「リチュエル」はフランス語で習慣あるいは儀式を意味する言葉。日本人にとって特別な存在だったフランスパンは、ますます日常化しています。そして<リチュエル>の目指す習慣としてのパン文化は、まだまだ続きがあるようです。
フランスの伝統パン製法を引き継いで
2015年にヴィエノワズリーを主軸に打ち出したブーランジェリー<リチュエル>はブランドカラー、ブルーの印象も鮮やかに上質で少し特別なパンとして登場しました。カスタードクリームを贅沢に巻き込んだ大きなエスカルゴ、発酵バターの風味がしっかりあるクロワッサンは、リチュエル=ヴィエノワズリーという図式を食べ手にしっかりと植え付けました。
リチュエル店舗。店内には工房があり、ベーカリーカフェでは、緑に囲まれながらゆっくりと食事ができる。
そして2024年9月25日(水)、日本橋三越本店に<リチュエル>がやってきます。日本の食文化を代表する老舗が多く軒を連ねる日本橋の街で、どのようなフランスのパン文化を生み出すのでしょうか。リチュエル ベーカリセレクション マネージャーを務める千賀道雄さんにお話を伺いました。
お話を伺った千賀道雄さん。20年以上ホテルベーカリーで修業を積み、現在はリチュエルの商品開発と製造に関わっています。
<リチュエル>本店の工房に入ると、バゲットの仕込みの真最中。職人さんが手際よく同じサイズに生地を切り分けて成型していきます。
「この成型を素早く、正確にするのもおいしいパン作りに実は大事なのです。生地を触りすぎずに扱うことで、焼き上がった時の内相の気泡を綺麗に保つことができます。これは見た目のおいしさにも食感にも影響します」。
大きな生地から分割。ここからが時間との勝負。
力をかけすぎずに素早くバゲット型に成型する。
キャンバス地で生地を休ませて焼成。
焼く直前に専用のナイフでクープ(切れ込み)を入れてオーブンに入れる。
クープを入れることで水分が蒸発しやすく、生地の窯のびがよくなり、内層に大小の気泡ができる。
焼き上がり。しっかりした焼き色で食感は軽やか。
リチュエルバゲット 357円
※商品リニューアルのため、現在は形が画像と異なります。
<リチュエル>では国産小麦を中心に、パンの生地によって小麦の種類、配合を変えています。パン生地の仕込みでは低温で長時間発酵させることにより小麦粉の水和と熟成を進め、小麦粉の風味豊かな味わいを引き出します。
自家製発酵種。
ヴィエノワズリーのイメージの強い同社ですが、日本橋では「フランスの伝統製法によるシンプルなハード系のパンも味わって欲しい」といいます。<リチュエル>の頭文字「R」をアイコンとする「パン ド ブレ」もまた、小麦粉、全粒粉、小麦粉ふすま、ライ麦の全粒粉を使用したフランスらしい食事パン。断面も広いので、タルティーヌやオープンサンドなど、フランスらしい惣菜パンとしても楽しめます。ハード系も実は<リチュエル>が得意とするところです。
パン ド ブレ 454円
小麦粉、ライ麦の全粒粉を使用した風味豊かで、噛むほどに滋味深い食事パン。
低温長時間で発酵させる。
飽くことなき、サクサク食感の追求。
また、同社の象徴であるヴィエノワズリー代表、エスカルゴについてもこれまでの経緯を伺いました。エスカルゴとはクロワッサンと同じヴィエノワズリー用の折り込み生地にフレーバークリームを渦巻状に巻き込んだパンです。
スタートから圧倒的なスターブレッドの印象ですが、「クロワッサンはすでに日本のベーカリーに定着していたので、他のヴィエノワズリーでフランスの伝統的なパンとして愛されていたエスカルゴに着目しました。実は2015年の発売時から、変化を繰り返しています。サイズを大きくしたり、小さくしたり、両方のサイズを試してみたり。間に挟むクリームの種類も季節のよって様々なものを開発してきていて、店頭では常時3〜4種類並びますが、25種類ほどのバリエーションがあります」(千賀さん)
エスカルゴ レザン 432円
エスカルゴの定番「エスカルゴ レザン」は、ラム酒に漬け込んだレーズンとホワイトチョコレートの入ったカスタードクリームを巻き込んでいる。
エスカルゴ レザンのカスタードクリームには、隠し味的にホワイトチョコレートが配合されています。ホワイトチョコレートはあくまで脇役でラムレーズンなど全体のトーンを合わせるために使用。同社の商品には数多く自家製カスタードクリームが使用されていますが、合わせる食材によって細かにクリームの配合も変えているそうです。
ヴィエノワズリーの定番、もう一つの代表のクロワッサンも、マイナーチェンジを重ねて今の形になりました。三日月型の端の部分までサクサク感を味わえるようにと開発したデザインがリボン型です。
リチュエル独自のデザイン、リボン型のクロワッサン。焼成前。
フランス産バターを練り込んだ生地を使用し、成形部の中心にAOCの発酵バターを巻き込むことでサクサク感が実現できました。
<リチュエル>のヴィエノワズリー ラインナップ
クロワッサン 357円
クロワッサン ダマンド 519円
パン オ ショコラ 389円
フランスのパンそのものを目指してもここは日本。気候風土が異なり、フランスと同じレシピでやっても、気温、湿度、水などの違いで決して同じにはなりません。<リチュエル>では、フランスの伝統パンらしさを日本の環境でどう再現できるか、の更新を繰り返してきました。湿度の高い日本で、ヴィエノワズリーのサクサクとした食感を再現するのは至難の業。高温で、焦がすことなく水分をしっかり逃さないと生地は軽く、サクッと仕上がりません。高温の焼成は、当然焦げるリスクも高まりますが、<リチュエル>ではギリギリの高温焼成により、その食感に挑戦しています。バターの風味をよりリッチに感じるのも、高温で焼き込んだゆえ、です。
ル サクリスタン 389円
クロワッサンと同じ生地で焼成するパイ菓子で非常に人気の定番商品。「杖」という意味で、こちらもフランスの伝統菓子として色々な店でそれぞれの味わいがある。
クイニーアマン 411円
フランス・ブルターニュ地方の伝統菓子。バターをたっぷりと使うペストリー菓子の一つ。
実は、日本のパン市場に合わせて製作して人気を得たのが食パン。日本橋では、フランスの伝統パン、クラシックであることを大切にしながらも可愛らしさのあるブランドを目指していくとのこと。日本のクラシックな街で、また新たな日常「リチュエル」パンが生まれるかもしれません。
【RITUEL 日本橋三越本店 限定商品】
あんデニッシュ食パン 1,620円
バターを練り込んだリッチな生地に、あんこを巻き込みました。
塩パンミルククリーム 281円
塩バターパンに滑らかなミルククリームを挟んだ甘さと塩味が楽しめます。
ミートソースクロックムッシュ 486円
ミートソースえおたっぷりと挟んだクロックムッシュです。
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※価格はすべて、税込です。
※画像は一部イメージです。
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