<メゾン・ランドゥメンヌ>で本場のヴィエノワズリー文化を堪能。

2023.9.15 UP

サクッとした歯ごたえのあとにもちもちの食感。さらにナッツのようなアロマが広がる。芳醇な香りとコクを堪能できる看板アイテムの「クロワッサン フランセ」。その鍵を握るのは12層の生地にあった。

 

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午前6時半。<メゾン・ランドゥメンヌ>の厨房では「クロワッサン フランセ」の製造が始まっていた。石川芳美さんとロドルフ・ランドゥメンヌさんが2006年に創業したパリでブーランジェリー&パティスリー。昔ながらの技術と素材の継承に注力し、小麦が持つ豊かな香りを引き出したパンが人気を博している。そんな名店が東京へやってきたのは2015年。濃厚な味わいの「クロワッサン フランセ」は上陸してからすぐに評判となる。

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小麦粉、砂糖、塩、脱脂粉乳と発酵を促すために前日に仕込んだ生地をミキサーに入れる。

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ミキサーから引き上げたら均等に分割。生地の温度を18度に調整したら、常温で15分間寝かせる。

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生地の形を整えたら15分間の急速冷凍へ。

 

 

バターの旨みを感じるレシピとは

熱狂を呼ぶ口当たりの秘密をブーランジェでオーナーの石川芳美さんに尋ねた。

「パティシエでもあるロドルフ・ランドゥメンヌがレシピを考案しています。フランスではクロワッサンの作り手がブーランジェかパティシエかで、仕上がりが2種のタイプに分かれるんです。前者は天然酵母を使用したり、全粒粉で焼き上げるなど生地に特徴があるものが多いですね。私が手掛けたら、そうなります。後者はバターを主役にし、その旨みを存分に引き出します。職種が反映されるクロワッサンは、仏のブーランジェリーを象徴する品の一つです。当店のアイコンはパティシエによるものです」

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生地とバターの厚みを揃えて挟んでいるため、断面も美しい。

味の決め手となるバターはフランスから取り寄せ

菓子職人の視点からのヴィエノワズリーであるため、核となるバターは濃厚なフランス製にこだわった。レシピの考案時から酪農が盛んなポワトゥ・シャラント地区で特定の生産者の乳を原料にした<モンテギュ>の「AOP発酵バター」を取り入れている。この長期熟成によるミルクのコクを活かすのが12層なのだ。

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冷凍庫で固めた生地に1kgのバターを挟む。

 

 

持ち味が光るベストの数

一見すると層は多いほど贅沢なように思われるが、そうとも限らない。日本で製造を取り仕切るパティシエ・細井真人さんが解説してくれた。

「層が少ない方が発酵バターの風味が増します。ただ、その分、生地の発酵の難易度は上がります。そのため職人は5%の水分配合率と生地の温度は18℃をキープするという2点に心を砕いています」

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厚さ6mmに伸ばして三つ折り。

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次に5mmまで薄くして四つ折りにする。

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18℃の生地と14℃のバターを隅々まで均等に重ねることがポイント。

「小麦本来の味を引き出すためにパン種を氷温熟成させます」(細井さん)。生地を伸ばした後は一旦、9℃の冷蔵庫で保管する。そうして30分ほど休ませたら、いよいよ成形へ。カットした生地を1個ずつ手作業でくるくる巻いていく。

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両手で丁寧に成形する。

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18℃の冷蔵庫で保管し、発酵させる。

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30分後に冷蔵庫から取り出したら卵黄を吹きかける。

 

数々のステップを踏んで、いざオーブンへ。およそ15分もの間、じっくりと仕上げていく。時間が経つにつれて厨房内は芳醇な香りで包まれていた。

 

「味もサイズもリッチな『クロワッサン フランセ』は、やっぱり、そのまま頬張るのが一番です。あとはラズベリーやいちごなど赤系果実のジャムを合わせるのもいいですね。フルーツの酸味と濃厚なバターのハーモニーをお楽しみください」(石川さん)

そうして1日におよそ900個を送り出している。

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オーブンで焼成中からバターの香りが漂う。

 

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こんがりきつね色。9時半ごろには焼きたてが並ぶ。

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うわさの12層がこちら。たっぷりとバターが染み込んでいる。

 

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石川芳美さん。<メゾン・ランドゥメンヌ>グループオーナーでもありブーランジェとしも活躍。近年は100%植物性代用卵「YUMGO(ユンゴ)」の導入や古代小麦の栽培にも力を注いでいる。

 

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クロワッサン フランセ(日本製/1個)590円

表面はさっくり、中身はもちもち。口に含むたびに<モンテギュ>の「AOP発酵バター」特有の豊かな香りと甘みとコクが広がる。ゴージャスな気持ちを呼び起こす一品はフランスで作られるものと同じサイズの長さ18cm×幅8.5cm×高さ8cm! 大ぶりというのもあいまって、食べごたえは十二分だ。また、「クロワッサン フランセ」の肝である12層の断面は美しい地層状に仕上がっている。濃厚なバターの風味を享受するためにも、まずはそのままお試しあれ。もちろん、定番のカフェ・オ・レに浸していただいても◎。

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(左)メロンパン バニラ(日本製/1個)350円

(右)メロンパン フランボワーズ(日本製/1個)360円

日本のベーカリーで愛されるメロンパンを<メゾン・ランドゥメンヌ>流にアップデート。彩り豊かなサクサクのクッキー生地にはフレーバーを練り込んだ。しっとりとした口当たりのブリオッシュとのコントラストが口福を呼ぶ。代替卵「YUMGO(ユンゴ)」を使用しているので、ビーガンの方も安心だ。

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バケット・トラディション(日本製/1本)330円

ブーランジェリーのシグネチャーであるこちらは、のべ2日かけて作られる。ミネラルも豊富な仏製オーガニックの石臼挽き全粒粉を使用した自家製酵母で発酵し、伝統製法で焼き上げた。酸味のある生地の外はパリッ、中はもっちり。生ハムやチーズとぜひ一緒にどうぞ。

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クロワッサン ジャポネ(日本製/1個)360円

三日月形のフォルムが愛らしいこちらは、日本オリジナルの「クロワッサン ジャポネ」。国産バターを挟んで焼き上げているため、あっさりとした口当たりが特徴となっている。パリッとした表面の中身はもっちりの歯ごたえは健在。「クロワッサン フランセ」と食べ比べも一興だ。

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ひじきごま醤油(日本製/1個)300円

※2023年10月1日(日)~10月31日(火)までの販売となります。

日本とフランスを行き来する石川さんが両国の伝統を融合したシリーズを考案。兵庫県で300余年続く酒蔵<沢の鶴>の酒粕を混ぜたバゲッドを生み出し、季節に応じて練り込む具材を変えている。この秋は「ひじきごま醤油」。こんがりと漂う醤油の香りにほっとなる。魚をサンドしてもいい。

 

Text : Mako Matsuoka

Photo : Mariko Tosa , Yuya Wada

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