<パレスホテル東京スイーツブティック>60年以上愛される、栗と生クリームがもたらす幸せ。

2023.9.15 UP

1961年、前身の「パレスホテル」開業時より受け継がれる「マロンシャンティイ」。真っ白な生クリームの中から現れる黄色い栗の鮮やかさが、日本人の心をとらえる栗のスイーツだ。職人の手仕事が伝統の味を支えてきた。

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受け継いできた製法、その中で変化させてきたこと。

エレガントに絞られた真っ白い生クリームの中に、和菓子の「きんとん」を思わせる黄色い栗。なめらかさとほろほろ感、素材の素直な味わいが口の中でとけ合う。<パレスホテル東京>のペストリーを代表する「マロンシャンティイ」は、1961年に開業した前身の〈パレスホテル>時代の初代総料理長、田中徳三郎さんから継承する品だ。当時からオールデイダイニングのデザートとして、幅広いお客様に愛されていた。

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現在もホテルのロビーラウンジでは皿盛りで提供されている。

<パレスホテル東京スイーツブティック>が伊勢丹新宿店にオープンしたのは2022年3月。「最上質の日本」を提供する5つ星ホテルのスイーツブランドとして、創業以来の伝統の品や手土産に人気のクッキー缶などを揃える。その中でも、多くのファンに待ち望まれていたのがこの「マロンシャンティイ」だ。

 

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そぼろ状の栗ペーストを容器にふんわりと詰め、丸く抜いたスポンジ生地を上にのせ軽く押さえる。

製造工程はいたってシンプルだ。シロップ煮の栗をミンチにして、団子状にまとめてからやや粗めの網で濾して使う。粒を残すことで食感に特徴が出て、栗の風味がより力強く感じられるのだ。空気を含ませるようにアルミ製の容器に詰め、スポンジ生地でごく優しく蓋をする。

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カップを逆さにして中身を静かに外し、回転台の上に置かれたケーキトレイの上に移す。

農産物である栗の状態は一定ではなく、レシピ上で何g、あるいは栗何個分というように決めるのは難しい。「変わらない」と私達が感じるその味は、職人の感覚と手仕事のなせる微調整によって支えられているのだ。

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後半は回転台を180°回して、生クリームで全体を覆う。

生クリームは、星形の口金で下から上向きに絞っていく。

形や構成はそのままだが、生クリームの乳脂肪分や加える砂糖の量を減らすなど、変化もさせてきたという。栗の味が引き立つよう2種類の生クリームを合わせ、味に深みを出している。

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トップの飾りにシェル形の生クリームを3つ配し、中心に高さを出した1点を絞って完成。

多い時は1日に1,000個も仕上げる品。クリーム自体は基本的な絞り方の組み合わせのため、新人スタッフも練習を重ねて絞りに挑むが、素材の生かし方と同じく、シンプルだからこそ、熟練の技が際立つ。

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マロンシャンティイ(1個)1,051円

1961年の<パレスホテル>開業時より変わらず愛される<パレスホテル東京>のシグニチャースイーツ。「シャンティイ」は、砂糖を加えて泡立てた生クリームを意味するフランス語。「モンブラン」発祥の地とされるアルプス山脈内のヨーロッパ最高峰「モンブラン」(=白い山)は雪を頂く山であり、当地にはマロンに白い生クリームをのせた素朴なデザートが伝わる。これがヒントになったとも、純白のドレスをイメージしたとも言われる。生クリームの中は、スポンジ生地の土台とほろほろした食感の裏ごしした栗。1個ずつ専用のボックス入りで販売される。

新たに考案された、進化するシグニチャースイーツ。

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千代ちょこ(6枚入)3,000円

華やかな貼り箱の中には、日本の伝統柄を施した、カカオ分や原材料のカカオ産地の異なる厚さ約2mmのチョコレート。カカオ分70%で、南米産クリオロ種とトリニタリオ種カカオをブレンドした深い苦みと香りの「歌舞伎」柄をはじめとする3種類のビターチョコレートと、特徴の異なる2種類のミルクチョコレート、ホワイトチョコレートの全6種入。

