美術

和歌でたどる源氏物語 根本知書展

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2024/10/4 UP

私は十四歳のころに仮名書道と出会いました。それまでの習字とは違って、色鮮やかな紙に和歌が散らされているその様に、一目で心を奪われます。すぐに習いたいといいましたが、家計が厳しく、あきらめようかと思った私の、背中を強く押してくれたのは祖母でした。

美容師として働きながら戦後を生き抜き、教育も充分に受けられたとはいえない祖母が、心惹かれて持っていたのが『源氏物語』。なかでも、与謝野晶子が訳したものが一番の好みで、仮名書道を始めた私に「あなたにはまだ早いけれど」といって、嬉しそうに渡してくれたのを今でも鮮明に覚えています。

大河ドラマ「光る君へ」の書道指導や題字揮毫者に決まる前年、祖母は九十七歳で亡くなりました。報告は出来ませんでしたが、きっと天から見てくれているでしょう。今回、祖母が好きだった『源氏物語』を改めて読み直し、さまざまに詠まれた歌たちを丁寧に吟味しました。そして、各帖から心に響いた和歌を一首ずつ選んで揮毫し、その前後における話の流れや背景を簡潔にまとめて作品に添えました。

「和歌でたどる源氏物語」と題した個展。私の書を通して、平安の美意識に少しでも触れていただけたら幸いです。

 

根本知

イベントのご案内

ギャラリートーク

10月5日(土)午後1時~

※当日状況によっては会場の入場規制を設けさせていただく場合がございます。あらかじめ、ご了承ください。

画像

【桐壺】

尋ねゆく

幻もがな

つてにても

魂(たま)の

在処(ありか)を

そこと知るべく

 

更衣の魂を尋ねゆく幻術士(まぼろし)が

ほしいものだなぁ。

せめて人伝てにでもその魂のありかを

そこと知ることができるように。

 

後宮の数ある女性の中で、桐壺帝の愛を一身に集めていたのが光源氏の生母、桐壺更衣。帝の寵愛が深ければ深いほど後宮の嫉妬は増していく。そのために心を病み、そして死するのだった。「桐壺」の巻に登場するこの歌は、白楽天「長恨歌」の影響が著しい。まさに玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋に重ねるかのような歌である。

 

料紙・墨

17×14㎝(画寸)

330,000円

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※価格はすべて、税込です。

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