令和三年のお題は「実」。お正月限定「御題菓子」が勢ぞろい。 

2020.12.20 UP

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「御題菓子」は、歌会始のお題に沿う雅な和菓子

新年恒例の宮中行事「歌会始(うたかいはじめ)」は、前年の歌会始の儀のあと、1月に発表された共通の御題で歌を詠み、その歌を披講する会のことです。起源は定かではないものの、鎌倉時代の中期に年の始めの歌御会が行われた記録があります。

明治7(1874)年には一般の詠進が認められ、皇族や貴顕(きけん)といった方々だけでなく、国民も宮中の歌会に参加できるようになります。こうして、長い歴史を有する宮中の歌会始は、世界に類のない国民参加の文化行事となりました。

 

「御題菓子(おだいがし)」あるいは「御題菓(おだいか)」と呼ばれる和菓子は、この歌会始の御題にあわせて創作されたもので、早いところでは11月末頃から登場しはじめます。

翌年の御題は、歌会始の儀のあと1月に発表されますので、全国各地の和菓子職人たちはおよそ1年をかけて、御題に沿ったものを考えぬき、意匠を凝らしてつくりあげます。「御題菓子」には新年を迎える悦びとともに、各店の職人の技と知恵、美意識が詰まっているのです。 

令和三年の御題は「実」。名和菓子処の「御題菓子」5選

この度の御題は「実(じつ)」。伊勢丹新宿店で和菓子のマーチャンダイジングを担当する村田絵里は、この度の「御題菓子」の傾向をこう分析します。

「令和2年の『望』、平成31年の『光』といった直近のテーマは新しい時代への希望を表現した御菓子が多く見られましたが、『実』は農作物の豊穣、あるいは努力が報われるといった人生における実りとも捉えられ、その多様性が愉しめるラインナップとなっています」

 

コロナ禍でお茶席を設けることが難しくなっているなかで、オンラインでお茶会を催す動きが出てきたり、自宅にて個人や少人数でお茶の時間を愉しむ方が増えたりという傾向もあるといいます。

この機会に「歌会始」という伝統文化に触れながら、見た目にも美しい和菓子とお茶の時間を愉しんでみてはいかが? 

※各店、完売の場合がございます。

日本の四季と実を表現

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<鎌倉豊島屋> 

豊饒(1個)1,401円(税込)

販売期間:2020年12月26日(土)~2021年1月4日(月)

伊勢丹新宿店本館地下1階 甘の味

 

銘菓「鳩サブレー」でも広く知られる和菓子舗です。この度の御題菓子は、上層部は上生菓子などにも使われる「こなし」、下層部は栗のペーストを練り込んだ栗羊羹で仕立てました。「豊穣」を表現。こなしは、四色の色合いとそれぞれに押した型で春夏秋冬を表しています。二つの層で、味わいや食感の違いが愉しめます。

 

 

果実の実りと人生の実りを重ね合わせて

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<鈴懸> 生る(1個)400円(税込)

販売期間:2020年12月25日(金)~2021年1月3日(日)

伊勢丹新宿店本館地下1階 甘の味

 

福岡県博多に本店を構え、この季節は福岡県産のいちご「あまおう」を使った「苺大福」でも人気を博す和菓子舗です。御題菓子の名前は「生る(なる)」。実る果実を表し、「新たに始まる一年、あせらず、じっくりと“日々“という樹に自分らしい形が生りますように」という想いが込められています。中には小豆のこしあん、上部にはピスタチオをのせています。

 

 

見た目も鮮やか。収穫の悦びが伝わる棹菓子

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<両口屋是清> 御題菓 里の神楽 半棹(200g)972円(税込)

販売期間:販売中~2021年1月上旬 

伊勢丹新宿店本館地下1階 茶の道

 

名古屋にて、380年余りの歴史をもつ御菓子所です。

「里々の新米出来て神楽かな」蓼太

黄金の稲穂が風に揺れ、果実が実り、里が収穫の悦びに満ち足りる季節を餡村雨で、大地への感謝を栗入りの小豆粒あんで表現しています。

 

紅・橙・黄の煉羊羹で努力が実を結ぶまでのさまを表した羊羹

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<とらや> 御題羊羹 実りのきざはし(330g)1,944円(税込) 

販売期間:販売中~2021年1月中旬

伊勢丹新宿店本館地下1階 茶の道

 

室町時代後期の京都で創業し、後陽成天皇の御在位中(1586〜1611)より、御所の御用を勤めてきた老舗。御題菓子の名前にある「きざはし」は「階」と書き、階段を指す言葉。白の琥珀羹に紅・橙・黄の煉羊羹を配し、夢に向かって進み、積み重ねた努力が実を結ぶまでのさまをしています。

華やかな羊羹で、表面と内面の実りを願う

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<老松> 花実芳酣(1棹)2,160円(税込)

販売期間:販売中~2021年1月3日(日)

伊勢丹新宿店本館地下1階 甘の味 

 

京都最古の花街上七軒に本店を構える京菓子司です。御題羊羹の「花実芳酣」は、令和3年の歌会始のお題「実」にちなみ、丹波大納言小豆と栗を入れたこし餡の煉羊羹に紅の煉羊羹を重ね、金箔をあしらった、新年にふさわしく艶やかな羊羹です。菓銘の「花実芳酣」は、花と実を表面と捉え成熟している様を表した言葉です。

 

Text:Yumiko Numa

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