 

一方、彩り華やかなチョコレート「千代ちょこ」は、2012年5月の<パレスホテル東京>グランドオープンに際し、ベーカリー&ペストリー統括シェフの窪田修巳氏が新たな代表作として考案したものだ。

世界中で愛されるチョコレートという素材を使い、日本のエッセンスを海外にも伝えたいと、江戸千代紙などに見られる和の伝統柄を採用。「千代ちょこ」の名には、「お客様と千代に繋がっていきたい」という思いも込められている。

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チョコレートをカットする刃渡りの長い包丁をバーナーであぶる。熱すぎず冷えすぎない温度の加減も見極めが必要。

チョコレートに転写する図柄は、色味をつけたカカオバターでフィルムシートに描かれている。そのシートの上に約2mm厚にチョコレートを広げ、図柄と一体化して固まったらフィルムを剥がす。長さ4m弱に繋いだシートに合わせてチョコレートが固まる前に均一にのばすのも、チョコレートの結晶化を見極めるのも、熟練の職人ならではの技だ。

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目印のラインを引いた台の上にチョコレートをのせ、周囲の4辺を切り落としてから、ラインに合わせて正方形の切れ目を入れる。

その後、約9cm四方の正方形に切り分ける。カットするのは裏面からだが、完全に切り離さず、柄の施された表側のわずかだけをあえて残す。それを表面から手でそっと割ることで、図柄を損なうことなく、側面のエッジをより綺麗に立たせている。

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表面のわずか1枚でつながっている切れ目を折るようにして紙から外す。

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表面から切れ目部分を指で押さえて割ることで、エッジがより綺麗に立つ。

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千代ちょこ(12枚入)6,000円

千代ちょこ(6枚入)の人気を受けて登場。ビターチョコレートとミルクチョコレートの種類がより多彩に。カカオ分75%、ドミニカ共和国イスパニューラ島産カカオを使った「緑波」柄は、スパイシーな余韻とフルーティーな酸味。カカオ分39%、ペルー北部の中央ワジャガ渓谷パチザ産カカオを使った「紫小波」はキャラメルやバナナの芳香。

「千代ちょこ(6枚入)」の人気を受けて、さらにチョコレートの種類を増やした「千代ちょこ(12枚入)」は、ビターチョコレート6種類とミルクチョコレート5種類、ホワイトチョコレートの食べ比べが楽しめる。貼り箱も中が引き出し式の2段重ねとなっていて、食べ終わった後も小物入れに使いたくなる愛らしさだ。ここ数年は、活躍中のアーティストとコラボレーションした限定版の「Chiyo Choco」を年ごとに発売するなど、新たな試みも行っている。

 

さらに、伊勢丹新宿店の限定品として、おなじみのマクミランチェック柄の缶に入ったクッキー2種の詰め合わせも登場した。

クッキー缶は、ホテルで2020年に発売開始以来、全国から注文が絶えない人気ぶりだが、その中でも<パレスホテル東京スイーツブティック>だけで入手できる、知る人ぞ知る注目アイテムだ。

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フール セック マクミラン(24枚入)3,240円

ホテルでも大人気のクッキー缶には、伊勢丹新宿限定缶も登場。おなじみのマクミランチェック柄の瀟洒なデザインが印象的。塩味がバター感を引き立てる塩バタークッキーと、サクサク食感のメープルクッキー入り。シンプルであるが故に素材の上質さがわかりやすく伝わる。

 

職人の手作りによる伝統の味のみならず、時代に合わせた進化にもワクワクさせられる<パレスホテル東京スイーツブティック>から、今後も目が離せない。

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<パレスホテル東京>ベーカリー&ペストリー総括シェフの窪田修己さん。1989年<パレスホテル>に入社後、3度の渡仏を経て一流レストランや菓子店で研修を積む。2012年<パレスホテル東京>グランドオープン時に現職に就任。

Text : Rio Hiraiwa

Photo: Yu Nakaniwa , Yuya Wada

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