伊勢丹はなぜコスメの聖地となったのか?
文 / 齋藤 薫
本来、どこで買っても同じである化粧品。
にもかかわらず、「化粧品は伊勢丹で買いたい」という人が増え、だから「化粧品はまず伊勢丹で売りたい」というブランドが増えていった。
やがて、伊勢丹はコスメの拠点となり、また“コスメの聖地”とまで呼ばれるようになっていた。
でも今改めて問いたい、それは一体なぜなのか?
コスメ界が今のような賑わいを見せるずっと前から、伊勢丹は来たるコスメブームを予感していたかのように、コスメフロアの強化や情報発信にとりわけ力を入れていた。
女性たちにとって「キレイになりたい」は一つの本能、それを覚醒させるような企画を次々に打ち立てたのだ。
「どこよりも早く、最先端のキレイ」を叶える外資系ブランドの導入、新ブランドの初出店。
また「ここだけのキレイ、私だけのキレイ」を提供する“限定コフレ”、“限定色”、“先行販売”…たちまちコスメマニアが伊勢丹に集まり、名だたるコスメブランドが伊勢丹に結集する。
そうした良循環の一つの核となったのが、百貨店業界初のコスメ情報誌、“イセタンズビューティ”だった。
そのルーツは意外にも、やはり業界初、百貨店と女性誌のコラボによる“百貨店ブック”にあり、まさしく女性誌の別冊付録のようなコスメブックを、伊勢丹はアイカード*会員向けに独自に発刊したのだ。
すでに20年近い歴史がある“イセタンズビューティ”は、単なるカタログにとどまらず、常にコスメトレンドを見つめつつ、女性たちの中で眠っているキレイを目覚めさせてきた。
その最新号を握り締め、限定品や新作を求める人の行列ができたのも、聖地である証。
でもそれだけじゃない、伊勢丹が“コスメの聖地”となっていったのには、さらなる有形無形の理由があるのだ。
だからここに、改めて綴ってみた。伊勢丹コスメ伝説。そして伊勢丹の未来…。
今年、令和元年、伊勢丹新宿店のコスメフロアは過去最大級のリフレッシュを果たそうとしている。
そうした“コスメの聖地”の未来に、劇的とも言えるコスメの進化が潜んでいるのは間違いない。
だからますます、目を離さないで。あなた自身の“キレイ”のためにこそ!
* 現在は、エムアイカードに名称変更