県美術展覧会(香川・香川県立ミュージアム)

2019  第84回香川県美術展覧会 (香川・香川県立ミュージアム)

2019  グループ展「小さな絵画展」(東京・藝大アートプラザ)

2018  清須市第9回はるひ絵画トリエンナーレ(愛知・清須市はるひ美術館)

2018  ターナーアワード 2017入賞・入選作品展(東京・ターナーギャラリー)

2016   トーキョーワンダーウォール2016公募入選作品展(東京・ワンダーサイト渋谷)

 

受賞など

2021  第85回香川県美術展覧会 記念展新人賞

2019  第84回香川県美術展覧会 三豊市教育委員会賞

2018  清須市はるひ絵画トリエンナーレ 入選

2017  ターナーアワード  ファインアート部門 入選

2016  トーキョーワンダーウォール公募 入選

 

 

 

 

 

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丸山太郎 / Maruyama Taro

この展示のための作品は、夏、とか夏に思い出す2月くらいの寒さを春に想像するような感じで

作りました。それは子供じみたハイテンションや恐怖の感覚を発見しようとすることに似ているか

もしれません。

地元も自然も文化もモチーフですが、ある感覚や気分を表そうとする時、それを傷つけたり、役者

自身がおちゃらけたりしても書き写されたことにはなりません。イメージは別の場所に切り取ら

れ、像の造形はシルエットや指先までの表情に加えて、壁、地面、段差などと乱れながら関係す

ることができます。

二人展は初めてですが、意味の強いちょっと特別な展示のやり方だと思っています。

関係をテーマとして意味付けたりはしませんが、制作では石井さんの作品のある空間のイメージ

がよくよぎっていました。それは作品に強力な思いつきも与えてくれたと思います。

 

 

<略歴>

1991  神奈川県生まれ

2016  東京芸術大学彫刻科卒業

2018  東京芸術大学大学院彫刻専攻修了

2021  東京芸術大学大学院博士後期課程彫刻専攻修了

 

主なグループ展

2017  「木のシンギュラリティ#2」旧平櫛田中邸/東京

2018  「アートアワードトーキョー丸の内2018」新丸ビル/東京

   「素材に問う」GALERIE SOL/東京

   「アトリエの末裔あるいは未来#EXTRA」旧平櫛田中邸/東京

2019  「Tokünsteralem」Academy of Fine Arts Münster/ミュンスター、ドイツ

   「金沢彫刻祭2019―自立と共生」/金沢

   「CCIGTOFF COLLECTION VOL.1」富谷アートバーグ/東京

   「彫刻と家」旧平櫛田中邸/東京

2020  「東京藝術大学博士審査展2020」東京藝術大学大学美術館/東京

2021  「SLANGS」WHAT CAFE/東京

   「UNLOGICAL」MONO.LOGUES/東京

   「TAION」青山スパイラル/東京

   「Pretty Vacant」konomad/東京

   「ザ・ビッグアンドハードネス」BLOCK HOUSE、三ノ輪ソフトハウス/東京

   「PRIVATE IMAGE」アネックスサクマ/東京

   「"Ampersand"旧图像世的挽歌」東京画廊+BTAP/北京、中国

個展

2019  「一緒にいようぜ」Gallery HIROUMI/東京

     「日差しと不倫と優しい気持ち」TAKU SOMETANI GALLERY/東京

2021  「リバーシブルサスペンス/ずっといいい感じの思い出」TAKU SOMETANIGALLERY/東京

 

受賞 

2016 安宅賞(東京藝術大学卒業制作)

2018 アートアワードトーキョー丸の内2018 入選

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