紳士クロージング
本館2階=メンズオーセンティッククロージングでは、
同会期に本館6階コンテンポラリーギャラリーにて展覧会を開催している「内海聖史」氏の作品を一部展示しております。
「絵画の美しさは絵の具の美しさである」という視点から制作された作品の数々を、是非お楽しみください。
今回は内海氏に、日本橋三越メンズ春のディレクションカラーである「ネイビー×レッド」を基調とした作品を3点描き下ろしていただきました。
通常のギャラリーでの展示とは一味違った展示方法や、ライティング。紳士服の中に溶け込む内海氏の作品をご体感ください。
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本館6階=コンテンポラリーギャラリー
『dual』内海聖史展
2021年2月17日(水) ~ 2021年3月1日(月) 最終日は午後5時閉場
作品を進展させる際に、絵画の要素のある部分を2重(dual)にして、その先の制作を考える。
本展示のメインの作品「dual」(2021-01)はサイズがh230×w1440×d4.5cmである。
これは昨年末にアートフロントギャラリー(代官山)にて発表した作品「squid」のサイズh460×w720×d4.5cmと面積を等しくしてある。
絵画の「面積」という要素を2つに分け、それぞれ制作を実行し、それらを別々の完成に至らせる。
現在、人々の生活は、パソコン無しには成立しない状況である。
そのため、その周辺機器の開発は凄まじい。
その発展の大きな鍵を握るのが、処理速度や記録容量だが、それらは日々倍々と増えている。
その際に使用されるのが、dualという考え方で、処理する部品を2個以上使用したり、記録する面を2層にして、その都度倍の容量や速度で記録できるようにする。
絵画を制作することは、その完成した作品を構成する1つの可能性以外のあらゆる可能性を排除する作業で、多くの選択を迫られる。
しかし、その際に失った要素にも未来があるはずで、それらのうち一つでも拾えたらその先に新たな作品の萌芽があるのでは?
という感覚で、個展に展示する作品を部分的に層にして進展させてみる。
本展の作品「dual」はたった1点の作品ではあるが、制作や展示の兼ね合いから「18分割」されている。
その「18点のパネル」という数を層にして、新たに18点の同一サイズの作品を構想し制作する。(2021-02〜2021-19/h61×w46×d3cm)
その18点の作品は、ギャラリーの中に全て展示している。
その一部は作品の裏に展示していて見えないものもある。
作品を「展示すること」を層にすることで、文字通り、作品の前や裏にも物理的に作品を展示する。
それにより、失った展示の可能性の断片を見ることも可能かもしれない。
本展は、作品の存在の層、面積の層、比率の層、展示空間の層というように、制作している作品への焦点を隣へ隣へとズラして行くことで絵画の新たな立ち位置を模索する試みでもある。
2021.02 内海聖史(画家)
内海聖史 Satoshi Uchiumi
1977年 茨城県生まれ
2002年 多摩美術大学大学院美術研究科修了
個展・グループ展
2008年 「屋上庭園」東京都現代美術館
2010年 「カイガのカイキ」足利市立美術館、栃木
2015年 「6つの個展2015」茨城県近代美術館、茨城
2017年 「mimic paintings」六本木ヒルズA/Dギャラリー、東京
2019年 「やわらかな絵画」上野の森美術館ギャラリー、東京
私は「絵画」と「絵画によって造られる空間」を制作しています。
絵画が美しくあるのは「絵の具」という素材自体が美しいからだという観点に立ち、絵の具が美しく存在する状況を作成しています。美しさは関係性によって成り立ちます。絵画における関係性は、絵の具の筆跡同士の関係性や、絵の具と画布との関係性。また、絵画と展示空間との関係性、展示空間に入り込む身体との関係性と多岐にわたります。それらを可能な限り精査し、絵画と展示空間と鑑賞者とのより良い状況を作成したいと考えています。
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