2024.9.13 UP
自身がシェフパティシエ・ショコラティエを務めるスイーツブランド<デリーモ>で、プティガトーやパフェなどバラエティに富んだメニューでチョコレートの魅力を発信する江口和明さん。世界中のチョコレート素材を熟知する江口シェフが、伊勢丹新宿店限定のオンリーブランドとして手がけるのが<OVEN.Y.>だ。アイテムは自身が「シンプルに、いつも一番刺激を受ける場所」と語るニューヨークで出会った“ベイクドグッズ”と呼ばれる焼き菓子がメインだ。
「店を準備していた2019年当時、東京の街にはフランス菓子の店が溢れていたので、もう少し個性的なアメリカンスイーツの店があってもよいのでは、という発想からスタートしました」(江口さん)。
シグネチャーである「ミトンチョコレートサンド」は、ブランドのロゴであるミトンの形をしたユニークなサンドクッキー。ニューヨークらしい“抜き型”で作られており、アーモンド粉をブレンドしたザクザクとした食感のクッキーと濃厚なチョコレートのバランス、そして口どけの良さが持ち味だ。
「ミトンチョコレートサンド」の製造工程。ミトン型に型抜きしたブラックチョコレートとホワイトバニラの生地。
反らずにまっすぐ焼き上げるための試行錯誤を重ね、仕込み時にあまり練り込まずグルテンを発生させない工夫が。
180℃に熱したオーブンで15分ほど焼成。
まっすぐきれいに焼き上がったクッキー。大きさは女性が頬張りやすいサイズ感に。
みごとに真っ直ぐ&同サイズでピタリと焼き上げたホワイトバニラの生地。
生地の裏側にチョコレートとの接着剤役となるチョコレートクリームを絞っていく。
生地と寸分違わぬ同サイズに型抜きしたチョコレートを重ねる。チョコレートの5mmの厚さもおいしさの重要なポイント。
クッキーを少しも反ることなく真っ直ぐ焼き上げるため、仕込み段階の練り上げ具合を何度も試行錯誤し、サンドするチョコレートは軽快な歯応えと芳醇な後味をもたらす5mmの厚さに。可愛いルックスでうっかり油断しがちだけれど、食べれば江口シェフのテクニックが随所に活かされていることが分かる。
親指の部分もピタリと合わせる。チョコレートはガーナ、エクアドル、コートジボワール産のカカオ豆を使用。
「アメリカンスイーツの場合、チョコレートに植物油脂を多く含むことで独特の重さや食べ応えが生まれるのですが、私が作るチョコレートには植物油脂を加えません。材料はカカオ豆と少しの乳化剤、そして香料のみ。個人的にはガッツリ甘くて食べ応え満点の本場の味も大好きだけど(笑)、〈OVEN.Y.〉では日本のお客様の味覚に合うようレシピを再構築しています。甘みを少し控えめに、口どけの良さも大切なポイントですね」
クッキーサンドの完成。バターが豊かに香る生地と厚みのある濃厚なチョコレートの一体感がみごと!
今後はレモンやピスタチオなどカラフルなフレーバーを増やし、より色彩豊かなショーケースでニューヨークっぽさを表現していく予定だそう。素材を活かすセンスに長けた江口シェフならではの、新フレーバーが登場するのが楽しみだ。
ミトンチョコレートサンド
ブラックチョコレート、ホワイトバニラ、ストロベリー(各1個)361円
ソルトピスタチオ(1個)421円
アーモンド粉を配合したサックサクのクッキー生地で、ビターやストロベリーなど多彩なフレーバーのチョコレートをサンド。ミトン型の姿も愛らしい<OVEN.Y.>のアイコン的スイーツ!
ミトンレーズンバターサンド(1個)361円(要冷蔵)
ホワイトチョコを合わせた口どけの良いバタークリームにたっぷりのラムレーズン。
また同じルックス&サイズ感で展開する「ミトンレーズンバターサンド」は、要冷蔵のアイテム。ホワイトチョコレートを配合したレーズンバターはフレッシュな味わいで、伊勢丹新宿店でしか手に入らない限定感も嬉しい。よりスペシャルなギフトを探しているならお薦めしたい一品だ。
しっとりとした生地と風味豊かなクリームの妙が楽しめるもう一つの看板「タイガー」も、口どけがキーワードだ。生地に相当量のカカオバターを追油することで、コクのある味わいでありながら口の中にモソモソと残ることがなく、すっと消え去る口どけを生んでいる。
「まるでケーキを味わうような食べ心地を追求した焼菓子です。タイガーはカフェオレにザブンと浸して食べてもおいしいですよ」と江口シェフ。確かに、フォームミルクの甘みとコーヒーの苦味がクリームの酸味やほろ苦さとピタリと合う…!
タイガーチョコレート
右上・タイガーデビルズ(1個)421円、左上・タイガーライム(1個)381円、
右下・タイガートフィー(1個)361円、左下・タイガーモカ(1個)361円
仏菓子のティグレ(Tigre)をニューヨーク流に表現した人気商品。チョコチップ入りの生地の中央にガナッシュクリームやキャラメル、ジャムなどを流し入れ、チョコレートで蓋をしたまるでケーキのような焼菓子。
シェフパティシエ・ショコラティエの江口和明さん。ベルギーの名店で修業後、数多くのブランドを手がける。菓子作りを分かりやすく解説するYou Tubeチャンネル「KAZUショコラティエ」も人気を博す。
「現地の味わいそのままを再現するのも魅力的ですが、日本の方々にとって食べやすい味わいに進化させていくことが<OVEN.N.Y>で僕がやるべきミッションかなと思っています」(江口シェフ)
そして個包装で日持ちがし、全国発送が可能なアイテムを揃えるのも「きちんと作られたよいものを、広く届けること」を信条とする江口シェフらしさだろう。<OVEN.Y.>は「伊勢丹限定ブランド」ならではの手みやげとして、日々成長中なのだ。
Text : Yoko Fujimori
Photo : Yuya Wada