2023.3.10 UP
<ドミニク・ブシェ トーキョー>や<ティエリー・マルクス>、<スガラボ>など名だたるグランメゾンでシェフパティシエを歴任した江藤英樹さん。<ラ・ノスタルジー>では、『古き良き素朴なお菓子への憧れを込めて。懐かしさ感じる甘美なお菓子を。』というコンセプトを掲げ、焼菓子や生菓子を展開。伝統的なお菓子を、心に残るような洗練された味わいで表現している。
そんな江藤さんのクリエイションが存分に発揮され、季節ごとにファンを魅了しているのが、テイクアウトできる「パフェ」。長らくレストランのデセール(皿盛りのデザート)を担当してきた江藤さんにとって、パフェはテイクアウト仕様になろうとも、あくまで“デセールの延長線”にあるという。
「パフェを構成するジュレやクリームはレストラン同様、テクスチャーをとても柔らかくしていて、トップのみ、わずかに引き締めたクリームで覆うように仕上げています。それぞれのパーツ自体がおいしいことは基本で、それらを一緒に合わせて食べたときに、また新たなおいしさを感じてもらえるように意識しています」
すべてのパーツが柔らかいと全体がぼやけてしまうため、間にクランブルを挟むなど食感にもアクセントを忘れない。細やかな工夫を施す江藤シェフ。
さらに江藤さんがこだわっているのが、パフェの主役となる素材。<スガラボ>創業時より須賀洋介シェフとともに足を運んだ全国の生産者さんとは、現在も休日にプライベートで農園を訪れるなど、付き合いを深めている。
「生産者さんは皆さんすごく真面目な方ばかりで、素晴らしい人柄が素材にも表れているのが面白いんです」と語るとおり、全国から届く旬の素材は、江藤さんにとっての大きな財産といえる。
長野の須田農園から「カットすると面白いよ」と届いたりんごは、果皮が黄色の「なかののきらめき」(左奥)と、果皮に加え果肉まで赤い青森県産のりんご「紅の夢」(右奥)。手前は、埼玉県内のみで生産されるいちご「あまりん」。
例えばこの日は、埼玉県秩父から生産者が直接届けてくれたという、朝収穫したばかりのいちご「あまりん」がパフェの主役に。瑞々しく、かつ、味がしっかり濃厚ないちごは、「水分量と果肉のバランスが非常に良く、ここ数年で食べたいちごのなかでも特においしい」と江藤さんも絶賛。
パフェは「最後までおいしく食べてもらえるように」と、江藤さんの繊細なクリエイションが積み重なっている。
下からバニラのブランマンジェ、レモンジュレ、マスカルポーネとカカオパルプのクリーム、クランブル…と幾層にも楽しめるパフェは、中段に軽くマリネしたいちご、飾りにはフレッシュないちごを使用するなど、「あまりん」自体も存分に味わえる。また、いちごの甘みを生かすため、トップのホワイトチョコとライムのクリームは、空気を入れて泡立てることで甘さを感じにくくしているというこだわりよう。ライムの皮も剃り入れたクリームは、爽やかな余韻すら感じられる。江藤さんが重ねてきた経験と、生産者の信頼関係が生み出す、甘美なパフェ。ぜひ体感してほしい。
クレープフレーズ“あまりん”(1個)1,728円
フレッシュないちごに、クランベリーやフランボワーズなど彩りを重ねたら、金箔で仕上げ。
サブレ プティノスタルジー(1缶300g)4,212円
<ラ・ノスタルジー>のコンセプトでもある「懐かしさ」が感じられるサブレ。メープルシュガーを使用することでやさしい甘みとコクのある味わいが特徴。淡いパステルカラーのパッケージに、アールグレイ、チョコチップ、メープル、ミックスベリーの4種を詰め合わせ、いろいろな味を少しずつ楽しめる。
ガトーマルグリット(1個)3,456円
紅茶の茶葉を混ぜこんだしっとり、きめ細やかな生地に、フランボワーズなどベリー系のコンフィチュールを忍ばせた、マーガレット型の焼き菓子。見た目のインパクトやかわいらしさはもちろん、カットもしやすいので、ホームパーティなどの手土産にもピッタリ。
コンフィチュール オレンジマーマレード(140g)1,080円
全国屈指の生産者が作る最高峰の素材を、丁寧に煮詰めたコンフィチュール(ジャム)。フレッシュさを感じられるように、砂糖の量を抑えるだけでなく、火加減など工程にもこだわった一品。素材感あふれるみずみずしい香りと味わい、ナチュラルで鮮やかな色彩が魅力。
フィナンシェ(1個)324円
浅めに焦がしたバターを加え、よりミルキーな味わいに仕上げたフィナンシェ。しっとりした生地からアーモンドとバターの香りとコクがやさしく広がる。「流行のカリッ、ジュワッな食感もいいですが、何個も食べたくなるような、サックリ、フワッとした食感が理想です」と江藤さん。
<LA NOSTALGIE/ラ・ノスタルジー>
シェフパティシエ/プロデューサー 江藤英樹さん
1985年生まれ。フランスや日本の名店で研鑽を積み、<Social Kitchen TORANOMON>プロデューサーに。<ペイサージュ><ラ・ノスタルジー>主宰。
Text : Aki Fujii
Photo : Yuko Moriyama , Yuya Wada