<つきじ宮川本廛>串打ち、蒸し、焼きのすべてに職人技が光る。

2024.9.13 UP

明治26(1893)年に創業し、130余年の歴史がある鰻専門店。深川の鰻専門店「宮川」で修業を終えた渡辺助之丞(すけのじょう)が、築地橋東詰めに店を開いたことに端を発する。柔らかい身、甘さ控えめのさらりとしたキレのあるたれの鰻は、お土産にも自宅でのごちそうにも気持ちが上がること請け合い。そこには、活きのいい国産鰻一枚ずつに仕事を施す、丁寧な職人の技が秘められている。

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鰻串画像

<つきじ宮川本廛>の一日は、炭を起こし、新鮮な鰻を捌くことから始まる

「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」と謳われる鰻の世界。限られた素材、定番のメニューで勝負する鰻において、どれも手を抜けない工程である。<つきじ宮川本廛>では、さらに「蒸し」にも重きを置いている。

伊勢丹新宿店食品フロアで販売される鰻は、主に同じ建物にあるレストランで調理したものだ。鰻は国産の質のいいものを選び、その日に仕入れたばかりの新鮮な鰻を捌いている。近年、ガスや電気で焼き上げるところも多いが、熱源はやっぱり備長炭。毎朝30分かけて炭を起こすことから、<つきじ宮川本廛>の一日は始まる。

生きた鰻の画像

その日の朝仕入れた新鮮な鰻を用いるのが鉄則。

 

串刺し

肝を傷つけないよう包丁を入れ、食べた時に小骨が気にならないよう角度に気をつけて捌く。均等な串打ちは、きれいな焼き目にも影響する。

 

蒸している画像

専用の蒸し器を設備。蒸し時間は鰻の個体差を見極める職人の経験によるところが大きい。

 

タレつけ画像

炭火で焼き上げる。特に1度目と3度目のたれ焼きが色を決める要素となる。

 

タレつけ画像

たれは同店のもとだれに継ぎ足しをしている。みりん、醤油、砂糖といったシンプルな材料でいて、長年に渡って使うことで鰻の脂が溶け込み、旨味豊かな味わいを生む。

 

焼き画像

3度目のたれを付けて、仕上げの焼きを行う。香ばしい香り、見た目の美しさにうっとり。

どの作業にも一家言あり。職人の技が冴える!

蒲焼を焼く工程は、鰻を捌いたら即座に串を打ち、備長炭で白焼きし、蒸し、さらにたれを3回付けながら焼き上げていく。

厨房長の永島和也さんは下準備のポイントをこんな風に語る。

「鰻を捌く際は、肝を傷つけず、身に血がつかないように気を付けます。包丁の角度を調節し、食べた時に口の中で小骨が気にならないように捌いています。串打ちは、1本目に打つ『親串』がもっとも大事。親串の打ち所がよくないと、その後に串を打っても全体のバランスが崩れてしまいます。なるべく真ん中を狙って打った親串に合わせて、バランスよく均等に残りの串を差していきます」

厨房長の写真

永島和也さん。レストラン「うなぎ つきじ宮川本廛」厨房長

鰻の職人の道に入って20年。伊勢丹新宿店 本館7階、同店レストランの厨房長を務める。「一匹ごとのコンディションを見極めて、微調整しながら焼き上げます」。

そして、焼きについてはこう話す。

「鰻は見た目もものを言う料理です。たれを付けるのは3回。1回目は色付け、2回目は味付け、3回目はツヤ出しの意味があります。最初と最後が特に見た目のよさの決め手になります」

焼き時間は鰻の個体ごとに調整する。長く焼きすぎれば焦げ、短すぎては色が乗らない。炭の加減を見ながら、職人の経験値で最適なタイミングを計る。

備長炭を使い続けているのは、遠赤外線の効果で、中から火が通っていくことと火力が強くガスより短時間で火が入ることで、旨味を逃さずに焼き上げることができるためだ。炭の位置によって温度が異なるので、場所を変えながら焼いていく。

 

さらに、蒸しについても細心の気を配る。

「鰻はどうしても硬めの身質と柔らかいものと個体差があり、そのコンディションを見極めて蒸し時間を調整しています。平均的には15~20分ほどですが、場合によっては25分蒸す、といった具合にして同じ蒸し上がりになるようにしています」

 

鰻屋の命ともいえるたれに用いるのは、醬油とみりん、砂糖のみ。伊勢丹新宿店の開店当初、本店からわけてもらったたれに継ぎ足し続けており、さらりと切れのある味わいでいて、日々焼き上げる鰻の脂や旨味が溶けだしている。

 

同店で料理に携わるのは、みな15年以上のキャリアのある職人ばかり。蓋を開けた途端、ため息が漏れる輝かしさがあるのは、こういった職人仕事がなされているゆえなのだ。

store

うなぎ蒲焼 亀(1串)3,726円

多彩なシチュエーションに合うように、蒲焼は大きさ違いで3種を用意。捌き方や串の抜き差しの丁寧さが見た目も美しい鰻につながっている。

 

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うなぎ弁当 蘭 2,916円

見た目、香り、味わいも満点の誰もが笑顔になってしまう弁当。つやつやのご飯は契約農家から取り寄せるコシヒカリを中心に使っている。

蒲焼だけじゃない。専門店の味に拍手!

店頭で買えるのは蒲焼だけにあらず。ずっしりと重みを感じるほど立派なうまきや、ツウな肝焼きにも注目したい。

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うまき(1折)1,296円

火加減に気を配って卵の弾力を意識し、時間が経ってもふっくらジューシーに。出汁は入れず、ほのかに甘い味付けにすることで鰻の味を引き立たせる。

 

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うなぎ肝焼き(1串)540円

捌いたばかりのフレッシュな肝にたれを付けて焼き上げる。これも新鮮な鰻を厨房で捌いているからできること。

 

うなぎ真空パックは、関東圏のみで店舗を構えている<つきじ宮川本廛>の味を「地方の知り合いにも食べさせたい」というお客さまの声から誕生した商品。職人が手作業で捌いて焼き上げたものを、すぐさま真空パックにしている。温めなおすだけで、焼き立てと変わらない味わいが楽しめる。

保存が利き、持ち運びにも便利で、「遠方の方にもこの味を届けられる」と喜ばれている。

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うなぎ真空パック(1串)(冷凍) (大)3,240円 (中)2,916円

炭火の手焼きで丁寧に仕上げている。特殊な包装によって味を損なわず、焼きたてのようなうなぎ蒲焼を楽しめる。コクのあるタレは添加物一切不使用。

 

Text : Yumiko Numa   

Photo : Yu Nakaniwa, Yuya Wada

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