<国産仔牛専門店 小島>雌牛、血統、肥育が追求された枝肉を、繊細な職人技で加工。

2024.9.13 UP

「お肉が暮らしを楽しくする」をコンセプトに掲げる精肉店<国産仔牛専門店 小島>。その仕入れや加工に対する姿勢を深掘りすると、肉をこよなく愛する人たちの心と胃袋を掴む確かな理由が見えてきた。

このページをシェアする

ph

厳しい条件をクリアした未経産の雌牛を一頭買い。

1933年創業の和牛仲卸「小島商店」が始めた精肉店<国産仔牛専門店 小島>は、神戸牛、松阪牛と並んで日本三大和牛と称される近江牛のおいしさを守り伝えるべく、近江牛の発祥の地とされる滋賀県竜王町にある「澤井牧場」と提携。その理由について「小島商店」取締役副社長・小島康成さんは次のように語る.。

 

「近江牛は、黒毛和種の中では最も長い歴史を持ちます。近江牛と呼べるものは、滋賀県内で一番長く肥育された黒毛和種と決められています。そこにさらに自主的にルールを設けて、より高い品質の近江牛を目指す生産者もいます。それが澤井牧場でした。」

store

小島商店 取締役副社長・小島康成さん。兄で社長の大道さんと共に同社を牽引し、「肉の世界を知っていただき肉の味で感動を与えたい」と、妥協なき商品を世に送り出している。

「<小島>は澤井牧場にオーダーメイドで肥育していただいた近江牛を一頭買いしています。育てていただいているのは未経産の雌牛。肉質の要となる素牛は、岐阜県の血統を選りすぐって導入。飼料は、ミネラル豊富な水を含む肥沃な土壌で育った稲わらのほか、消化を助けるために、大麦などの飼料穀物類を炊いて給餌します。肥育期間も約32ヶ月〜35ヶ月と手間暇をかけていらっしゃる。このように澤井牧場では肉質の追求を徹底されており、さらに澤井さんが自ら口に含んで吟味していて、信頼できる。澤井牧場という歴史ある生産者さんと一緒になってこだわり抜いた近江牛×血統×未経産の雌×肥育期間という掛け算を、お客さまに知っていただきたいと思っています」

肉質の追求のためなら妥協をしない<小島>と澤井牧場がお互いの熱意に共鳴し築き上げた信頼関係によってなしえた美味しさの近江牛が、伊勢丹新宿店の店頭に並ぶ。

精選された枝肉の個性を見極め繊細な技術で加工。

枝肉から精肉に加工する場面も重要なポイントだ。さまざまな肉質に合わせたトリミングを施すことがおいしさの提供に繋がるが、<小島>はその道100年以上の老舗<日山畜産>に全幅の信頼を置いている。

 

「肥育期間が長い雌牛の肉質はデリケート。空気に触れると劣化しやすくなるので、的確で素早い加工が求められます。その点、日山さんは卓越した目利きと繊細な技術を持っています」(小島さん)

store

加工場の様子。職人たちによって枝肉がスピーディーにカットされていく。

 

加工場の様子。職人たちによって枝肉がスピーディーにカットされていく。

 

加工の現場をのぞくと、そのこだわりが明らかになった。まず、買い付けられた肉は枝肉庫と呼ばれる冷蔵庫で吊るして保管。お客さまの要望に応じてすぐに加工されるものもあれば、ここでしばらく熟成されるものもある。

store

ライトを当てて枝肉の状態を念入りにチェック。右は小島さん、左は<日山畜産>社長・村上聖さん。

 

store

きちんと餌を食べて栄養が回った肉は、赤身になりやすいモモでもきめ細かいサシが入る。

 

枝肉の加工は、場所を移して加工場で。約10℃の場内では白衣に身を包んだ職人たちがキビキビと作業にあたっている。

store

<日山畜産>で一人前と言われる加工技術を身につけるには5年ほどの修業を要する。

 

肉のトリミングは、脂や厚みがミリ単位で記載された<小島>の指示書に従って正確に行われる。肉に傷が入らないように配慮しながら迅速に骨を除き、肉の厚みが均一になるよう不要な脂を削ぎ落としていく。空気に触れると酸化してしまうので、素早く加工しなければならない。そのテクニックには一切の無駄がなく、思わず見惚れてしまうほど。

store

加工を終えた肉は、空気に触れないよう即座に真空パックされる。

 

store

滋賀県産 近江牛サーロイン(100gあたり)4,320円

 

こうして店頭に並ぶ近江牛の断面は美しい小豆色で、サシが均等に入っている。「肉の色を鮮やかにするために不自然に肥育されることがありますが、健康的に育てられた肉は小豆色になります。均等に入ったサシからも健康的に生きられる飼育法で時間をかけて育っていることがわかります」(小島さん)。その肉質はきめ細やかでやわらか。とろけるような食感をぜひステーキで堪能したい。

store

滋賀県産 近江牛モモ すき焼き用(100gあたり)1,680円

滋賀県竜王町にある「澤井牧場」が<小島>のために卸した近江牛を、<日山畜産>の繊細な職人技で加工。小豆色がかった赤褐色が美しい。その旨みを最大限に味わうなら、なるべくストレスをかけないように弱火でじっくり火を入れて。割下と馴染み格別のおいしさを楽しめる。

 

store

滋賀県産 近江牛切り落とし(100gあたり)972円

食べ応えのある厚さで綺麗なサシも入った切り落とし肉。小島さんの一押しの食べ方は牛丼。薄くスライスしたタマネギと共に煮込んでご飯の上にのせ、お好みで生卵の黄身を混ぜればなめらかになり、甘みが引き立つ。

 

肉を通じて「こんなのあるんだ!」という感動を提供。

伊勢丹新宿店には“仔牛専門店”として入店したが、「お肉が暮らしを楽しくする」というコンセプトのもと、週にわずか数頭しか出回らない栃木県「星種豚場」のデュロック種未経産雌豚なども取り扱う。

store

栃木県産 デュロック豚 ロース(100gあたり)680円

毎週土曜の朝に店頭に並ぶ希少肉。やわらかい食感で噛むと旨みがあふれる。厚切りをソテーにするのがおすすめ。

「星種豚場は、豚の成長段階に応じて飼料の内容や配合を替え、スキャナーを使ってロースの断面積や背脂肪の厚さを測定するなど、一頭ごとの特徴を数値化し、日々、改良を重ねていらっしゃいます」と、小島さん。その肉質はやわらかく、甘みのあるサシが綺麗に入っている。嗜好性の高い肉との出会いを、ぜひ店頭にてお楽しみいただきたい。

store

栃木県産 デュロック豚バラしゃぶしゃぶ用(100gあたり)500円

星種豚場で肥育されたデュロック豚のバラ肉を薄切りに。肉のきめが細かいので、食べた時に歯切れが良く、お肉の旨みや甘みが口の中いっぱいに広がる。繊細なおいしさを堪能したい。

Text : Mio Amari

Photo : Mariko Tosa,Yuya Wada

RECOMMEND

店舗・オンライン情報

卵やうさぎのモチーフがキュート。春の訪れを祝う、2025年のイースターのスイーツ

卵やうさぎのモチーフがキュート。春の訪れを祝う、2025年のイースターのスイーツ

伊勢丹美味歳時記 〜4月 ~

伊勢丹美味歳時記 〜4月 ~

出合った時が買い時!4月の洋菓子「一菓一会」

出合った時が買い時!4月の洋菓子「一菓一会」

CATEGORY

カテゴリー