2024.3.1 UP
創業の1993年より、本場のキムチの味と知識を伝えるキムチ専門店<妻家房>。韓国からやって来た創業者夫妻の妻であり現在総料理長を務める柳香姫(りゅうひゃんひ)さんの手作りキムチのおいしさが評判となり、デパートの食品売り場に出店したことに端を発する。
今でこそ、日常的に日本の食卓に並ぶキムチだが、当時は発酵食品という認識が浸透してなかったため「腐っている」というクレームを受けたこともあったという。そこで、夫妻は、路面店第一号店となった四谷<妻家房>にキムチ博物館を併設。キムチに関する歴史や道具を展示し、「発酵する健康食品としてのキムチ」を理解してもらうことに尽力してきた。
やがて、韓国家庭料理を提供しながら、韓国の飲食文化を日本に浸透させていくようになる。近年は、埼玉県日高市の自社畑でキムチ用の白菜やその他の野菜を手塩にかけて栽培し、農業法人も立ち上げた。
その<妻家房>が、ワンランク上の素材を使ったり、おめでたい席での料理を提供していこうと立ち上げた渾身のブランドが<柳香姫の台所 妻家房>だ。体にやさしくヘルシーな韓国料理を基本に、多彩なキムチやスープ各種、サムゲタンなど日常の食卓が一気に華やぐ惣菜を販売。店内厨房で手掛ける本格キンパや弁当などもある。
何を置いてもまず味わいたいのが、原点ともいえる白菜キムチである。白菜は、通年、国産の時季の良質なものを選んでいる。ことに冬は、埼玉県日高市で自社栽培したものを中心に、契約農家で栽培した韓国白菜「秋月(チュウォル)」を使用する。水分が少なく、日数が経ってもシャキシャキした歯切れのよい食感を楽しめるのが特長だ。白菜のみならず、唐辛子も天日塩も素材選びに妥協無し。それらを用い、丁寧に手作りしている。
キムチは、埼玉川口市の工場で日々手作りする。材料を切ったり、漬けたりといった作業はすべて、慣れたスタッフの手で行われる。
2023年より農業法人を立てて、埼玉県日高市で白菜を自社栽培する。ほかに契約農家の白菜など、常によりよい素材を求めている。
味と香りに優れ、色が鮮明で濃い風味の「英陽唐辛子」を使用。果皮が厚くて種子が少なく、質感がよいのも特徴だ。冷蔵保存して風味を保って使う。
韓国のコムソ塩田の天日塩を使用。邊山半島の黄土の良好なミネラル成分が海に流入した上品な塩である。塩化マグネシウムが除去され、苦みがない。
白菜キムチは、そのまま味わうのはもちろん、料理に活用してなおおいしく、漬けたてとはまた別に、日数が経ってよく漬かった時のおいしさも格別である。
伊勢丹新宿店の店長・ク ジュンミさんはこう説明してくれる。
「豚肉と玉ねぎと一緒に炒めたり、鍋に入れてキムチチゲにしたり。よく漬かって酸味が出てきたら、胡麻油でツナと炒めるだけでもご飯の進むおかずになります。サバやサンマといったお魚を醤油、みりんと共に煮物にしてもおいしいですね。韓国では、あえて熟成させて食べる人が多いんですよ」
白菜キムチ(1パック/550g)1,350円
瑞々しくもシャキシャキとした食感!ショップでは浅漬けと熟成したものの両方を販売。キムチを知り尽くしたスタッフが、多彩な食べ方も伝授してくれる。
韓国の家庭料理を基本に、おめでたい席での料理や食卓が華やぐ料理を提供するのがコンセプトの<柳香姫の台所 妻家房>。伊勢丹新宿店限定の特選キムチは、まさにそんな考えを体現したようなキムチである。タコや銀杏といった、食感も楽しいバラエティに富んだ具材がたっぷりと入る。
特選キムチ(1パック/450g)1,620円【伊勢丹新宿店限定】
タコ、銀杏、ナツメ、松の実なども入る具沢山なキムチ。リンゴを加えることで、まろやかな甘さに仕上げている。
最近では、パチヂミをはじめとする惣菜あれこれを買い込んで、自宅で韓流ドラマやK-POPのライブビデオ鑑賞にどっぷり浸るというツウな楽しみ方をするお客さまも多いという。
愉快なエンターテインメントに本場の味が備われば、いっそう盛り上げること間違いなし!
パチヂミ(1パック)864円
「パ」は「ネギ」のこと。万能ねぎを用い、外はパリパリ、中はモチモチに。店内厨房での焼きたてを販売。
えごまの葉 醤油漬け(100g)756円
自社農園で育てたえごまの葉を使用。ビニールハウス栽培のため、真冬以外、収穫が可能。香りがよく、炊き立てのご飯を巻いて食べたり、豚バラ肉と一緒に炒めても◎。
サムゲタン(1パック/約450~500g)1,296円
柔らかい身の若鶏の半身、そのお腹にもち米や高麗人参、栗、ニンニク、ナツメなどが入り、栄養満点!店内厨房で鶏だしのお粥を作ってパックに詰めてあり、パックのままレンジで温められる。
Text:Yumiko Numa
Photo : Yuya Wada